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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

「リゼロ」フェルトは王選候補者!レイド・アストレアの末裔・ロム爺の孫・ラインハルトの主

『Re:ゼロから始める異世界生活』の物語は、王選候補者という五人の少女・女性たちを舞台の中央に置くことで重層的な政治劇へと変貌する。エミリア、プリシラ、アナスタシア、クルシュ──その四人と並んで、最後のひとり、貧民街の屋根を駆け回る金髪赤眼の小柄な少女として登場するのがフェルトである。第一章でスバルが王都ルグニカに召喚されて最初に出会う「徽章を盗んだスリ」、それが彼女だ。だが、その存在の物語的重要性は、第一章の段階では誰一人として正確には予測できなかった。

フェルトは王選編が進むにつれ、徐々にその出自の重みを露わにしていく。盗品蔵で育てられた身寄りのない孤児であるはずの彼女が、初代剣聖レイド・アストレアの血を引き、同時にルグニカ王族の血脈を継ぐ正統なる王女・フィルオーレ・ルグニカであった――この衝撃の真実は、第三章以降に小出しにされ、第九章でついに完全に明かされた。本記事では、貧民街の不良少女から「真王」たる資格を持つ少女へと至るフェルトの軌跡を、原作44巻時点までの情報を踏まえて徹底的に解説する。

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目次

フェルトのプロフィール

まずはフェルトという少女の基本データを確認しておこう。

項目 内容
本名 フィルオーレ・ルグニカ(第九章で公式判明)
偽名/通称 フェルト(ロム爺が拾った日に与えた名)
誕生日 8月8日(ロム爺に拾われた日を誕生日としている)
年齢 14歳(第一章登場時)→ 第九章時点で15歳前後
身長 153cm
体重 「猫みたいに軽い」とロム爺評
髪・瞳の色 金髪・紅瞳(ルグニカ王家の血統に表れる特徴)
所属 フェルト陣営(リーダー)/ルグニカ王選候補者の最後のひとり
騎士 ラインハルト・ヴァン・アストレア
育ての親 ロム爺(旧名バルガ・クロムウェル/盗品蔵の主人)
陣営拠点 カララギ都市国家ピクタット郊外(亜人擁護派と協力関係)
声優 赤﨑千夏
キャッチコピー 「あいつのためなら、王様にだってなってやる」
初登場 第一章「死に戻り異世界開幕編」(Web版1話/文庫1巻)

フェルトという名は、ロム爺が雪の降る夜に貧民街の路地で見つけた赤子に付けた名前である。ルグニカ古語で「誰のものでもない、解き放たれた風」を意味するという設定が短編集で示されている。あとから振り返ると、彼女が「風のミーティア」を使いこなす運命にあったことを暗示する不思議な命名であった。

王選候補者としての立ち位置──最後の一席に座った異端児

賢者シャウラとパックの予言ではなく、ルグニカ王国の現実的な政治論理として、王選候補者は親竜王国ルグニカの龍歴石が選定した五名で構成される。フェルトはその「最後のひとり」として、ラインハルト・ヴァン・アストレアによって賢人会議に連れ出され、王選参加が承認された。

他四候補者との比較──統治理想の対比

候補者 陣営の旗印 統治の核 支持基盤
エミリア すべての種族の平等 共生・救済 ロズワール辺境伯領(メイザース家)
プリシラ 太陽姫の王道 選別・天命 バーリエル伯爵領(旧領)
アナスタシア 商業立国・国家経済化 契約・繁栄 カララギ商人連合(ホーシン商会)
クルシュ 武威と公正 正義・尚武 カルステン公爵家(旧王族派)
フェルト 既存秩序の解体 反骨・破壊からの再生 貧民街・亜人擁護派・無産階級

こうして並べると、フェルト陣営の異質さが際立つ。他の四候補が貴族家・大商人・辺境伯家・大商会といった「既存の権威構造」を背景にしているのに対し、フェルトは王都の貧民街で生まれ、盗品蔵の主人ロム爺に拾われ、不法スリで生計を立てていた最下層の少女である。彼女が掲げるスローガンは、王選の場では衝撃的なまでに過激だった。

「アタシは貴族が嫌いだ、アタシは騎士が嫌いだ、アタシは王国が嫌いだ、何もかも全部嫌いだ。
だから全部ぶっ壊してやろうと思ってる。
もしもアタシが王様になったら、今ある王国ぶっ壊す」

──第三章 王選開幕時のフェルト演説

この演説は、賢人会議に集った宮廷の重鎮や貴族たちを震撼させた。「王選で王国を壊すと宣言した王候補」など、ルグニカ400年の歴史で前例がない。だが、これは単なる挑発ではなかった。フェルトの中には、貧民街で育った14年間に積み重ねた「貴族・騎士に対する不信」と、「恩人ロム爺を救うためにはこの国を変えねばならない」という覚悟が同居している。彼女の破壊宣言は、最下層の声を代弁する反逆の旗印でもあった。

陣営の支持基盤──貧民街と亜人擁護派の交差点

フェルト陣営は表向きの規模こそ小さいものの、王都の貧民街の住人たちと、長年迫害されてきた亜人勢力からの暗黙の支持を集めている。これは育ての親であるロム爺──実は亜人戦争で亜人陣営の大参謀を務めたバルガ・クロムウェル──の旧人脈と、フェルト自身の「種族や生まれで人を見ない性格」に依拠している。

第六章以降、ガストン、ラチンス、カムバリーといった盗品仲間の青年三人組が陣営の実働部隊として加わり、商人気質のフロップ・オコネル兄妹(フロップミディアムはアナスタシア陣営寄りだが交流あり)とも繋がりを持つ。第八章以降はロム爺も陣営参謀として表舞台に戻ってくる。

レイド・アストレアの末裔──剣聖因子という呪縛

フェルトの正体をめぐる核心の一つが、初代剣聖レイド・アストレアとの血統的接続である。

剣聖因子とは何か

剣聖因子(けんせいいんし)は、初代剣聖レイド・アストレアの血脈に宿る特異体質を指す原作内設定である。一般に「アストレア家直系の長子」へ継承されるとされ、ラインハルト・ヴァン・アストレアが現代の体現者として知られている。だが、この因子は厳密には「アストレア家の血」だけに宿るものではなく、レイド本人の血を引く者すべてに微弱に残されている、というのが原作後半で示唆される真相である。

フェルトが第一章でエルザに襲撃された際、無意識に発揮した「異常な瞬発力と空中戦の素養」は、ただの貧民街育ちの身体能力では説明がつかない。エルザは彼女を「風に愛されている」と評するが、その後の章で、これがレイドの血統が宿す戦闘的素質の発露であったことが判明していく。

ラニル・ルグニカ第36代王の姫と、レイドの落胤

第九章までの累積情報をまとめると、フェルトの血統は以下の構造を持つ。

  • 父方:ルグニカ王国第41代国王ランドハル・ルグニカの弟、王弟フォルド・ルグニカ。フォルドは王城内の権力闘争に巻き込まれて15年前に暗殺された。
  • 母方:詳細は伏せられているが、レイド・アストレアの末裔筋の貴族令嬢であったとされる(短編集の夢シーンで示唆)。
  • 遠縁:かつて第36代王ラニル・ルグニカの姫に嫁いだ初代剣聖レイドの末弟筋。これによりルグニカ王家の血とレイドの血の双方がフェルトに合流する。

つまりフェルトは「ルグニカ王家の正統な王女」であり、同時に「初代剣聖レイドの隔世遺伝的子孫」でもあるという、リゼロ世界では稀有な二重の血統を持つ存在なのだ。彼女が王選で龍歴石に選ばれた理由がここにある──龍歴石は王の資格を「血」で測る装置ではないが、ルグニカ王家直系の血脈は最低限の選定条件を満たしている。

剣聖因子の発現と封印

レイドの血を引きながら、なぜフェルトは剣を振るわず「風」のミーティアを操るのか。原作の解釈としては以下が有力である。

  1. 因子は希薄:ラインハルトのように直系男子で受け継がれた強いものではなく、女系を経て薄まった因子は「身体能力の異常な高さ」程度に留まる。
  2. 環境的要因:剣を握る環境がなく、貧民街では「逃げる速さ」「壁を駆け上がる軽さ」として才能が発露した。
  3. 風との親和:レイドの「気」の概念は、空気を切り裂き運命を操る無形の力。フェルトの風使いとしての才能は、剣を持たぬレイドの末裔としての変奏である。

この三層の解釈が交差することで、フェルトは「剣聖の子孫だが剣を取らない王女」という独自の位置を確立している。

フェルトとラインハルトの関係──主従でありながら対等

フェルトの物語を語るうえで、絶対に外せないのがラインハルト・ヴァン・アストレアとの関係である。リゼロ世界最強の剣士、現代の剣聖。彼が「主」と仰ぐ少女がフェルトなのだ。

第一章の運命的出会い

第一章、エルザ・グランヒルテの襲撃から逃れるためにロム爺の盗品蔵にいたフェルトは、致命的な状況に陥る。スバルの「死に戻り」の連鎖の末、ようやく辿り着いた現実分岐で、彼女を救ったのがラインハルトだった。エミリアの徽章を盗んだ少女を保護し、賢人会議へ連れて行ったラインハルトは、その瞬間に彼女の中の「王の素質」を察知した。彼の加護「神龍の加護」が、龍歴石に選ばれる血を持つフェルトを引き寄せた、と解釈する読者も多い。

主従の誓い

賢人会議でフェルトが王選候補に選ばれると、ラインハルトは即座に「彼女の騎士」として名乗りを上げる。父ハインケル・アストレアとの確執を抱え、祖母テレジアを失った悲しみを乗り越えてきたラインハルトにとって、フェルトという「過去のしがらみから自由な王候補」に仕えることは、剣聖家の重荷から解放される唯一の道でもあった。

フェルトとラインハルトの関係は、他の王選候補と騎士の関係と決定的に異なる。エミリア×スバルのような恋愛感情でも、クルシュ×フェリスのような幼少からの絆でもない。フェルトはラインハルトを「使える駒」として遠慮なく扱い、ラインハルトはそれを「主の采配」として淡々と受け入れる。お互いに敬語を使わず、フェルトが「ヘイト・ザ・キング」を叫ぶ場でも、ラインハルトは静かに微笑んで剣を抜く。

「ラインハルト、お前はアタシの騎士だろ。
だったら、アタシのことを王様に押し上げる責任があるはずだ。
ぐだぐだ言ってないで、さっさとアタシの言うことを聞きやがれ」

──第三章 ラインハルトに対するフェルトの「主命」

この主従関係は、ラインハルトにとって精神的な救済でもあった。父からの呪詛、祖母の死、剣聖の重圧──そのすべてを「主のために」という大義のもとに整理し直す装置として機能している。フェルトの存在自体が、ラインハルトの心の鎧であった。

ロム爺との絆──血のつながらない最強の家族

フェルトの精神的支柱を語るうえで欠かせないのが、育ての親ロム爺の存在である。

盗品蔵で育てた14年間

ロム爺は、ルグニカ王国最大の内戦である「亜人戦争」で亜人陣営の大参謀を務めた巨漢の鬼人族戦士、本名バルガ・クロムウェルである。終戦後、当時の王弟フォルド・ルグニカに密かに呼び出され、暗殺の手から逃れた赤子の姫を託された。彼はその子を「フェルト」と名付け、王都ルグニカの貧民街の盗品蔵で14年間育てた。

盗品蔵という、いかにも怪しげな場所で育ったがゆえに、フェルトは法律よりも義理人情を重んじる「貧民街の少女」として育った。ロム爺は決して甘やかさず、生きる術として盗みやスリを教えながらも、「仲間を裏切るな」「ロウソクの灯ほどの優しさは絶やすな」という最低限の倫理観を叩き込んだ。フェルトの反骨精神と、底にある優しさは、すべてロム爺の薫陶によるものである。

王選参加の動機──ロム爺奪還

フェルトが王選参加を決めた本当の動機は、王女としての自覚や政治的野心ではない。物語的には、第三章でロム爺が王宮に潜入して捕縛され、死罪を言い渡されたことが直接的な引き金となっている。フェルトは王選に参加すれば、ロム爺解放の「政治的取引材料」を獲得できることを瞬時に見抜いた。

これは、彼女の「家族愛」の表現として極めて重要な場面である。本来であれば一人前の少女が「人さらい同然の老人」を切り捨てて自由を選んでもよい。だがフェルトは、自分の命と引き換えになるかもしれない王選への参加を、ロム爺一人のために即決した。「家族」という言葉が血のつながりを意味しないことを、彼女は身をもって示している。

「アイツは──ロム爺は、アタシの全部だ。
あいつのためなら、王様にだってなってやる」

──第三章 王選決意時の独白

戦闘能力──風のミーティア「アネモイ」

フェルトは王選候補のなかでも特殊な戦闘スタイルを持つ。剣でも魔法でもなく、「風の魔法器」を使いこなす唯一無二の戦士なのだ。

ミーティアとは何か

ミーティアは、400年前の「強欲の魔女」エキドナがエンドレッシア大陸に残した魔法器の総称である。スバルの所有する「メタルの携帯端末」もミーティアの一種であり、それぞれが固有の機能を持つ。フェルトは王選編で、ベアトリスから渡された「風のミーティア」をエルザ襲撃事件で覚醒的に使用したことを契機に、戦闘の主軸として運用する。

アネモイ──風神の名を冠する魔法器

フェルトの風のミーティアは、原作後半(第七章以降)で正式に「アネモイ」と呼ばれることが判明している。ギリシャ神話の風神アネモイから取られた名で、装着者の意志に応じて空気の流れを操作し、以下の機能を発揮する。

  • 跳躍力強化:脚力を風で補強し、屋根から屋根へと飛び移る軽業を可能にする。
  • 飛行(短距離):空中で踏み台のように風塊を生成し、滞空・方向転換ができる。
  • 風刃:腕を一閃すると鋭利な風の刃が飛び、軽装の敵を切り裂く。
  • 探知:周囲の空気の流れから、隠れた敵や落下する物体を察知する。

第二章でエルザに襲撃された際、フェルトはこのアネモイを「初めて意識的に」発動し、エルザの腸狩り攻撃を風で受け流した。第六章プレアデス監視塔編ではベアトリスとの連携で「バテンカイトス」(暴食大罪司教ライ・バテンカイトス)撃退に貢献している。

剣聖因子と風の親和性

レイド・アストレアの戦闘哲学は「気を読み、気を斬る」という独特な剣理である。彼自身は「気」を「己と空気の対話」と表現していた。フェルトのアネモイ運用が、ここまで自然に身に染みている理由は、彼女の中に流れるレイドの血が「風=気を読む素質」を予め授けていたからではないか──というのが原作読者の有力な解釈である。剣を持たないレイドの末裔として、フェルトは「気の流れ」そのものを兵装化した、と読み解くこともできる。

作中の主要活躍──第一章から第九章まで

第一章「死に戻り異世界開幕編」──スバル最初の出会い

スバルが王都ルグニカに召喚されて最初に出会う「徽章を盗んだスリ」、それがフェルトである。エミリアの龍の徽章を盗んだ彼女はロム爺の盗品蔵に逃げ込み、エルザ・グランヒルテの襲撃を受ける。スバルが死に戻りを繰り返した末、ようやくラインハルトとともにフェルトを救出するルートに到達する。この時点ではフェルトはまだ「貧民街のスリ少女」でしかなく、王女としての伏線は語られない。だが、彼女がエミリアの徽章を「光らせた」描写は、後に王族の血の証として読者に再解釈されることになる。

王選開幕──衝撃の所信表明

第三章、ラインハルトに連れられて賢人会議に登場したフェルトは、龍歴石によって正式に王選候補者に選ばれる。所信表明で「今ある王国をぶっ壊す」と宣言し、宮廷を震撼させた。プリシラの「太陽姫としての王道」とは正反対の「下からの破壊」を旗印に掲げ、王選は五者五様の混戦に突入する。

第四章〜第五章 – 静観の時期

聖域編・水門都市編ではフェルトの直接的な登場は少ないが、王都ではラインハルトを通じて情報収集を行い、フェルト陣営の基盤づくり(盗品仲間ガストン・ラチンス・カムバリーの組織化)を進めていた。プリステラ襲撃事件のニュースをいち早くキャッチしたのもフェルト陣営である。

第六章「賢者の遺す星々」──プレアデス監視塔と王選評価会議

第六章後半の王選評価会議で、フェルトは演説者として登壇する。賢人会議で示した「王国破壊宣言」を、より具体的な政治綱領へと発展させた。曰く「貴族特権の解体」「亜人差別の撤廃」「国王による独裁ではなく合議制への移行」──14歳の少女が打ち出すには過激すぎるビジョンに、貴族たちは怒り、平民たちは熱狂した。

第七章「殉情の神聖ヴォラキア帝国」──情報戦の指揮

スバルがヴォラキア帝国に転送された第七章では、フェルトは王都に残り、アナスタシア陣営との情報共有を進めた。ラインハルトをヴォラキア帝国に派遣する判断もフェルトが独自に行い、第七章後半のヴォラキア帝国紛争介入の鍵を握る。

第八章「ヴィンセント・ヴォラキア」──大災編の援護

第八章ではプレアデス監視塔から始まる大災「滅びの蝕」事件で、フェルト陣営はルグニカ王都の防衛を担当する。屍人の侵攻に対して、ラインハルト不在のなか、ガストン三人組とロム爺、そしてアネモイを駆使したフェルト自身の戦闘で王都を守り抜いた。

第九章「名も無き星の光」──フィルオーレ・ルグニカ誘拐事件

第九章では、フェルトの真の出自である「フィルオーレ・ルグニカ」が物語の中央に躍り出る。プレアデス監視塔でアルがスバルとベアトリスを「オル・シャマク」で封印した後、ハインケル・アストレア(ラインハルトの父)が裏で動き、「偽のフィルオーレ」を仕立てて王座簒奪を企てる事件が発生する。

この第九章44話「水面下の密約」(Web版2025年公開)で、ハインケルが封印していた「黒球」が解け、本物のフィルオーレ=フェルトの記憶が完全には封印されていなかったことが明かされる。フェルトは奇襲によりハインケル一味の計画を粉砕し、ライ・バテンカイトスが解放した三大魔獣「黒蛇」との激闘の中で真王としての覚醒を果たす。

第九章はまだ完結していないが、フェルトが「フィルオーレ・ルグニカ」として正統王女の名乗りを上げる結末は、ほぼ確定的とみなされている。

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第九章での覚醒──フィルオーレ誘拐事件と決意

第九章の核心は、フェルトという少女が「偽名」を捨てて「本名」を取り戻す物語である。

ハインケル・アストレアの陰謀

ラインハルトの父、ハインケル・アストレアは、息子への屈折した憎悪と、自分の妻テレジアを失った復讐心から、王選そのものを破壊しようと画策する。彼が利用したのが「フィルオーレ・ルグニカが本当は別の場所に隠されている」という偽情報の流布だった。賢人会議の重鎮の一部は、貧民街育ちのフェルトを「正統王女」と認めることに抵抗があったため、別の少女を「真のフィルオーレ」として擁立する陰謀に乗りかけていた。

本物のフェルト=フィルオーレ覚醒

第九章44話で、ハインケルが封じていた「黒球」内のもう一人のフィルオーレが解放されるが、その正体はハインケルが14年間隠し持っていた「記憶を植え付けられた身代わり少女」だった。だが、彼女には本物の記憶の断片も残されており、フェルト陣営との連携で陰謀の全貌を暴露した。

この瞬間、フェルトは自身の中で「盗品蔵で育ったフェルト」と「王城で生まれたフィルオーレ」が統合される心理的覚醒を経験する。彼女は「どちらかを選ぶ」のではなく、「どちらでもある」ことを受け入れ、真の意味で王選に立ち向かう資格を得た。

「アタシはフェルトだ。アタシはフィルオーレ・ルグニカだ。
どっちもアタシで、どっちでもないアタシなんていねぇ。
──だから、これがアタシの王様への第一歩ってわけだ」

──第九章44話「水面下の密約」

フェルトの名言・名シーン3選

名言1「あいつのためなら、王様にだってなってやる」

第三章、ロム爺奪還のために王選参加を決意した瞬間の独白。これがフェルトという少女のすべてを物語っている。彼女が王座を求める理由は野心ではなく、「たった一人の家族」を救うためなのだ。

名言2「アタシは貴族が嫌いだ。だから全部ぶっ壊してやる」

賢人会議での所信表明。リゼロ世界の王選史上、もっとも反逆的な所信演説である。だが、その裏側にあるのは「このままでは救えない者がいる」という痛切な認識だ。フェルトは破壊それ自体を目的としているのではなく、破壊することでしか守れないものがあると信じている。

名言3「ラインハルト、お前はアタシの剣だ。アタシが鞘から抜くまで眠ってろ」

第七章で、ヴォラキア帝国へのラインハルト派遣を決めた際にフェルトが告げた言葉。世界最強の剣士に対して「眠ってろ」と命じる小柄な少女──この主従の対等性は、リゼロ全体でも稀有な関係性である。ラインハルトはこの言葉を「主の指針」として受け取り、ヴォラキアでの戦闘において終始フェルトの命令に従って動いた。

フェルト陣営──最下層の合議制

フェルト陣営は、他の王選陣営と比較して構成員が極めて少ない。だが、その「意思決定が水平的で、一人ひとりが主体性を持つ」点が独特である。

役職 名前 背景
陣営主 フェルト(フィルオーレ・ルグニカ) 第41代王弟の娘/レイドの末裔
騎士 ラインハルト・ヴァン・アストレア 剣聖/加護多数の最強戦士
参謀 ロム爺(バルガ・クロムウェル) 亜人戦争の元大参謀
実働部隊 ガストン 盗品仲間/力自慢
実働部隊 ラチンス 盗品仲間/知恵者
実働部隊 カムバリー 盗品仲間/斥候
協力者(亜人) ロム爺の旧人脈多数 亜人戦争世代

意思決定は基本的にフェルトが「」で下し、ロム爺が「道理」で補正し、ラインハルトが「実行」する三段構えである。エミリア陣営のような複雑な政治経済構造を持たない代わりに、機動力と即応性に優れる。

フェルトに関する考察──王選後の世界線

もしフェルトが王位を勝ち取ったら

ファンの間で長らく議論されてきたテーマが「フェルトが王になった後のルグニカはどんな国になるのか」である。彼女の所信表明「今ある王国をぶっ壊す」を文字通り受け取れば、ルグニカ王国は王制を放棄し、合議制(共和制)への移行を模索することになる。

具体的には以下のシナリオが想定される。

  • 貴族特権の段階的解体:世襲貴族の称号は維持しつつ、税制・立法権を段階的に縮小。アナスタシア型の商業立国モデルとの折衷案。
  • 亜人差別撤廃法:亜人戦争以来400年続く差別構造を、ロム爺(バルガ)の旧人脈と協議のうえで法的に撤廃。エミリア陣営の理想と部分的に合流する。
  • 賢人会議の改組:王ではなく「合議体」が最終決定権を持つ立憲君主制への移行。フェルト自身は「象徴」として君臨するが、実権は分散する。

これは、フェルトが14年間貧民街で「権力の腐敗」を肌で感じてきた経験から導き出される統治像である。「誰も飢えず、誰も追われず、誰も売られない国」を作るために、彼女は王冠そのものの意味を書き換えようとしている。

レイド・アストレアの遺志との交差

初代剣聖レイド・アストレアは「嫉妬の魔女」サテラと共闘し、四百年前の世界を救った英雄である。だが、彼自身は王制や貴族制を肯定したわけではない。むしろ「剣を持つ者の力で世を律する」という、ある種の実力主義者であった。フェルトの「破壊からの再生」というスローガンは、レイドの実力主義と完全に同じではないが、「古い秩序に縛られない」という精神的な系譜を継いでいる。

剣聖の血を引きながら剣を取らなかったフェルトが、別の形で「世を律する力」を獲得しようとしている──この皮肉でいて美しい構図は、リゼロという物語の血統テーマの真骨頂である。

アニメ4期以降のフェルト登場予想

2026年4月時点、アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』第4期が放送中である。第4期は第六章「賢者の遺す星々」をベースとしており、プレアデス監視塔編が中心となる。フェルトは第三章のメインキャラとしてアニメ第1期に既に登場しており、第4期では王選評価会議のシーンで再登場する可能性が高い。

第九章「名も無き星の光」のフィルオーレ覚醒シーンが映像化されるのは、おそらくアニメ第6期以降と予想される(第4期=第六章、第5期=第七章、第6期=第八章という換算)。声優の赤﨑千夏は2014年の第1期から続投しており、フェルトの王女覚醒シーンを演じることが期待されている。

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まとめ──「偽名で生きてきた本物の王女」というドラマ

フェルトという少女のドラマ的な核は、「盗品蔵の少女として14年間生きてきた魂が、ある日突然、自分が王女であると知らされたとき、人はどう生き直すのか」という問いに集約される。本作はその問いに対して、二者択一ではなく「両方を統合する」という答えを用意した。フェルトはフィルオーレ・ルグニカを名乗ることで貧民街時代の自分を否定するのではなく、「盗品蔵で育ったからこそ、王として知るべきことがある」という新しい王道を切り拓いていく。

剣聖レイドの末裔としての血、ルグニカ王家の正統な血、そして「ロム爺に拾われた孤児」としての魂──この三つを一身に背負ったフェルトは、第十章以降のリゼロ世界で「第42代国王候補」として、いかなる王国を創るのか。原作44巻時点で第九章はまだ完結していないが、彼女の物語は『Re:ゼロから始める異世界生活』という巨大な物語の中で、エミリアやスバルと並ぶもう一つの中心軸として、確実に最終局面に向かっている。

盗品蔵から始まり、王城で完成する──フェルトの物語は、ライトノベル史に残る「下層からの戴冠」の傑作なのである。

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