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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

【リゼロ9章ネタバレ】名も無き星の光のあらすじ・結末まとめ|フィルオーレ覚醒・アル裏切り・44巻最新

リゼロ9章ネタバレ 名も無き星の光のあらすじ・結末まとめ フィルオーレ覚醒・アル裏切り・44巻最新

『Re:ゼロから始める異世界生活』の原作第9章(Web版第九章『名も無き星の光』)は、前章にあたる第8章「大災編」(Web版第八章『ヴィンセント・ヴォラキア』)でヴォラキア帝国の『大災』が終わった翌朝から始まり、プレアデス監視塔でのアルの裏切り、ルグニカ王都を巻き込む追跡戦、そして『死に戻り』による決着までを描く章です。本記事は、Web版(小説家になろう)第九章1話『祈りよ雲のように』から終幕『Reweave』までの全話と、KADOKAWA公式の書籍紹介に当たり直したうえで、あらすじ・結末・アルデバランの正体・主要人物の動きを時系列で整理したものです(2026年10月7日時点)。

「アルの正体と目的は何だったのか」「ラインハルトとの戦いはどう終わったのか」「レムの記憶は戻ったのか」「フィルオーレとは誰なのか」――検索で多いこの四つの疑問には、それぞれ専用の見出しで答えています。目次から飛んでください。

⚠ 本記事は『Re:ゼロから始める異世界生活』第9章(Web版第九章・終幕まで/書籍39巻以降)の重大なネタバレを含みます。

アニメのみ視聴中の方、第8章未読の方はブラウザバック推奨です。アルの裏切り/真名ナツキ・リゲル/レムの記憶/ペトラの『憂鬱の魔女』/フェルトとフィルオーレ・ルグニカ/黒蛇/章の結末まで触れます。

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📖 あわせて読みたい:リゼロのキャラ・用語・設定を一覧で引けるリゼロ大図鑑、原作・アニメの“今の最新話”は最新話まとめでどうぞ。

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第9章「名も無き星の光」の基本情報

第九章の章題『名も無き星の光』は小説家になろうの公式目次に掲げられたものです。章の主役は、親からもらった名を一度も呼ばれることなく「アルデバラン」としか名乗らずに生きてきた兜の男――『後追い星』です。Web版では2025年11月27日公開の終幕『Reweave』で完結し、続く第十章『獅子王の国』が2026年1月30日に始まっています。

項目 内容
章題 第九章『名も無き星の光』(なろう公式目次)
Web版の範囲 第九章1話『祈りよ雲のように』〜59話『――じゃない』+幕間2本(『カチュア・オーレリー』『エール』)+終幕『Reweave』。終幕は2025年11月27日公開で完結
書籍版 39巻(2024年9月25日発売)から。KADOKAWA公式は39巻を「物語の舞台は『帝国』から『砂の塔』へ!待望の第九章突入!」と紹介。44巻(2026年3月25日発売)の公式あらすじが「アルデバランとの戦いが決着し」と述べ、同じ44巻から『神龍教会』の干渉による第十章の波乱に入る
主な舞台 城塞都市ガークラ(帝国)→ アウグリア砂丘の最寄りの町ミルーラ → プレアデス監視塔 → 砂丘の夜空 → ルグニカ王都(監獄塔・バーリエル別邸・貴族街)→ 王都西の廃採石場と山中 → アグザッド渓谷(カララギ都市国家)→ 監視塔『タイゲタ』の書庫 → 王都
中心人物 アルデバラン/ナツキ・スバル/ラインハルト/エミリア/ペトラ/レム/フェルト/ハインケル/ヤエ・テンゼン/ロイ・アルファルド
鍵になる言葉 『後追い星』/『領域』(マトリクス)/オル・シャマク/『死者の書』/『憂鬱の魔女』/『アルデバスターズ』/黒蛇/フィルオーレ・ルグニカ/『神龍教会』

書籍版の各巻に付いた公式の惹句(KADOKAWA書籍紹介)は次のとおりです。巻の区切りと章の区切りは一致しないため、「何巻までが第九章か」は公式の言葉の範囲で押さえておくのが安全です。

巻 発売日 公式の惹句 公式あらすじの要点
39巻 2024年9月25日 喪失と衝動の三十九幕 帝国からの帰還、再び砂の海を越えて『賢者』の消えた塔へ。「始めるよ、先生。――オレがオレであるために」
40巻 2025年3月24日 最強と最恐の四十幕 世界を敵に回すと宣言したアル――否、アルデバランと『剣聖』ラインハルトの死闘
41巻 2025年6月25日 願いと対価の四十一幕 王都で囚われの大罪司教を解放したアルデバランを阻む『氷結の魔女』。スバルの『死者の書』を読んだペトラが対価を差し出す
42巻 2025年9月25日 代償と研鑽の四十二幕 エミリア陣営とフェルト陣営の混成軍『アルデバスターズ』の総力戦。『紅桜』と『英雄の介添え人』が激突
43巻 2025年12月25日 祈りと喪失の四十三幕 限界を超えるアルデバランの権能が暴走し、『憂鬱の魔女』と化した村娘が終わらない地獄を見る
44巻 2026年3月25日 別離と鎮魂の四十四幕 アルデバランとの戦いが決着。王都では『神龍教会』の干渉により王選のさらなる波乱が芽吹く(第十章へ)

第9章のあらすじを時系列で(Web版1話〜終幕)

①帝国の戦後と帰国(1〜6話・幕間『カチュア・オーレリー』)

『大災』との決着から一夜明けた帝国は、崩壊した帝都に代わって城塞都市ガークラを仮の本営とします。ヴィンセント・ヴォラキアはプリシラ・バーリエルの訃報を聞き、沈黙ののちに「――そうか」とだけ答えました(1話)。皇帝とミディアム・オコーネルの婚姻は、兄フロップが提案し皇帝が承諾したものです(3話)。ルグニカ側では、オットーが「王選の最中に候補者が欠けた場合、『賢人会』はどう動くか」を早くも考え始めています(2話)。

エミリアはプリシラと友達になれると思っていたことをマデリンの肩で泣きながら語り、同じ場面で現れたハインケルは、身なりも整えられない姿でエミリアの手を掴み「仕えさせてほしい」と縋って、マデリンに殴り倒されます(4話)。スバルは、素性を偽って剣奴たちを戦乱に引き込んだケジメとして、プレアデス戦団の団員931人に対する931発の拳打を代表のヴァイツから受け続ける『スパルカ』を続けていました(5話)。ヴィンセントの執務室で、プリシラが最後に自分を「本当の騎士」と呼んだと告げたスバルは、皇帝から「大儀であった」と返され、ベアトリスを抱いて泣き崩れます(5話)。

出立の朝、スピカは帝国に残り、『大災』で生き返った屍人を『星食』でオド・ラグナのもとへ還す役目に就きます。同行するのはセシルスとアラキアです(6話)。そして帰路の竜車で明かされるのが、この章の発端です。プリシラの最期に立ち会い、以後部屋に籠もり続けたアルは、スバルに「兄弟、頼みがある」と頼みました。『賢者』の塔にあるはずのプリシラの『死者の書』を読みたい、という頼みです(6話)。幕間では、帝国に残ったカチュア・オーレリーが、兄ジャマルの『親将』就任と、ある男との婚姻届を残して姿を消す顛末が語られます。

②再び砂の塔へ(7〜10話)

三ヶ月ぶりに訪れた町ミルーラから、スバル・ベアトリス・ペトラ・ガーフィール・アルの五人がアウグリア砂丘へ向かいます(7話)。エミリアとオットーはプリシラの件を王城へ報告するため王都へ、ラムは屋敷で『記憶』の回復に取り組むレムの世話を、ロズワールとフレデリカはシュルトに同行してバーリエル領へ向かいました(9話)。案内役は、賢人会から罪の赦免と自由を取り付けたメィリィ・ポートルートです(7〜8話)。竜車ごと国の端から端まで飛ばせる家令クリンドがメィリィを連れてミルーラで合流し、アルはこのクリンドと「初対面」のはずなのに、なぜか黙って顔を見つめます(8話)。ハインケルは帝国を発つ数日前から行方知れずです(8話)。

塔の正門では、フェルト陣営の魔法使いエッゾ・カドナーと少女フラムが「高効率魔導式誘導扉」と名付けた自動扉で一行を迎えます(9話)。三層『タイゲタ』の書庫で『死者の書』を探す期限は三日。十数冊の『死者の書』を読んできたエッゾは、アルの目的が「プリシラの『死者の書』を読み、自分の中に彼女を上書きする疑似的な蘇生」ではないかと疑い、スバルたちは「アルを一人にしない」「アルより先に本を見つける」と申し合わせます(10話)。

③アルの裏切りとラインハルトの参戦(11〜15話)

初日の夜、スバルは書庫で『菜月・昴』――自分自身の『死者の書』を見つけ、『死に戻り』が知られる危険を恐れて書棚の上に隠します(11話)。その直後、アルは「――オル・シャマク」と唱え、スバルとベアトリスを黒い球体に封じました。地の文はここで初めて彼を「アル――アルデバラン」と記し、本来の目的を「ナツキ・スバルをこの世界から取り除くこと」と明かします(11話)。

「始めるよ、先生。――オレがオレであるために」

――Web版第九章11話『君はもうどこにもいない』(書籍39巻の公式惹句にも引用)

12話の冒頭で語られる常套句「領域展開、マトリクス再定義」が、アルデバランの権能です。帰国後の人選――ロズワールに4,061回、ラムとレムに972回、オットーに633回、フレデリカを外すのに94回、エミリアに5回、スバルには0回――という試行回数は、塔へ向かう同行者を彼が意図どおりに整えるまでのやり直しの回数でした(12話・30話)。彼は毒の薬包で自ら死んではやり直し、ガーフィールとエッゾを退け、黒い球体を飲み込み、塔の頂で自分の『死者の書』を『神龍』ボルカニカに読ませて、同じ記憶と目的を持つ『神龍』アルデバランを生み出します(12話)。フラムを289回のやり直しで制し、通路で道を開けたペトラから「あなたなんて、大っ嫌い」と言われたのが、彼が塔で受けた一番の深手でした(13話)。

砂海の上空で『神龍』を撃ち落としたのが、フラムの『念話の加護』で事情を知ったラインハルト・ヴァン・アストレアです(13話)。14話『最強』は、星を落とす戦いの果ての八千四百六十六回目の敗北から語り起こされ、次の八千四百六十七回目へと続き、16話で振り返られる十三万二千四十四回目でようやく終わります。瘴気の砂丘は『マナ過剰循環体質』のラインハルトが最も弱る場所であり、アルデバランは『神龍』の体で星を落とす禁術『アル・シャリオ』や『マギア・レールガン』を撃ち、十三万回を超えて初めてラインハルトの右肩を裂き、左腕を破壊します。それでも勝てず、彼が切った最後の札が「お前の親父さんの身柄を、オレの協力者が押さえている」という言葉でした(14話)。

ラインハルトは人質交渉には乗りません(15話)。同じ頃、塔ではペトラがスバルの鞄から題名を削り取られた『死者の書』を見つけて読み、この世界の禁忌である『記憶』に触れてしまいます。それはアルデバランが仕込んだ罠でした。東の果ての祠から『嫉妬の魔女』の魔手が黒い津波のように塔へ押し寄せ、ラインハルトはそれを押しとどめるために単身で立ちはだかります。プレアデス監視塔は、封印された『嫉妬の魔女』を監視するために建てられた――そう明かされるのもこの15話です。アルデバランは『神龍』の背で砂海を抜けました。

④共犯者たちとフェルト陣営の待ち伏せ(16〜23話)

ミルーラの酒場に現れるのが、アルデバランの共犯者たちです。王国の『無駄飯喰らい』ハインケル・アストレアは、眠り続ける妻ルアンナを目覚めさせる『龍の血』を報酬に協力しており、『太陽姫』の命を狙って帝国から送り込まれた女シノビ『紅桜』ヤエ・テンゼンは、アルデバランに心を折られて従っています(16〜17話)。アルデバランは町の人々に「七日で、世界の終わる原因を取り除く」と告げ、ヤエとは「目的を遂げたらちゃんと死ぬ」と指切りを交わしました(16〜17話)。

西へ向かう一行を、フェルト陣営の五百人が待ち伏せます(17〜18話)。大参謀は「バルガ・クロムウェル」の名を持つロム爺(21話)。倒木砲の動力役にされたハインケルも含め、アルデバランは不殺を貫き、何度も死んではやり直して五百人を退けますが、五百人の波状攻撃で判断を狂わされ「今、オレは負けてた」と認めます(19〜22話)。戻ってきた『神龍』は、フェルトを「ファルセイル」――王国と龍の盟約を主導した最後の『獅子王』ファルセイル・ルグニカの名で呼び、彼女の頼みを拒めません。フェルトは「アタシが、そっちの人質になる」と自ら申し出て、五百人を無傷で退かせました(22話)。アルデバランが語った最終目的地は、カララギの真ん中にあるモゴレード大噴口。「そこに、捨てなきゃならねぇもんがあるんだよ」(22話)。

その「捨てる」前に、彼は寄り道をします。王都の監獄塔に407回のやり直しで潜入し、『神龍』の牙を触媒に封印を破って、『暴食』の大罪司教ロイ・アルファルドを解放。親指の血で「誓約の呪印」を刻み、「お前の権能で喰ってもらいたい相手がいる」と告げます(23〜24話)。一方、砂丘を脱出する竜車では、意識を取り戻したペトラがパトラッシュを御し、彼女にしか見えない『スバル』の声が応えていました(23話)。

⑤王都の攻防――『氷結の魔女』と『剣鬼』(24〜30話)

監獄塔を飛び出したアルデバランを待っていたのは、季節外れの寒波と粉雪、そして「――スバルと、ベアトリスを返して」と告げるエミリアです。地の文は彼女を『氷結の魔女』と呼びます(24話)。居場所を突き止めたのは『言霊の加護』を限界まで使ったオットーで、「言い分を聞きたい気持ちは堪えて」先制攻撃を指示したのも彼でした(25話)。エミリアはスバルを手本にした氷の兵隊でアルデバランを組み伏せ、「私と話すとき、ちゃんとこっちを見なさい」と蹴りを打ち込みます(25話)。

バーリエル別邸には、オットーの要請でヴィルヘルム・トリアスが乗り込み、ヤエと剣を交えます(26話『剣鬼VS紅桜』)。人質のフェルトを助けに『神龍』が飛来し、『剣鬼』は『神龍』と斬り結びます(27〜28話)。その背後から、ハインケルが父を剣『アストレア』で刺しました。「ルアンナが取り戻せない」「俺がやらなきゃいけない」(28〜29話)。王都の空には『神龍』が浮かべた百メートル規模の岩塊。エミリアは街を守るほうを選び、アルデバランを取り逃がします(30話)。

⑥『アルデバスターズ』の総力戦と水面下の密約(31〜46話)

王都西の廃採石場で一味は再集結し、アルデバランの数えるカウントは六千七百二十四に達します(31話)。追う側では、ペトラが『死者の書』で知ったスバルの『死に戻り』を胸にしまい、フラムとグラシスの『念話の加護』でフェルト陣営と連携を取り(32〜33話)、クリンドから『憂鬱』の魔女因子――距離や思考を縮める『圧縮』の力――を預かります(42話・56話)。

この最中に起きるのが、レムの記憶回復です。ロズワール邸の自室で、スバルが毎日磨いていたモーニングスターに触れた瞬間、レムの中に記憶の奔流が戻り、周囲の人々のレムに関する記憶も蘇りました(35話『目覚めの星』)。レムは「スバルくん」を次に愛を伝える相手として思い浮かべます。ハインケルについても事実が積み上がります。妻ルアンナ・アストレアは十年以上眠り続けており、その眠りの原因はラインハルトだった――フェルトの推論(36話)は、44話でハインケルの内心として確定します。

オットーがロイに『記憶』を喰われ(39話)、レムの姿がアルデバランの『記憶』を爆発させる「フラッシュレムネード」を経て(40話)、エミリア陣営とフェルト陣営の混成軍『アルデバスターズ』の総力戦が始まります(41話)。ペトラは敵の前で「『憂鬱の魔女』、ペトラ・レイテって」と名乗り(42話)、前線組は『暴食』対策として正式な改名の儀で名前を入れ替えていました(43話『真名』・58話)。

そして44話『水面下の密約』。ハインケルはフェルトを羽交い絞めにして剣を押し当てます。回想で語られるのは、十五年前に王城から誘拐された王族フィルオーレ・ルグニカ――第四十一代国王ランドハル・ルグニカの弟フォルド・ルグニカの息女であり、ハインケルが誘拐の容疑をかけられた(濡れ衣だった)少女の名です。ロイの『蝕』が成立したように見えたことで、ハインケルは目の前の少女がフィルオーレだと確信しますが、実際はフェルトが『記憶』を喰われたフリをし、クルシュの物真似でフィルオーレを演じていただけでした。ロイとの密約を破った代償として、『保険』の黒蛇――『白鯨』『大兎』と並ぶ三大魔獣――がフェルトの影から招来されます(44話)。ロム爺が「フォルドの娘を守れ!」と叫ぶと、ハインケルはロイを斬り払い、ロム爺を突き飛ばして、自ら黒蛇の汚濁に呑まれて消えました。フェルトは「アタシの血は貧民街の水とパンでできてんだよ」と言い放ち、号令役として混成軍を率います(45話)。黒蛇は退けられ、汚濁の溜まりからは赤毛の男が転がり出て、生きていました(46話)。

⑦アグザッド渓谷の決着と『死に戻り』(47〜59話・幕間『エール』・終幕『Reweave』)

47話の時点で、戦いは三つに分かれています。山中では『暴食』ロイとの戦い、岩地帯では『憂鬱の魔女』の権能で戦場を移した『神龍』とロズワール・クリンドの戦い、そしてアグザッド渓谷の上空では、落下しながらエミリアとレムがアルとヤエに挑みます(47話)。エミリアは氷のスバル像を作って戦い(50話)、レムはヤエを打ち倒します。57話の回想では、レムが「命まで取るつもりはありません」と治癒をかけたことが語られます(51話・57話)。52〜53話『アルデバランⅠ・Ⅱ』で語られるのが、彼の過去です。アルデバランは『強欲の魔女』に創られた『後追い星』であり、初陣で負けた彼を庇った『魔女』は手足を失い、最後の詠唱「オル・シャマク」とともに彼を封じました。目覚めたのは何百年も後の剣奴孤島ギヌンハイブ。新入りの登竜門『スパルカ』を304回のやり直しで生き延び、十年以上を剣奴として過ごしています。左腕は「肩口から影に持っていかれた」ままです。

52話は『魔女』との記憶から始まり、すでにアグザッド渓谷を落下中の現在に戻ります。奇襲の転移で『領域』の外へ放り出され、超高高度からの落下を自害とやり直しで切り抜けてきた経緯が、ここで振り返って語られます(この転移がペトラの『圧縮』だったことは56話で語られます)。追いついたエミリアの「話をしましょう」に、彼は「王都のときと変わらねぇよ」と飛礫で応じ、最後は王都と同じく自分を人質にする切り札を切って、エミリアは彼を庇って気絶します。辿り着いた先も、国境を越えたカララギ都市国家のアグザッド渓谷です(52〜53話)。彼が「悪いな、エミリア……嬢ちゃん」と呼びかけた直後、フィルオーレ・ルグニカ――否、フェルトが率いる混成軍が立ちはだかりました(53話)。

54〜56話は、ペトラの章です。『領域』には「主導権が相手に移り、相手が終わらないやり直しを繰り返す」バグがあり、ロム爺が倒れたのを皮切りに『アルデバスターズ』は次々と崩れ落ちます(54〜55話)。フェルトに「テメーにゃ自分ってもんがねーのかよ」と糾弾されたアルデバランは、初めて自分からそのバグを起こし、ペトラ一人を一万回以上のループへ閉じ込めました(55〜56話)。心が砕けかけたペトラは、それでも「もう諦められないし、後悔もできないし、悔しくても泣けないし、大好きなみんなのことも忘れられないの。――そういう『魔女』になったの」と立ち上がり、アルデバランのトラウマを『圧縮』してぶつけてループを終わらせます。背後に立っていたのは『青』のフェリス。最大級の治癒魔法で、アルデバランは「死ねなく」なりました。死ななければ、やり直せません(56話)。『神龍』の最後の息吹はモゴレード大噴口に命中し、追い詰められたアルデバランはロイに向かって叫びます。「オレの『名前』を喰え!!」「リゲル。――ナツキ・リゲルだ!!」(56話)。

ヤエがアルデバランを抱き留めて止め、エミリアが鉄砲水を凍らせて二人を守ったところへ、「――そこまでだ」の声が落ちます(57話)。58話『鎖の音』。ロイは、改名後の名を「――ペトラ・バウマンだよ」と明かしたペトラの『名前』を喰らい、その瞬間、砂丘で三日三晩ラインハルトと戦っていた『嫉妬の魔女』の残影が消えました。ラインハルトは自ら致命傷を負い、『不死鳥の加護』で戦場に蘇って現れます。フェルトは「――あと、任せた」。ラインハルトはロイを介錯し、アルデバランの腹から黒球を取り出して、「ここに封じられているのはスバルだろう? ――それなら、抜ける」と『龍剣』レイドを抜き、黒球を断ち割りました。解放されたスバルの第一声は「――レム!!」。

「また、今の私に……レムに、あなたを愛し直させてくださいね」

――Web版第九章58話『鎖の音』(書籍43巻の公式惹句にも引用)。この言葉のあと、レムは鉄球を放ち、最後の一行「――愛してる。」で場面が切れます

59話『――じゃない』の舞台は、塔の初日の夜の書庫です。スバルは『死に戻り』で戻っていました。黒球の中でベアトリスが禁術の術式を解読し、スバルに切り札を持たせていたのです。アルが禁術の門を開こうとした瞬間、スバルは「――オル・シャマク」を詠唱し、アルデバランを黒い魔玉に封じました。「絶対に勝たなければならなかった戦いに、また負けた」――彼の世界は暗転します。スバルはペトラを抱きしめ、「大丈夫じゃ、ない」と泣き、「俺は必ず、お前も救ってみせる」とアルに誓いました。地の文はペトラを「『憂鬱の魔女』とならなかった少女」と記します(59話)。幕間『エール』は、ペトラの作戦の終着点が最初からスバルの『死に戻り』によるリセットであったこと、そしてレムが自力で『死に戻り』に気付いていたことを語ります。

終幕『Reweave』。バーリエル邸ではプリシラがシュルトを「シュルト・バーリエル」として嫡子に迎える書状が披露され、帰ってきたヤエが「アル様を待たないといけない」と屋敷に留まります。ハインケルは森の小屋にヤエに縛られて放置され、「待ってろ、ルアンナ、ラインハルト」と歩き出します。スバルはアルを封じた魔玉を首から下げ、『暴食』に「喰ったものを吐き出させる」ために王都へ。そして王城に、『神龍』ボルカニカを崇める『神龍教会』の修道女が現れ、フェリスに「クルシュ様を救える」と告げて名乗りました。「――フィルオーレ。それが、わたくしの名前よ」。

結末はどうなった?――『死に戻り』でなかったことになった戦い

第九章の結末を一言でいえば、12話から58話までの戦いはすべて、スバルの『死に戻り』によって「起きなかったこと」になった、です。58話の末尾、レムの鉄球を受けたスバルは死に、戻った先は11話の夜――アルが禁術を使う直前の書庫でした(59話)。

  • アルデバランは、禁術を使う前にスバルの「オル・シャマク」で魔玉に封じられ、スバルが首から下げて王都へ運んでいます(59話・終幕)。
  • ラインハルトとの戦いも、『嫉妬の魔女』の魔手も、戻った時間軸では起きていません。
  • ロイ・アルファルドは解放されておらず、王国が身柄を押さえたままです。スバルは「『暴食』と会って、全部吐かせる」と王都へ向かいます(終幕)。
  • レムの記憶は、戻った時間軸ではまだ回復していません。スバルは「レムの『記憶』も『名前』も」『暴食』の中にあると考え、鉄球を撃ち込んだ姿で彼女が自分を取り戻していたと確信しています(終幕)。
  • ハインケルは、連絡の途絶えたアルデバランの計画を「失敗」と見たヤエに縛られ、森の小屋に放置されました(終幕)。
  • ペトラは『憂鬱の魔女』にならずに済み、ヤエとの約束どおり「最期を見届ける」はずだったアルデバランは、ヤエの前に戻ってきませんでした。

つまり第九章は、アルデバランがスバルを取り除く計画を「十三万回以上の試行」で押し通した章であると同時に、その全部をたった一度の『死に戻り』が巻き戻した章です。だからこそ、終幕でスバルは「ちゃんと知っていくよ。俺がいったい、何を背負ったのかを」と魔玉に触れるのです。

アルデバランの正体と目的

真名「ナツキ・リゲル」と『後追い星』

「アル」は通称で、地の文が11話から彼をアルデバランと記します。56〜57話で彼自身が叫んだ真名が「ナツキ・リゲル」です。57話の地の文は、それを「『後追い星』を名乗る前のアルデバランの真名」「一度も直接呼ばれたことのない親からもらった名」と説明します。ペトラはこの名を聞いて、「リゲルは星の名前、ナツキはスバルと同じ家名」であり、スバルと無縁ではないと驚きますが、二人の関係そのものは第九章の本文では明示されていません(58話)。書籍39巻の公式あらすじはアルを「失意の同郷者」と呼び、42巻の公式あらすじは『後追い星』と『昴星』の戦いと表現しています。

彼は『強欲の魔女』に創られた存在です(52〜53話)。『魔女』から与えられた存在意義は、他の『魔女』たちの死因となった「一人」を「殺してもらわなくちゃならない」こと(52話。その一人の名は本文で明示されません)。『魔女』は性能実験と称して百万回を超える『死』を彼に与え、初陣で負けた彼を庇って手足を失い、「オル・シャマク」で彼を封じました。目覚めた先は何百年も後の剣奴孤島、以来「黒球から解放されてからの十八年間」(55話)を、彼はアルデバランとして生きています。

目的は一貫しています。16話で町の人々に告げた「世界の終わる原因を取り除く」、11話の「ナツキ・スバルを取り除く」、そして58話の内省で語られる全体像――「世界を終わらせる『魔女』を生まない」。『魔女』の教えで『魔女』を殺そうとして失敗し、プリシラを王にすることで殺そうとして失敗し、スバルを除くことで殺そうとして失敗した、という三つの失敗が並べられます(58話)。彼は「世界を壊したいのではなく、むしろその逆だ」とも言い(15話)、不殺を貫き、ラインハルトについては「地獄の蓋を閉じる役目」だから死なれては困ると考えていました(15話)。

権能『領域』――「領域展開、マトリクス再定義」の仕組み

アルデバランの権能は本文で『領域』、あるいは『時間遡行』と呼ばれます(47話・54話)。スバルの『死に戻り』とは似て非なるものです。

項目 スバルの『死に戻り』 アルデバランの『領域』
発動 スバルの死。命と引き換えに時を遡る(24話冒頭) 自らの死。毒の薬包などで死ぬと、定義した地点へ戻る(12話・17話)
戻る地点 スバルが自分で選ぶ描写はない 「領域展開、マトリクス再定義」で自分が定義した地点。ラインハルト戦では不測の事態に備えて十五秒間隔で更新しており、更新より前には戻れない(14話)
制約 『嫉妬の魔女』の干渉を受ける(24話冒頭) 効果範囲があり、領域の外に出されると崩れる(52話)。精神の安定が必要(30話)。死ねなければ戻れない(56話)
由来 ―― 魔女因子所縁の権能だが、アルデバランは魔女因子の所有者ではない「番外」(55話)
弱点 ―― 『領域』のバグ。主導権が相手に移り、相手が終わらないやり直しに閉じ込められる(55〜56話)

この権能ゆえに、彼は一つの局面を何千回、何万回と挑み直せます。章内で数えられる回数は、ラインハルト戦の十三万二千四十四回、王都作戦の六千七百二十四回、ロイ制圧の六千二十二回など。「星が悪かったんだよ」は、負けを認めるとき、次の試行へ進むとき、自分を諦めさせるときに彼が繰り返す言葉です(14話・55話・59話)。

禁術オル・シャマクと『強欲の魔女』

スバルとベアトリスを封じた「オル・シャマク」は、対象のゲートを強制的に封鎖して身動きも封じる、対『魔女』用の拘束と封呪の禁術です。作り出した『魔女』自身が書に残さず、アルデバランだけに口伝しました(12話)。『大災』ではスピンクスに使いましたが、魔女因子を欠くスピンクス相手には本領を発揮せず、正しく発動したのは塔の夜が初めてでした(12話)。最後にはベアトリスがこの術式を黒球の中で解読し、スバルがそれを逆にアルデバランへ使います(59話)。

星の名前について(天文学上の事実)

スバル・アルデバラン・リゲルの名は星にちなみます(作者は公式Q&Aで、星に由来する名前のキャラクターがいる一方、響きなどで決めた名前もあると説明しています)。アルデバランはおうし座の一等星で、アラビア語で「後に続くもの」を意味し、プレアデス星団(和名「すばる」)の後を追うように昇ることに由来します。和名でも「後星(あとぼし)」と呼ばれました。リゲルはオリオン座の青白い一等星(β星)です。終幕の地の文がアルデバランを『昴の後追い星』と記すのは、この星の配置をなぞった呼び名です。

ラインハルトとアルデバランの戦いの結末

砂丘の夜の戦い(13〜15話)は、ラインハルト側から見ると「勝ったが止められなかった」戦いです。14話は彼を『心技体』に分けて語ります。体は『マナ過剰循環体質』で常時強化状態、技は八千回の衝突で判明した二百五十一個の加護、心は「世界の敵を殺すための歯車」。アルデバランは『神龍』の体で星を落とし(『アル・シャリオ』)、無酸素空間を作り(『アル・ゴーア』)、『マギア・レールガン』で初めて彼の血を流させますが、「――そこまでだ」の一撃で何度も終わります。十三万回を超えて勝てなかった彼が切ったのは、父ハインケルの身柄という切り札でした。

ラインハルトは人質交渉に乗りません。アルデバランも、最初からラインハルトを死なせるつもりはなかったと内心で語ります(15話)。戦いを「水入り」にしたのは、ペトラが『死者の書』を読んだことで塔へ押し寄せた『嫉妬の魔女』の魔手です。ラインハルトは両腕を傷つけたまま砂丘に踏みとどまり、三日三晩それを押しとどめ続けました(15話・18話・58話)。

その間、王都では祖父ヴィルヘルムが『神龍』と斬り結び、背後から息子ハインケルに刺されます(28〜29話)。ラインハルト自身が再び戦場に立つのは58話。『嫉妬の魔女』の残影が消えた瞬間に自ら致命傷を負い、『不死鳥の加護』で主フェルトのもとに蘇って現れ、ロイを介錯し、黒球を『龍剣』で断ち割ってスバルを解放しました。ただしこの決着も、59話の『死に戻り』で巻き戻されています。

ハインケルと眠り続ける妻ルアンナ

第九章で初めて名前が語られるハインケルの妻はルアンナ・アストレアです(16話で初めて名が出て、36話で「ラインハルトの母であり、ハインケルの妻」と明記)。十年以上眠り続けており、その被害は『暴食』の『眠り姫』と似て非なるもの。ハインケルが家名で無理を通してきたのは彼女を目覚めさせるためでした(36〜37話)。なお、剣聖テレシアはヴィルヘルムの妻でラインハルトの祖母、ハインケルの母です。この章ではテレシアの葬儀の回想(27話)に名が出ます。

ハインケルの軌跡を章の順に追うと、次のようになります。

  1. プリシラの死後、身なりも整えられない状態でエミリアに仕官を迫り、マデリンに殴り倒される(4話)。帝国出立の数日前に失踪(8話)。
  2. ヤエに唆され、『龍の血』でルアンナを目覚めさせる機会を条件にアルデバランへ協力。ラインハルト攻略の「切り札」として身柄を利用される(14話・16話・終幕)。
  3. 十五年前、王弟フォルドの娘フィルオーレ誘拐の容疑をかけられた過去(濡れ衣)が語られる。フォルドには大恩があった(44話)。
  4. 王都で『神龍』と戦う父ヴィルヘルムを背後から刺す。理由として口にしたのは、ルアンナを取り戻すこと(28〜29話)。
  5. ルアンナの眠りの原因がラインハルトであることを、フェルトに見抜かれる(36話・44話)。
  6. フェルトを人質に取るが、ロム爺の「フォルドの娘を守れ!」に応えてロイを斬り払い、黒蛇の汚濁に呑まれる。汚濁から転がり出て生きていた(44〜46話)。
  7. 『死に戻り』後の終幕では、ヤエに縛られて森の小屋に放置され、「待ってろ、ルアンナ、ラインハルト」と歩き出す。

ルアンナがなぜ眠りについたのか、その経緯の詳細は第九章では語られません。ここは第十章以降に持ち越された部分です。

フェルトとフィルオーレ・ルグニカ――「水面下の密約」の真相

フェルトの出自を巡る記述は、第九章で段階的に積み上がります。『神龍』ボルカニカの残留思念は彼女を「ファルセイル」――最後の『獅子王』ファルセイル・ルグニカの名で呼び、フェルト自身は「髪と瞳の色だけで取り違えたわけではない」と考えつつ、「一応の結論」を口にしません(22話)。アルデバランの内心では「ルグニカ王城で話題に上がったフェルトに関するあの疑惑は、ほとんど裏付けられた」と記され(23話)、ヴィルヘルムは彼女を「竜歴石の選んだ五人の一人」として王器を認めます(27話)。

44話『水面下の密約』で、十五年前に王城から誘拐された王族フィルオーレ・ルグニカ(第四十一代国王ランドハルの弟フォルドの息女)の名が出ます。ハインケルはロイの『蝕』が成立したと見て、フェルトがフィルオーレだと確信しました。しかし種明かしは逆です。フェルトはロイと密約を結び、『記憶』を喰われたフリをして、クルシュの物真似で「知りもしない王族」を演じていました。フェルト自身は「自分が何者かはどうでもいい」「勝つのはアタシだけだ」と考えています(44話)。ロム爺が「フォルドの娘を守れ!」と叫び、ロイが「王室生まれの血」と揶揄しても、彼女の答えは「アタシの血は貧民街の水とパンでできてんだよ」でした(45話)。

そして『死に戻り』後の終幕で、『神龍教会』の修道女が「――フィルオーレ。それが、わたくしの名前よ」と名乗ります。地の文は「十五年前に王城から連れ去られ、行方をくらました王弟の息女」「王族の特徴である金色の髪と紅の瞳」「消えた王女と同じ名前を名乗った」と記すのみで、この修道女がフェルトと同一人物かどうかは第九章の本文では明示されていません。書籍44巻の公式あらすじは彼女を「かつて行方知れずとなった王女と同じ名前、同じ特徴を持つ『聖女』フィルオーレ」と紹介し、45巻では「『神龍教会』の『聖女』フィルオーレを新たな候補者に加え」と続きます。ここから先は第十章の領域です。

レムの記憶回復と、ペトラ『憂鬱の魔女』

レムの記憶は、35話『目覚めの星』で戻ります。ロズワール邸の自室の隅にあったモーニングスター――スバルが布と油で毎日磨いていた棘付き鉄球――に触れた瞬間、山間の里、白い鯨、折れた角、少年、と記憶の奔流が押し寄せ、同時に周囲の人々のレムに関する記憶も蘇りました。ラムは「愛しいレムを忘れていた自分に失望している」と抱きしめ、レムは「姉様、大好きです」と答えます。58話では記憶を取り戻した彼女が「また、今の私に……レムに、あなたを愛し直させてくださいね」と告げて鉄球を放ち、58話の最後の一行「――愛してる。」へ繋がります。ただし、59話の『死に戻り』で戻った時間軸では、レムの記憶はまだ戻っていません。終幕のスバルは「レムの『記憶』も『名前』も」『暴食』の中にあると考え、王都へ向かいます。

ペトラ・レイテは、この章で最も大きく変わる人物です。スバルの『死者の書』を読んで『死に戻り』を知り(32話)、クリンドから『憂鬱』の魔女因子を預かり、「『憂鬱の魔女』、ペトラ・レイテって」と名乗ります(42話)。『圧縮』は、距離・思考・時間・苦痛を縮める力で、その代価は本来大勢で分け合う約束でしたが、ペトラ自身の判断で使った分の代価は彼女が払っています。「飲酒をしない」「手紙を書かない」「歌を歌わない」「故郷に帰らない」「人前で泣かない」「誰の手も握らない」「誰とも朝日を眺めない」……各話の冒頭に置かれた誓いの文は、その代価の一覧です(56話)。一万回を超えるループの果てに「そういう『魔女』になったの」と立ち上がり、改名後の名「ペトラ・バウマン」を明かしてロイに自分の『名前』を喰わせ、『嫉妬の魔女』を退かせてラインハルトを呼び込んだのが彼女の作戦でした(56〜58話)。その終着点は、最初からスバルの『死に戻り』によるリセットです(幕間『エール』)。

だから59話の地の文は、スバルの「大丈夫じゃ、ない」を聞いて微笑む彼女を、「『憂鬱の魔女』とならなかった少女」と呼びます。ペトラの詳しい来歴はペトラ・レイテ完全解説にまとめています。

第9章の名場面10選

  1. 「始めるよ、先生。――オレがオレであるために」(11話)――アルが「アルデバラン」になる瞬間。
  2. 「あなたなんて、大っ嫌い」(13話)――三日間手伝うつもりだったペトラの涙声が、塔で彼が受けた一番の深手に。
  3. 八千四百六十六回目の敗北から十三万二千四十四回目へ(戦いは14〜15話、回数の総括は16話)――『最強』のラインハルトを相手に、星を落とし、酸素を焼き、初めて血を流させる。
  4. 「アタシが、そっちの人質になる」(22話)――『神龍』がファルセイルと呼ぶ少女が、五百人を無傷で退かせる。
  5. 「――スバルと、ベアトリスを返して」(24話)――季節外れの粉雪とともに現れた『氷結の魔女』。
  6. モーニングスターに触れて記憶が戻る(35話)――「姉様、大好きです」。
  7. 「『憂鬱の魔女』、ペトラ・レイテって」(42話)――村娘の名乗り。
  8. 「フォルドの娘を守れ!」(45話)――ハインケルが黒蛇に呑まれ、フェルトが「貧民街の水とパン」と答える。
  9. 「そういう『魔女』になったの」(56話)――一万回のループの果てに、ペトラが「あと何回する?」と問い返す。
  10. 「レムに、あなたを愛し直させてくださいね」→「――愛してる。」→「大丈夫じゃ、ない」(58〜59話)――鉄球の一撃で戻った書庫で、スバルが初めて弱音を吐く。

第9章で残された謎と第10章への繋がり

  • 魔玉の中のアルデバラン――スバルが首から下げて王都へ運びました。「俺は必ず、お前も救ってみせる」という誓いの行方は第十章へ(59話・終幕)。
  • 「殺さねばならない一人」は誰か――『後追い星』の存在意義として語られますが、名は本文に出ません(52話)。剣奴孤島で彼が聞いた伝承では『嫉妬の魔女』が『三英傑』に封じられたと語られ(53話)、スバルも『嫉妬の魔女』は死んでおらず封じられていると考えています(11話)。この「一人」を『嫉妬の魔女』と読むのは本記事の見立てです。
  • 修道女フィルオーレの正体――終幕では名乗りと容姿のみ。フェルトとの関係は明示されていません。書籍44〜46巻の公式あらすじでは『聖女』フィルオーレが王選候補者に加わります。
  • ルアンナの眠りの経緯――原因がラインハルトであることは44話で確定しましたが、何が起きたのかは語られていません。
  • ハインケルの行方――森の小屋から当てもなく歩き出したまま(終幕)。
  • レムの記憶と『暴食』――『死に戻り』後は未回復。スバルは『暴食』に吐き出させる方針で王都へ(終幕)。
  • クルシュの二つの呪い――『記憶』と『龍の血』。『神龍教会』は「クルシュ様を救える」と申し出ました(57話・終幕)。
  • 帝国に残ったスピカ――『星食』で屍人を還す役目を続けています(6話)。

第十章『獅子王の国』の内容は10章ネタバレ(獅子王の国)のあらすじ総まとめで追っています。

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まとめ――第9章は何を描いた章か

第九章『名も無き星の光』は、親からもらった名を名乗らず、呼ばれもせずに生きてきた『後追い星』が、十三万回を超えるやり直しで『最強』を押しのけ、王都を揺らし、仲間たちの総力戦を潜り抜け、最後に自分の真名を叫んだ章です。そしてその全部を、ペトラが代価を払って組み立てた作戦と、スバルのたった一度の『死に戻り』が巻き戻しました。

章の鍵を三つ挙げるなら、次のとおりです。

  1. 二つの時間遡行――自分で地点を定める『領域』と、死で戻る『死に戻り』。同じ力を持つ二人が、相手を「取り除く」側と「必ず救う」側に分かれた。
  2. 名前――ナツキ・リゲル、ペトラ・バウマン、フィルオーレ・ルグニカ。真名を喰う『暴食』の存在が、名乗ること・名を変えることの重さを浮かび上がらせた。
  3. 家族――ルアンナを目覚めさせたい父ハインケルと、父を止める息子ラインハルト。そして記憶を取り戻した時間軸で「姉様、大好きです」と告げたレム。

Web版の第九章は2025年11月27日の終幕で完結し、第十章『獅子王の国』が進行中です。書籍版は2026年9月25日発売の46巻まで刊行されています。アニメは4期(原作第六章『記憶の回廊』・プレアデス監視塔編)が2026年9月30日の第85話で放送を終え、第7章以降のアニメ化は2026年10月22日時点で公式に発表されていません(見通しはアニメ5期はいつ?にまとめています)。第9章がいつ映像で描かれるかは、まだ誰にも分かりません。

――第九章『名も無き星の光』。それは、名を持たない星が名を叫び、その叫びごと巻き戻された夜を、スバルが「背負うと決めた」ところで終わる物語です。

アニメ1期・2期配信中/月額550円(税込)

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