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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

「リゼロ」フェルト Arc9解説|最終章で王選最年少候補が見せた王の覚悟

『Re:ゼロから始める異世界生活』第九章「名も無き星の光」は、ナツキ・スバルの最終章であると同時に、ルグニカ王国の王選を本当に決着させる章でもある。エミリア、クルシュ、アナスタシア、プリシラ──Arc8までで存在感を増した4人の王選候補のなかで、Arc9の物語の重力に最も鋭く反応するのが、五人目の候補・フェルトだ。

Arc1で「徽章を盗んだだけのコソ泥」として登場した盗賊少女が、Arc6で風の加護を本格開花させ、Arc7で王国本土を守り抜き、Arc8で王族の血の伏線を一気に重ねてきた。そしてArc9──ついに彼女は、自らの本名「フィルオーレ・ルグニカ」と向き合い、ラインハルトとの関係を「主従」から「対等な戦友」へと書き換え、王選最年少候補として「王の覚悟」を引き受ける。

本記事ではArc9に特化して、フェルトの動向・心境・ラインハルトとの関係・風の加護の活用・王選最終局面での判断、そしてArc10以降に残された伏線までを、原作・Web版の情報をもとに整理する。

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目次

フェルトのプロフィール(Arc9時点)

まずはArc9に踏み込む直前のフェルトの基本情報を整理する。Arc1〜Arc8で蓄積されてきた要素が、Arc9で「フィルオーレ・ルグニカ」としてひとつに束ねられる──その出発点を確認したい。

項目 詳細
通名 フェルト(ロム爺が貧民街で名付けた愛称)
本名(Arc9で判明) フィルオーレ・ルグニカ(14年前に誘拐された王弟フォルドの娘)
外見 金髪・紅い瞳──ルグニカ王家の特徴と一致
所属 フェルト陣営(王選第五候補)
育ち 王都ルグニカ・貧民街/盗賊として生計
加護 風の加護(風を身にまとい敏捷性・速度を大幅強化)
騎士 ラインハルト・ヴァン・アストレア(剣聖・一の騎士)
陣営の側近 ガストン、ラチンス、カムバリー(旧黒銀貨の三人組)、ロム爺
声優 赤﨑千夏
王選公約 「この国をぶっ壊す」──血統や地位ではなく実力で評価される国へ
Arc9時点の年齢 15歳前後(王選候補の最年少)
Arc9での立場 王族の血を持つ正統候補/ラインハルトと対等な戦友/王選最終決着の鍵

フェルトの基本像は「リゼロ」フェルトは王弟御息女なのか?ロム爺に貧民街で育てられた理由で詳しく扱っている。Arc8までの動向はフェルトArc8解説、Arc7時点の役割はフェルトArc7解説に詳しい。本記事はArc9に絞って、彼女の最終章での歩みを掘り下げる。

Arc7〜Arc8でのフェルトの動向──Arc9に至る前史

Arc9のフェルトを理解するには、Arc7・Arc8で彼女がどこにいて何をしていたかを押さえる必要がある。

Arc7「殉情の神聖ヴォラキア帝国」──王国本土の守護役

Arc7でスバル・エミリア・ベアトリス・ガーフィール・オットーらは、ヴォラキア帝国に転送されて長期にわたる帝国動乱に巻き込まれていく。アル(アルデバラン)も帝国に潜伏。プリシラはArc7で帝国に乗り込み、皇帝ヴィンセント・アベルクスと対峙する。

主力が帝国に出払うあいだ、王国本土ルグニカの王選体制は誰が守るのか──Arc7でその役割を引き受けたのがフェルトだ。エミリア陣営の主要メンバーが帝国に転送されているあいだ、フェルトは王都に残り、ラインハルトが帝国へ出立した後の「ラインハルト不在の王都」で王選候補として動き続けた。クルシュ陣営との実務連携、アナスタシア陣営との情報・物資取引、貴族会との折衝──Arc4までは「ラインハルトに丸投げ」で済ませていた仕事を、彼女は陣営の三人組(ガストン・ラチンス・カムバリー)と共にこなしていく。

このArc7の経験こそが、フェルトを「お飾りの候補」から「実務に責任を持つ陣営の長」へと変えた。詳細はフェルトArc7解説(ID 5631)を参照されたい。

Arc8「帝都大崩壊」──王族の血の伏線

Arc8でも基本構造は変わらない。エミリア・スバル・ベアトリスら主力は帝国・帝都ルプガナで決戦を戦い、フェルトはルグニカ王国本土の守りに専念する。だがArc8では、彼女の周囲に決定的な変化が生まれる。

  • 王族の血の伏線が宮廷に共有される:14年前に誘拐された王弟フォルド・ルグニカの娘=フェルトという仮説が、貴族会の長老・教会の司祭・宮廷魔導師らの間で確信に変わっていく
  • ロム爺の沈黙の意味:ロム爺は彼女の出自を知っていた可能性が強く匂わされる。貧民街でフェルトを拾ったのは偶然ではなく、誰かに託された結果ではないか──という伏線がArc8で蒔かれる
  • クルシュ・アナスタシアとの実務同盟:王国軍部・商業ネットワークとの連携が深まり、フェルトは「敵対候補」ではなく「共同統治者」として動くようになる
  • 「ロム爺が安心して老後を過ごせる国にしたい」:Arc8でフェルトが初めて口にした、王選への個人的かつ最も真実な動機

これらの伏線がArc9で一気に回収されていく。Arc8の詳細はフェルトArc8解説(ID 5669)に書いた。本記事はその続きとしてArc9を読む。

Arc9開幕:「名も無き星の光」でのフェルトの立場

Arc9はArc8の大崩壊が一段落した直後から始まる。プリシラ・バーリエルが陽剣ごと焼失した穴は大きく、王国〜帝国の力関係は再編成の必要に迫られている。エミリア陣営は帝国から王国へ帰還し、王選評議会の続行を視野に入れて動き出す。

ここでフェルトが置かれる立場は、Arc8までと根本的に違う。

王族の血を持つ候補としての正統性

Arc9序盤、フェルトの正体──14年前に誘拐された王弟フォルド・ルグニカの娘・本名フィルオーレ・ルグニカ──が、王都の主要勢力にほぼ確定的に共有される。本人がそれをはっきり認めるかどうかは別として、ルグニカ王家を守護する神龍ボルカニカ由来の竜歴石が、結果的に「失われた王女」を選んでいたという事実は重い。「神龍の選定」と「王家の血統」の二重の正統性を持つ唯一の候補──それがArc9のフェルトの政治的価値だ。

もう一人の主力候補プリシラがArc8で陽剣の犠牲となり、エミリア・クルシュ・アナスタシアと並ぶ候補のなかで、フェルトの優位性は跳ね上がっている。王選評議会で「フィルオーレ姫の血統を以て、王権の継承順を再整理すべきだ」という声が、貴族会の保守派から堂々と上がるようになる。

アルデバランの暴走がフェルト陣営に与えた影響

Arc9序盤の最大の波乱は、アルデバラン(ナツキ・リゲル)によるスバルとベアトリスの拉致だ。アルはエミリア陣営全員を一手で欺き、スバルとベアトリスを連れ去ってしまう。この事件はエミリア陣営だけの危機ではない。プリシラを失ったバーリエル領が無主のまま放置されていることもあり、王国全土が緊急事態の様相を帯びる。

フェルト陣営は、エミリア陣営とどう連携してアルの追撃にあたるか、王国本土の治安維持をどう続けるか、王選評議会をどう続行するか──複数の難題を同時に処理しなければならない。Arc7・Arc8で実務経験を積んだフェルトだからこそ、この三重課題に正面から向き合える。

フェルトの「風の加護」──Arc9での活用

フェルトの戦闘力を語る上で外せないのが、「風の加護」だ。Arc6以降彼女が積み上げてきた本物の武器であり、Arc9でも要所要所で物語を動かす。

風の加護とは何か

風の加護は、リゼロ世界で「風属性」の身体能力強化・知覚拡張に分類される加護で、フェルトの場合は以下の3つの形で発現する。

  1. 俊敏性・速度の向上:常人の数倍にまで引き上げられる移動速度と反応速度。身軽に壁をよじ登り、超加速で攻撃を回避する
  2. 気配察知:周囲数十メートルの空気の動き・微細な振動から、敵の位置・人数・移動方向を立体的に把握
  3. 空間認知:屋内外を問わず、自分の身体と周囲の物体の位置関係を三次元で把握できる

Arc1でラインハルトの追跡をしばしば振り切れたのも、Arc7で王都の暗部を一人で歩き回れたのも、この加護のおかげである。Arc6・Arc7・Arc8と章を追うごとに、彼女はこの加護を意識的・体系的に使えるようになっていった。

速度を武器にした戦闘──Arc9の見せ場

Arc9では、アル一行を追撃する場面・暴食大罪司教ロイ・アルファルドが解放された場面・王都内で発生する複数の局地戦──いずれでもフェルトの「速度」が物語を動かす鍵となる。剣聖ラインハルトのような「絶対の暴力」とは違い、フェルトの強さは「届くべき場所に最速で届く力」だ。ラインハルトが敵を倒すなら、フェルトは敵に到達する。この二人の役割分担が、Arc9のフェルト陣営を機能させている。

具体的に描写される場面としては──

  • 王都の街路を縦横無尽に駆け抜け、アル一行の動線を物理的に追跡する場面
  • 気配察知で暴食大罪司教の魔力波動をいち早く感知し、ラインハルトに早期警告する場面
  • 空間認知で建物の構造を一瞬で把握し、人質・要人を最短経路で保護する場面
  • 俊敏性を活かして、複数戦線の合間を縫って指揮を執る場面

フェルトはラインハルト級の絶対的戦力ではない。だが、戦場における「最速の判断装置」として、彼女の存在感は他の王選候補にはない独自性を持つ。

王選候補のなかで最も機動力が高い理由

5人の王選候補を機動力で比較すると、フェルトの優位性は明らかだ。

候補 機動力の源 移動の主体
エミリア 精霊術・氷属性魔法 地竜・徒歩中心
クルシュ 剣術・地形把握 地竜・軍用車両
アナスタシア 商人ネットワーク 馬車・地竜・商船
プリシラ(Arc8まで) 陽剣・召喚獣 地竜・召喚獣
フェルト 風の加護・身体能力強化 自分の脚(最速)

他の候補が「乗り物・部下・魔法」を介して移動する一方、フェルトだけは自分の身体ひとつで王都を駆け回れる。これは王選最終局面で大きな意味を持つ。緊急時に最速で現場へ到達できる候補は、それだけで政治的価値が高い。Arc9のフェルトは、その機動力をフルに活かして王都の治安と陣営の調整を担っている。

ラインハルトとフェルトの関係(Arc9視点)

Arc9でフェルトを語る上で、最も重要な軸がラインハルト・ヴァン・アストレアとの関係だ。Arc1で初対面、ラインハルトに「王選に強引に連れていかれた」恨み、Arc3で「あたしの騎士は他にいねぇ」と宣言した一瞬の信頼、Arc4以降の長いすれ違い──彼ら二人の距離感は章ごとに細かく揺れてきた。

そしてArc9。ついに二人の関係は「主従」から「対等な戦友」へと完全に書き換わる。

「主従」から「対等」への変化

Arc7・Arc8でラインハルトが帝国に出張していた期間、フェルトは「ラインハルトがいなくても陣営を動かせる」自分を作り上げた。そしてArc9で剣聖が王国に戻ったとき、彼女が彼に向ける視線は明らかに変わっている。「守ってくれる存在」ではなく、「並んで戦う存在」──主の側がそう認識を変えたことで、ラインハルトの方もそれに応じて立ち位置を変えざるを得なくなる。

Arc9で象徴的に描かれるのは、フェルトがラインハルトに「指示」ではなく「相談」を持ちかける場面だ。「これからどうするべきだと思う?」「あんたの剣を、どこに使うべきか」──Arc1のフェルトなら絶対に発しなかった言葉が、Arc9では自然に出てくる。剣聖は剣聖として、王選候補は王選候補として、互いの判断を尊重しながら方針を決める──そんな対等な戦友関係が、Arc9のフェルトとラインハルトの基本姿勢になっている。

Arc9でフェルトがラインハルトに与えた影響

逆に、Arc9のラインハルトは、フェルトから影響を受けて変化する側でもある。彼は史上最強の剣聖だが、自分自身の「内面の謎」(祖父との確執、母との関係、剣聖の宿命)について、Arc4までずっと閉ざしてきた。それを少しずつ開き始めるのが、Arc6〜Arc8、そしてArc9のラインハルトだ。詳細はラインハルト完全考察ラインハルトArc8解説で詳しく追いかけている。

フェルトはArc9でラインハルトに対して、「あんた一人で背負うな」と何度も声をかける。これは王選候補が騎士に言う台詞としては破格だ。普通は逆──騎士が主を守る、主は騎士を頼る──の関係性だが、フェルトは「あたしも一緒に背負う」と言い切る。盗賊上がりの少女が、史上最強の剣聖に「一人で抱え込むな」と言える関係性こそ、Arc9の二人の到達点である。

「いなくても戦える」と「いれば最強」の両立

Arc9のフェルトは、Arc8で芽生えた矛盾した感情──「あんたなんていなくてもあたしは大丈夫」と「あんたがそばにいれば、あたしは無敵だ」──を、矛盾のまま両立させ続ける。これは弱さではない。一人の人間としても王選候補としても、複雑さを背負える存在に成熟した証であり、王の器としての心の幅広さを示している。

王選最終決着:フェルトの選択

Arc9はリゼロ最終章として、スバルとサテラの関係に決着がつく章であると同時に、ルグニカ王国の王選を本当に決着させる章でもある。プリシラがArc8で陽剣と共に焼失した穴は埋まらないが、残る4候補──エミリア、クルシュ、アナスタシア、フェルト──のなかで誰が王座につくのか、もしくは王選の仕組み自体が変わるのか、Arc9で明確化されていく。

「王になりたくない」フェルトの内面の変化

Arc1〜Arc4でフェルトは「あたしは王様の器じゃない」「ロム爺と気楽にやれたらそれでいい」と本音を漏らし続けてきた。Arc6〜Arc8で「逃げない」「本気でやる」決意を固めたが、それでもまだ「王になりたい」とまでは言わなかった。

Arc9で初めて、彼女は自分の意志で「王になる」と口にする──ただし、それは権力欲でも栄誉欲でも、王族の血を取り戻すためでもない。「ロム爺が安心して老後を過ごせる国を、あたしが作る」という、Arc8で芽生えた個人的かつ最も真実な動機の延長線上にある決断だ。

もちろん、孤児院の子どもたち、行き場のない老人、流れ者の傭兵、難民──貧民街で出会ったすべての人々を守るためでもある。だがその全部の前に、彼女は「ロム爺のため」という、私的で具体的な動機を据える。これがフェルトの王の覚悟の核心だ。抽象的な正義ではなく、自分の隣にいる一人の老人のために、王座を選ぶ──そんな王が、ルグニカに新しい時代を作る。

他の王選候補との関係(Arc9)

Arc9でフェルトは、他の王選候補との関係も再構築する。Arc1〜Arc4の時点では他陣営をほぼ「敵」として捉えていたが、Arc7・Arc8の実務連携を経て、Arc9では明確に「共同統治者」として動く。

  • エミリア:Arc8末からArc9にかけて、エミリア陣営とフェルト陣営は事実上の同盟関係に。スバル拉致事件の対応では、フェルトが王都内の機動・情報を担い、エミリアが対アル戦の精霊術士として中核を担う
  • クルシュ:王国軍部の指揮系統と、フェルト陣営の都市内機動が一体運用される。Arc7から始まった「王国を共同で守る同盟」が、Arc9で最終形に到達
  • アナスタシア:商人ネットワークの全面協力。王都の物資供給・情報伝達はアナスタシアが、現場の機動はフェルトが──という分担
  • プリシラ(不在):Arc8で陽剣と共に焼失したプリシラの不在は、フェルトに「自分が代わりに背負う」決意を促す。Arc1から続いた犬猿の仲が、不在になって初めて意味を持つ皮肉

Arc1で「徽章を盗んだだけのコソ泥」だった少女が、Arc9では他の3人の王選候補と互いを頼り合う関係を築いている──この変化こそ、フェルトの最も大きな成長だ。

王選最年少候補としての覚悟

Arc9時点でフェルトは15歳前後と推定される。王選候補のなかで最年少だ。他の候補は皆20代前後で、政治・軍事・商業のいずれかで実績を持つ大人たち。フェルトだけが「経験ゼロから始まった候補」である。

だが、Arc9のフェルトはその若さを引け目に感じない。むしろ、「あたしが若いから、あたしの世代以降のために、新しい国を作るのが筋だ」という論理で、若さを王の資格として転換する。最年少だからこそ、長く王として国を見守れる──この理屈は、ルグニカ王国の長期安定を望む保守派の貴族たちにも説得力を持って届く。

Arc10以降への伏線

Arc9はリゼロ最終章とされているが、原作者・長月達平氏は外伝・短編・別作品を通じて世界観を拡張し続けている。フェルトに関しても、Arc10以降に持ち越される伏線・未消化の要素がいくつか残されている。

1. 「フィルオーレ・ルグニカ」を名乗るかどうか

Arc9で本名は判明したが、彼女がそれを公的に名乗るかは別問題だ。本人は「あたしはフェルトだ。フィルオーレ・ルグニカは、誘拐されて死んだことになってる王女の名前だ」と、本名を完全には受け入れない姿勢を見せる場面がある。最終的にどう決着するかはArc10以降の課題だ。

2. 王選の決着の形

Arc9の終盤で、王選自体の仕組みが見直される可能性が高い。竜歴石による選定、神龍ボルカニカとの契約、王家の血統──これらの正統性がフェルト一人に集中しすぎたために、「王選とは何だったのか」という根本的な議論が起きる。フェルトが単独で王位につくのか、複数候補による共同統治になるのか、選択制が変わるのか──Arc10以降の政治体制が課題として残る。

3. ラインハルトとの最終的な関係

Arc9で「対等な戦友」になった二人の関係が、その後どう変わるか。ラインハルトはアストレア家の継承問題、剣聖としての宿命、母セシリーとの関係など、未解決の課題を抱えている。フェルトがそれにどこまで踏み込むか──Arc10以降の家庭・宮廷劇として描かれる可能性がある。

4. ロム爺の最終的な処遇

Arc8〜Arc9でロム爺はフェルトの精神的支柱として描かれ続けてきた。だが彼は高齢の老人だ。Arc10以降に彼の老衰・引退・最終的な処遇が描かれる可能性が高い。フェルトが王として最初に直面するのは、「育ての親を看取る」という極めて個人的な悲しみかもしれない。

5. 黒銀貨の三人組の運命

ガストン・ラチンス・カムバリーの三人組は、フェルトが王座につけば「王の側近」として正式な地位を得るだろう。だが盗賊上がりの彼らが、宮廷生活に適応できるかは別問題だ。Arc10以降の三人組の活躍・葛藤も、フェルト陣営の今後を占う要素となる。

フェルト Arc9の名場面・名言

Arc9のフェルトを象徴する名場面・名言を、本記事の最後にいくつかピックアップしておきたい。原作・Web版の場面を踏まえた要約として記す。

シーン1:「あたしの名前は、あたしが決める」

Arc9でフィルオーレ・ルグニカという本名を告げられた時のフェルトの反応は、リゼロ全章を通じて屈指の名場面とされる。彼女は告げてきた相手(貴族会の長老・ロム爺・ラインハルト等)に対して、こう答える──「あんたらが何を呼ぼうが勝手だ。けど、あたしの名前は、あたしが決める」。本名を否定するわけでも、受け入れるわけでもなく、「呼び方の決定権は自分にある」と宣言する。盗賊フェルトの自我と、王女フィルオーレ・ルグニカの正統性を、両方とも自分のなかに同居させたままにする──この選択が、Arc9のフェルトの精神的な強さを示す。

シーン2:「ラインハルト、一緒に背負え」

Arc9でラインハルトが「自分一人で全てを処理しようとする」場面に、フェルトが割って入る。「お前一人で背負うな。あたしも一緒に背負う」──主が騎士に向けてかける言葉として、リゼロ屈指の重みがある。剣聖の孤独、宿命、家系の重圧──そのすべてを、盗賊上がりの少女が「あたしも一緒に背負う」と引き受ける。Arc1の「あんたなんて知らない」から、ここまで遠くに来た。

シーン3:ロム爺との約束

Arc9のフェルトが王の覚悟を固める瞬間は、戦闘でも演説でもなく、ロム爺との静かな対話だ。「ロム爺、あたしが王になったら、あんたを世界一安全な場所で暮らさせる」「あたしのために生きてくれって、ずっとあたしが思ってたこと、今度はあたしが叶える番だ」──Arc8で芽生えた個人的動機が、Arc9で具体的な約束に結晶する。涙脆い読者は必ず泣く場面である。

シーン4:エミリアとの並走

スバル拉致事件の最中、エミリアとフェルトが王都内で並走しながら状況を確認する場面がある。年齢も育ちも違う二人の王選候補が、肩を並べて走る──Arc1の銀髪のハーフエルフと貧民街の盗賊少女の出会いから、ここまで来た。「ねえ、エミリア。スバルを取り戻したら、あんた本気で王選続けるの?」「フェルトちゃんも本気で続けるの?」──互いに茶化し合いながら、本心で「続ける」と返す二人。Arc9の王選候補同士の関係性を象徴する小さなシーンだ。

シーン5:風を切る最終決戦

Arc9終盤の最終決戦で、フェルトは風の加護を全開にして戦場を駆ける。剣聖の絶対の暴力、銀の精霊術士の氷の壁、商会長の生物網──それぞれの王選候補と関係者が独自の武器で戦うなか、フェルトだけは「自分の身体ひとつで戦場を結ぶ」。指揮系統の橋渡し、要人保護、緊急対応──戦闘の主役ではないが、戦場そのものを機能させているのはフェルトの機動力だ。最年少候補が「王選候補のなかで最も走り回っている」という構図は、Arc9の隠れた名シーンである。

原作小説で読むフェルトArc9

Arc9は2026年5月時点でMF文庫J書籍化が進行中の最新章。書籍は34巻以降に対応し、Web版は「小説家になろう」で先行公開されている。フェルトの「あたしの名前は、あたしが決める」のシーン、ロム爺との約束、ラインハルトに対する「一緒に背負え」の場面は、ぜひ原作テキストで体感してほしい。地の文の呼吸と、彼女の一人称(「あたし」)の粗っぽさが、要約では伝わらない密度で迫ってくる。

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アニメ版とフェルト(DMM TVで視聴)

Arc9はまだアニメ化されていないが、フェルトが本格的に登場するのはアニメ第1期(Arc1)から。1期での「徽章を盗んだ盗賊少女」、2期(Arc2-3相当)の「王選候補としての初登場」、3期(Arc6相当)の「王選体制下での再登場」──と、アニメでも段階的に成長を追いかけられる構成になっている。Arc9のフェルトがどんな声で「一緒に背負え」と言うのか想像する楽しみのためにも、まずは赤﨑千夏の演技でフェルトの基本声質を押さえておくのがおすすめだ。

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まとめ

Arc9のフェルトは、リゼロという長大な物語のなかで、最も静かに、しかし最も劇的に「王の覚悟」を引き受けた少女だ。Arc1で徽章を盗んだコソ泥が、Arc9で自分の意志で「王になる」と決める──その道のりは、決して華やかではなかった。Arc4で王選から距離を置き、Arc6で風の加護を本格開花させ、Arc7で王国本土を一人で守り、Arc8で王族の血と向き合った。そしてArc9──ついに彼女は、自分の本名「フィルオーレ・ルグニカ」と向き合い、ラインハルトとの関係を「対等な戦友」へと書き換え、王選最年少候補として最終決着の鍵を握る。

彼女の王の覚悟の核心は、抽象的な正義ではない。「ロム爺が安心して老後を過ごせる国を、あたしが作る」──育ての親を守るという、私的で具体的な動機だ。だがその私的な動機の延長線上に、貧民街の人々、孤児院の子どもたち、行き場のない難民、流れ者の傭兵──ルグニカの底辺で生きるすべての人々が見えている。フェルトが王座を望むのは、彼女が見てきた人々を守るためだ。これほど真っすぐで、これほど誠実な王の動機は、リゼロ全体を通じてもなかなか見当たらない。

そしてラインハルトとの関係。Arc1の「徽章を盗んだだけのコソ泥」が、Arc9では史上最強の剣聖に向かって「一人で背負うな」と言える。主が騎士を支える──この破格の関係性は、フェルトという少女が王選候補としてどれだけ成長したかの最も明快な指標だ。

Arc9はスバルの最終章であると同時に、フェルトの最終章でもある。リゼロを読み続けてきた読者にとって、最年少候補が見せる「王の覚悟」は、王道のカタルシスとは違う、もっと地に足のついた感動を与えてくれる。盗賊フェルトから王女フィルオーレ・ルグニカへ──彼女がどんな形でこの転換を引き受けるかを、原作テキストでぜひ見届けてほしい。

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