2012年からファンが待ち望んできた瞬間が、ついにArc9でやってくる。Arc2で暴食の大罪司教ライ・バテンカイトスに名前と記憶を喰われ、Arc6で「眠り姫」として目覚めながらも「名無し」だった鬼の少女──レム。Arc7では「ユーゲン」を名乗り、Arc8でも記憶を取り戻すことはなかった。だが、Arc9「名も無き星の光」の第35話「目覚めの星」で、ついにレムの記憶と名前が完全に戻る。
そして、記憶を取り戻したレムが最初に下した決断は──衝撃的なまでに彼女らしい、しかし以前のレムとは違う「少し変わったレム」ならではの選択だった。本記事では、レム・ラム姉妹の鬼の少女レムが、Arc9で記憶を完全回復するまでの経緯と、回復後にスバルに対して取った「殺す」という究極の信頼の行動、そしてスピカ(旧ルイ・アルネブ)・エミリア・ラムたちとの新たな関係、さらにArc10へと続く伏線まで、原作Web版第九章の描写をもとに徹底解説する。
レムのプロフィール(Arc9時点)
Arc9突入時のレムは、Arc6で目覚めた直後と比較しても明らかに別人と言える状態にある。Arc7・Arc8で経験を積んだ「記憶のないレム」と、Arc9で甦った「記憶のあるレム」が同居する、複合的な人格として再構築された彼女のプロフィールを整理する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本名 | レム(ラム・レムの双子妹) |
| 種族 | 鬼族(角を失った状態) |
| 年齢 | 17歳前後(生物年齢)/凍結期間含めるとさらに上 |
| 髪色 | 水色(双子姉ラムはピンク/レムは青) |
| 瞳の色 | 水色 |
| 身分 | ロズワール辺境伯邸メイド(記憶回復で復職) |
| 双子姉 | ラム(記憶を分け合う「片角の鬼」) |
| 主君 | ロズワール・L・メイザース |
| 陣営 | エミリア陣営 |
| 魔法属性 | 水(陽魔法併用) |
| 代表魔法 | アル・ヒューマ(水の散弾)/フラ・ヒューマ(霧)/ピューマ(水流) |
| 武器 | モーニングスター(鉄球付き鎖鞭) |
| Arc7・Arc8の通名 | 「ユーゲン」(記憶喪失期間の自称) |
| Arc9での状態 | 記憶完全回復・「少し変わったレム」 |
| 担当声優(CV) | 水瀬いのり |
Arc9時点で特に重要なのは、レムが「ユーゲン時代の経験」と「本来のレムの記憶」を両方持つハイブリッド的な人格になっているという点だ。Arc8末まで記憶喪失のまま帝国を駆け回り、ヴォラキア帝国の戦士やヨルナ陣営・プレアデス戦団の仲間たちと深い絆を結んだ彼女は、その経験ごと「本来のレム」に上乗せされた形で甦った。
Arc6〜Arc8:長い記憶喪失の旅路
Arc9でレムの記憶が戻る瞬間の重みを理解するには、Arc2で記憶を喰われてからArc9で取り戻すまでの長大な道のりを整理する必要がある。Arc6・Arc7・Arc8の3章分・Web版にして数百話に及ぶ「名無しのレム」の旅は、リゼロ全体でも屈指の長期伏線である。
Arc6プレアデス監視塔での目覚め──「眠り姫」の終焉
Arc6「プレアデス監視塔編」のクライマックスで、レムは長い眠りから目覚めた。Arc2で暴食の大罪司教ライ・バテンカイトスに「名前」を喰われたことが原因の昏睡から、Web版6章90話で実に物語内時間3年以上ぶりに覚醒したのだ。
だが、目覚めたレムは「自分が誰なのか」を知らなかった。スバルのことも、双子姉ラムのことも、ロズワール邸の仲間たちのことも、何一つ覚えていなかった。むしろスバルから「魔女の残り香」を強く感じ取り、警戒心を露わにした。Arc2の彼女がスバルに恋に落ちる前の鋭く敵意に満ちた態度に近い、しかしそれ以上に冷たい目線を彼に向けたのだ。
Arc6時点でレムが取り戻したのは「魂の形」だけで、「記憶」と「名前」は依然として暴食の権能に封じられたままだった。スバルにとって12年待ち望んだ目覚めの瞬間は、同時に「もう一段階深い喪失」の始まりでもあった。
Arc7「ヴォラキア帝国編」──「ユーゲン」を名乗る記憶喪失の少女
Arc6終盤でプレアデス監視塔の戦いを終えた直後、スバル・レム・ルイの3人は黒い影に飲まれてヴォラキア帝国バドハイム密林に転送される。これがArc7「殉情の神聖ヴォラキア帝国編」の幕開けだ。
記憶を持たないレムは、スバルから「魔女の残り香」を感じ取りつつも、密林での生存のため一時的な共闘を選ぶ。やがてシュドラクの民・ヨルナ陣営・プレアデス戦団との交流の中で、彼女は仮の名「ユーゲン」を名乗るようになる。これは「優しい源(みなもと)」という意味を込めた自称で、記憶を失った状態でも彼女の本質的な優しさが漏れ出した名だった。
Arc7のレムは、本来のレム以上に「自分の足で立つ女」として描かれる。スバルに依存せず、ヴォラキア帝国の苛烈な政争・戦争のなかで自らの判断で行動し、シュドラクの民の戦士たちと並んで戦った。記憶のないレムは、ある意味で「Arc2以前の鬼族の少女時代のレム」に最も近い、純粋な戦闘者の姿でもあった。
Arc8「大災編」──幽閉とスバルとの再会(記憶なし)
Arc8「情愛の帝都ルプガナ決戦編」(大災編)でも、レムの記憶は戻らないままだった。彼女は帝都ルプガナでの不死王の秘蹟による屍人軍団との大戦に巻き込まれつつ、徐々にスバルへの不信感を解いていく。Arc7では「魔女の残り香を放つ怪しい男」だったスバルが、Arc8では「信頼に値する戦友」へと、彼女の中で位置付けが変わっていった。
だがそれでも、レムは「スバルが過去の自分にとって何だったか」は思い出せなかった。Arc2でスバルがレムを救った数々の場面も、Arc3でレムがスバルに「英雄」と告白した瞬間も、彼女の中には存在しないままだった。Arc8の終わり、帝都ルプガナを守り抜いた仲間たちと共にスバルが涙する横で、レムは少し離れた場所からその光景を見守るしかなかった。「自分が誰だったか」を取り戻せないまま、Arc8は幕を閉じる。
Arc9「名も無き星の光」で記憶完全回復
そしてArc9「名も無き星の光」が始まる。プレアデス監視塔へ再訪したスバル一行を迎えるのは、思いがけない事件──アルデバラン(アル)の裏切りとそれによって解放されたロイ・アルファルド(暴食の大罪司教・次兄)の暴走だった。
Web版9章35話「目覚めの星」──記憶回復の瞬間
Web版第九章35話の章タイトルは「目覚めの星」。この章でレムは、Arc2からおよそ12年(読者時間で)待ち望まれた記憶完全回復を果たす。具体的な経緯は以下の通りだ。
- プレアデス監視塔でアルがスバルを裏切り、ベアトリスとスバルを魔法で封じる
- アルは戦況打開のため、捕縛していたロイ・アルファルドを解放する
- エミリア陣営との戦闘で追い詰められたアルが、ロイに「吐き出せ」と命令する
- ロイがArc2以来溜め込んでいたレム・クルシュ・その他被害者たちの「名前」「記憶」を一気に吐き戻す
- 同時刻、ロズワール邸の自室でレムが自分のモーニングスターに触れる
- 権能の逆流とモーニングスターへの接触が同時に起きた瞬間、レムの記憶と名前が完全に甦る
記憶を取り戻したレムを見たラムは、双子姉として12年間言葉にできなかった想いを爆発させ、涙を流しながらレムを抱き締めた。Arc2でクルシュ邸に運ばれて以来、双子の絆は「眠るレムを守る片角」という形でかろうじて保たれていたが、Arc9のこの瞬間に完全に取り戻されたのだ。
ロイ・アルファルド解放が引き起こした「吐き出し」のメカニズム
このシーンの重要なポイントは、レムの記憶回復が能動的な治癒ではなく大罪司教の権能の暴走によって偶発的に引き起こされた点である。Arc6〜Arc8を通じてベアトリスをはじめとする仲間たちが「どうすればレムの記憶を取り戻せるか」を模索し続けてきたが、結局のところ正攻法は存在しなかった。
暴食の権能「蝕(しょく)」は、月食(記憶を喰う)と日食(名前と肉体特性を喰う)の二系統からなる。Arc2でレムから喰われたのは月食(記憶)と日食(名前)の両方であり、ライ・バテンカイトスから巡り巡って次兄ロイ・アルファルドの「腹」に蓄積されていた。アルがロイに「吐き出せ」と命じた時、ロイは溜め込んでいた被害者全員分の記憶を一気に解放することを強制された。
これは作品全体の構造として極めて重要な転換点だ。Arc1〜Arc8の長きにわたって読者を苦しめてきた「レムの記憶問題」は、英雄スバルの努力でも、ベアトリスの精霊術でも、エミリアの愛でも解消されなかった。それを解いたのは、裏切り者アルが利己的に発した一言の命令だった。リゼロという物語の容赦のなさと、運命の皮肉が凝縮された瞬間である。
「少し変わったレム」として戻ってきた意味
記憶を完全に取り戻したレムだが、彼女は「Arc2時点のレム」にそのまま戻ったわけではない。Arc7〜Arc8で「ユーゲン」として積み重ねた経験・人間関係・成長が、本来のレムの人格に上乗せされた状態で甦ったのだ。
具体的には、以下の3点が「少し変わったレム」を特徴付けている。
- シュドラクの民との絆──Arc7で共に戦ったタリッタ・ホーリィたちとの戦友関係が、Arc9以降のレムの行動範囲を大きく広げる
- 戦闘における自立心──「ユーゲン」期に培われた、スバルに頼らず自分で判断する習慣が、本来のレムの「主君のために」というメイド気質と合体した
- ヨルナ・アベル(ヴィンセント)への信頼──Arc7・Arc8で関わったヴォラキア帝国の重要人物との関係が、ルグニカ陣営の枠を超えた人脈として残った
このハイブリッド人格は、Arc9以降のレムの行動を理解する上で決定的に重要だ。「以前のレムと完全に同じ」ではなく、「以前のレムを基盤としつつ、新たな経験を持つレム」として戻ってきた彼女は、Arc10以降の物語においてより複雑で深みのある役割を担うことになる。
記憶回復後のスバルとの再会
レムが記憶を取り戻した瞬間、スバルはアルの魔法によってベアトリスと共に封じられていた。物理的にその場に居合わせなかったため、二人の「正式な再会」はその後のシーンに持ち越される。だがこの「再会」は、Arc1〜Arc8でファンが想像していた甘いものとは決定的に異なっていた。
「ユーゲンとしてのスバル」と「本来のスバル」の融合
記憶を取り戻したレムにとって、目の前にいるスバルは2人の人物として認識される。Arc2でレムを助け続け、Arc3で「スバルくんは私の英雄です」と告白された本来のスバル。そしてArc7・Arc8の帝国編で「ユーゲン」として共に戦ってきた新たな戦友としてのスバル。
レムはこの両方の記憶を統合しながら、新しい関係性を再構築していく必要があった。Arc3で告白した感情はそのまま蘇っているが、Arc7〜Arc8で「ユーゲン」が彼に向けた警戒心や戦友感情も同時に残っている。「12年ぶりの再会」というよりは、「2つの時間軸のレムが1人のスバルと向き合う」という、極めて複雑な心理状況での対面だった。
記憶喪失期間の経験がレムを変えた部分
本来のレムは、「主君ロズワール」「双子姉ラム」「英雄スバル」という三本柱に強く依存する形で自己を構成していた。Arc2終盤での告白も、Arc3冒頭での看病も、すべて「自分の役割を全うする」という形で表現されていた。
一方、Arc7・Arc8の「ユーゲン」期のレムは、誰にも所属せず、自分の判断で動き、自分の信じる正義のために戦う存在だった。シュドラクの民の戦士たちと並んで戦った経験、ヨルナの花魁としての覚悟に触れた経験、アベル(皇帝ヴィンセント)との会話で帝国の政治を学んだ経験──これらすべてが「依存しない強さ」をレムに教えた。
記憶を取り戻したレムは、依存と独立の両方を併せ持つ存在となった。スバルへの愛は変わらないが、それを「自分の存在の全て」にはしない。Arc9以降のレムは、スバルの「英雄」であると同時に、彼女自身の人生を歩む独立した戦士でもある。
「スバルを殺す」という究極の信頼
Arc9でレムが下した最も衝撃的な決断──それは記憶を取り戻した直後のレムがスバルを自らの手で「殺す」ことだった。これは作品全体でも屈指の衝撃的展開だが、その意味を理解すれば、これがレムにしかできない究極の愛と信頼の証であることが見えてくる。
死に戻りをさせることの意味
スバルの権能「死に戻り」は、スバル自身が死ぬことで時間を巻き戻すリスタート能力だ。Arc4以降の流れで「死に戻り」の存在を知っているレムにとって、スバルを「殺す」という行為は「彼を確実に過去に戻す手段」を意味する。
つまりArc9での「レムがスバルを殺す」は、殺意の表現ではなく、「やり直しを発動させる装置として、信頼できる者の手で確実に死なせる」という極めて高度な戦術判断なのだ。アルの裏切り・ロイの暴走・状況の悪化──これら全てを巻き戻すには、スバルの死に戻りを正確なタイミングで発動させる必要がある。そしてそれを最も信頼できる、最も心優しく実行できるのは、レムをおいて他にいない。
レムがスバルに対して取った行動の真意
記憶を取り戻したばかりのレムが、最初に下した実用的な決断が「愛する人を殺す」というのは、リゼロという物語のテーマを象徴している。スバルの死に戻りという業を共有できる存在は限られており、それを実行できる者はさらに限られる。エミリアにはできない。ベアトリスは封じられている。ラムには技量があってもためらいがある。
だがレムは、「ユーゲン」期に培った冷徹な戦闘判断力と、本来のレムの「スバルを最も理解している」という二側面を持っているからこそ、この決断を躊躇なく実行できる。Arc2でスバルを殺そうとした「魔女の残り香に反応する鬼」だった彼女が、Arc9で「スバルを助けるためにスバルを殺す鬼」へと役割を反転させた──この円環の閉じ方こそ、レムというキャラクターの物語的到達点である。
これがエミリアとレムの違いを際立たせる
同じ章でエミリアもアルとの戦闘で重要な役割を担うが、エミリアにはスバルを殺すという選択肢は最後まで取れない。エミリアの愛は「守る」愛であり、レムの愛は「託す」愛である。エミリアにとってスバルは「絶対に失いたくない人」だが、レムにとってスバルは「世界を救うために自分が支える人」なのだ。
Arc1からArc9までの長い物語を通じて、エミリアとレムの「スバルへの愛し方の違い」が幾度となく描かれてきたが、Arc9の「スバルを殺すレム」は、その違いを最も鮮烈な形で物語に刻み付けるシーンとなった。エミリアの愛もレムの愛も、どちらが優れているわけではない。だが「スバルが死に戻りという業を背負う英雄」である以上、レムの愛の在り方は彼にとって生死を分ける支柱となる。
スピカ(旧ルイ・アルネブ)との関係(Arc9視点)
Arc9でレムの物語に重要に絡んでくるもう一人の存在が、スピカ──Arc7・Arc8で「ルイ・アルネブ」として登場していた暴食の大罪司教の末妹である。Arc9以降、彼女は「スピカ」と名を変え、レムにとって複雑な意味を持つ存在となる。
かつての「記憶喰い」との奇妙な絆
ルイ・アルネブはArc2でレムの記憶と名前を喰った張本人グループの一員(厳密にはライ・バテンカイトスが直接の加害者だが、暴食三兄妹として連帯責任を負う立場)である。本来であればレムにとって最大の敵であるべき相手だ。
ところがArc7・Arc8の「ユーゲン」期のレムは、幼児化したルイと文字通り家族同然に過ごしていた。Arc6終盤の黒い影によってスバル・レム・ルイが共にヴォラキア帝国へ転送された際、ルイは記憶を失った幼児の姿で同行しており、レム(ユーゲン)はその幼児を「妹」のように世話した。
Arc9で記憶を取り戻したレムは、「自分から記憶を奪った加害者グループの末妹」と「ユーゲンとして守ってきた幼児スピカ」という2つの認識を、同じ人物に対して同時に持つことになる。これはレムにとって極めて重い心理的試練であり、Arc9以降の彼女の人格成熟を測る指標となる。
スピカは権能「星食」を発動して、屍人として蘇った死者たちの魂を本来の場所に導く役割を担う。これはルイ・アルネブが「暴食」として人々の魂を喰らった行為の贖罪として機能している。レムがスピカを完全に許せるかどうかは、Arc10以降の物語に持ち越されている。
Arc9でのレムの戦闘・活躍
記憶を取り戻したレムは、戦闘能力面でもArc8以前と異なる進化を遂げている。本来のレムの鬼族としての戦闘技能と、「ユーゲン」期に磨かれた帝国流の戦術が融合した、新たな戦闘スタイルが見られるようになった。
水魔法(アル・ヒューマ)の本領発揮
レムの代表的な攻撃魔法「アル・ヒューマ」は、水の散弾を高速で放つ術である。Arc2でペテルギウス・ロマネコンティと対峙した時にも使われたが、Arc9のレムはこの術をより洗練された形で運用する。
- 連射性能の向上──Arc7「ユーゲン」期の修練で、術の発動間隔が短縮された
- ピンポイント精度──シュドラクの民の弓術と連携した経験から、特定目標を狙う精度が向上
- 霧との併用──フラ・ヒューマ(霧)で視界を奪った上でアル・ヒューマを放つコンビネーション
- 陽魔法の発動──Arc2末期から使えるようになった陽魔法による回復術も併用
モーニングスター(鉄球付き鎖鞭)による近接戦闘も健在で、Arc9では魔法と物理の両方を組み合わせた高度な戦術で戦線に貢献している。Arc6で目覚めたばかりの「足が萎えていた状態」とは比較にならない戦闘力を発揮するレムは、エミリア陣営の主力戦闘員の一人として確固たる地位を確立した。
レムとエミリアの関係(Arc9)
Arc9のもう一つの重要な関係性が、レムとエミリアの新たな関係である。Arc2でレムがエミリアと出会った時、レムは「自分の主君候補としてのエミリア」を冷静に観察する立場だった。Arc4で再会した時、レムは既に眠りに就いており、エミリアはほとんど面識のない少女としてレムを見守るしかなかった。
Arc6でレムが目覚めた時、エミリアは「初対面の警戒される側」としてレムと向き合うことになる。記憶のないレムはエミリアを「精霊術士の魔女もどき」として警戒し、距離を取った。Arc7・Arc8でも記憶のないレムは、エミリアと直接深く関わる機会は少なかった。
Arc9でレムが記憶を取り戻したことで、ようやく「Arc2で出会った頃のレム」とエミリアの関係が再構築される。だが二人の間にはArc1〜Arc8の長い時間が横たわっており、単純な再会ではない。エミリアは「ユーゲン」期のレムも知っている。レムは「成熟したエミリア」を初めて見る。
Arc9のクライマックスで、レムとエミリアは「スバルを救う」という共通目標のもとで深く協力する。レムがスバルを「殺す」決断を下すとき、エミリアはそれを止める立場にも、肯定する立場にもなり得る。原作Web版での具体的なやり取りは複雑だが、二人の関係はArc9を経て「同じ陣営の戦友」「同じ男を愛する女」という二重の意味で確立される。
Arc10以降のレムへの期待
Arc9で記憶完全回復・スバルへの究極の信頼行動・スピカとの再対峙という3大トピックを経たレムは、Arc10以降の物語においてどのような役割を担うのか。原作Web版がArc10連載に入った段階の情報を踏まえつつ、現時点で見えている方向性を整理する。
「ハイブリッドレム」の戦闘員としての確立
本来のレムの鬼族戦闘技能、「ユーゲン」期に培われた帝国流戦術、Arc9で身につけたスバル支援の覚悟──これら3つを併せ持つレムは、Arc10以降のエミリア陣営において独自のポジションを占めることが予想される。エミリア・スバル・ベアトリスの主軸トリオを支える戦闘員として、また「死に戻り」の業を理解できる稀有な人物として、Arc10の物語においてレムは複数の局面で決定的な役割を果たすだろう。
双子姉ラムとの関係の進化
Arc9でラムは「12年ぶりにレムを取り戻した姉」として号泣しながらレムを抱き締めた。だが両者の関係は、レムが眠っていた12年間のラムの成長と、ユーゲン期のレムの自立を統合する形で再構築されなければならない。Arc10以降では、双子の絆の再定義が一つのテーマとなる可能性が高い。
スピカとの和解か対峙か
Arc9で「2つの認識」を抱えたままスピカと向き合うレムは、Arc10以降でこの矛盾を解く必要に迫られる。スピカが「星食」の権能で死者の魂を導く善行を続けるなら、レムは「ユーゲン期に愛した妹分」としての記憶を優先するかもしれない。逆にスピカの中にルイ・アルネブの片鱗が残っているなら、レムは「記憶を奪った加害者」としてのスピカと再対峙する可能性もある。
スバルへの愛の形の再定義
Arc9で「スバルを殺す愛」を示したレムは、Arc10以降でスバルとの関係をどう発展させていくのか。エミリアという正室候補が存在するなかで、「ユーゲン」期に独立した戦士としての自分を獲得したレムは、もはや単純な「片想いの少女」ではない。彼女とスバルの関係は、Arc10以降のリゼロにおける一つの大きな焦点となるはずだ。
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原作小説でレムの活躍をさらに深掘りする
本記事で解説したArc9のレムの活躍は、長月達平氏による「小説家になろう」掲載のWeb版第九章で詳細に描かれている。レムの記憶回復という長期伏線の決着、スバルとの究極の信頼関係、スピカとの新たな関係性──これらを最も深く味わうにはWeb版および書籍版での精読が不可欠だ。Amazonでは原作小説の最新巻まで入手可能だ。
まとめ──Arc9はレムにとっての「目覚めの星」
Arc9「名も無き星の光」第35話「目覚めの星」で描かれた、レムの記憶完全回復は、リゼロという長大な物語における最大級の感動的瞬間の一つである。Arc2で奪われた名前と記憶を、Arc9で取り戻すまでの長い道のり──Web版6章90話の目覚め、Arc7の「ユーゲン」期、Arc8の幽閉、そしてArc9の権能逆流とモーニングスターへの接触──これら全てが、レムというキャラクターを再構築するための必然の階段だった。
そして記憶を取り戻したレムが最初に下した決断──「スバルを殺す」という究極の愛と信頼の行動──は、Arc1〜Arc8の伏線の集大成であると同時に、Arc10以降への新たな出発点でもある。エミリアとは異なる「託す愛」を体現するレムは、Arc9を経て「主君のために眠る鬼」から「英雄のために生きる戦士」へと役割を変えた。スピカという過去の加害者と現在の妹分の二重の認識を抱え、双子姉ラムとの絆を再構築しながら、Arc10以降の物語においてレムが担う役割はますます重く、深いものとなるだろう。
「目覚めの星」は、レムだけの星ではない。スバルを愛し、ラムと魂を分かち合い、エミリアと共に戦い、スピカと向き合うレム──彼女の周囲全ての人物にとって、新たな夜明けを告げる星だ。リゼロの物語はArc9を経てまた一段、深い場所へと進む。レムというキャラクターの真価が問われるのは、ここからである。
下記のリゼロのアニメ・OVAの映像作品は動画配信サービスを利用することで視聴できます。
- リゼロアニメ 1st season
- リゼロアニメ 2nd season
- リゼロOVA「Memory Snow」
- リゼロ劇場版「氷結の絆」
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リゼロ作品の取り扱いがあり、かつ無料トライアルの提供がある動画配信サービスを調査しましたので参考にしてください。

