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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

「リゼロ」ベアトリスのArc9解説|スバル封印と人工精霊の覚悟・エキドナとの決別

『Re:ゼロから始める異世界生活』Arc9(第九章「永遠の契約」)において、ナツキ・スバルの隣で戦う人工精霊ベアトリスは、これまでで最も過酷な試練に直面することになります。プレアデス監視塔でアルデバランが放った禁術「オル・シャマク」によって、ベアトリスは契約者スバルと共に黒球の中に封印され、機能停止状態に陥るのです。

本記事ではArc9でのベアトリスの動向を中心に、人工精霊としての出自・契約の意味・母であるエキドナとの関係の決着、そして「ベティーはスバルのパートナー」という決意の進化を、原作小説39巻〜43巻の流れに沿って解説します。※第九章のネタバレを含みます

目次

ベアトリスのプロフィール(Arc9時点)

項目 内容
名前 ベアトリス(愛称:ベティー)
正体 強欲の魔女エキドナが創造した人工精霊
外見年齢 12歳前後の少女(実年齢400歳超)
身長 約140cm
髪・瞳 金髪ツインドリル/青い瞳にピンクの蝶型虹彩
声優(CV) 新井里美
契約者 ナツキ・スバル(Arc4第129話「俺を選べ」で契約)
属性 陰魔法(シャマク系・ミーニャ・ムラク・EMT等)
Arc9での所在 プレアデス監視塔→オル・シャマクで黒球内へ封印

ベアトリスは「強欲の魔女」エキドナが400年以上前に創造した人工精霊で、長らくロズワール邸の禁書庫を守り、「いつかその人が来るまで」という曖昧な指示を抱えたまま孤独に過ごしてきました。Arc4の終盤でナツキ・スバルが「俺を選べ」と叫び、ベアトリスは禁書庫から外の世界へ出ることを決断。以来Arc5〜Arc8まで、スバルを支えるパートナーとして戦い続けてきました。

そしてArc9。彼女の物語はついに、母エキドナとの完全な決別、そして契約者スバルとの絆の到達点へと向かっていきます。

「ベティー」という一人称が示すもの

ベアトリスは自分のことを一貫して「ベティー」と呼びます。これはエキドナがつけた愛称であり、長らくは「母から与えられた仮の名」というニュアンスを帯びていました。しかしArc4以降、スバルが「ベティー」と呼ぶたびに、彼女の中でこの呼び名の意味は塗り替えられていきます。Arc9で改めて「ベティーはスバルのパートナーかしら」と繰り返す姿には、400年の自己肯定の旅路が凝縮されていると言えるでしょう。

陰魔法のスペシャリストとしての位置づけ

『リゼロ』世界で陰魔法(シャドウ系魔法)の使い手は希少で、エキドナの教えを直接受けたベアトリスはその頂点に立つ存在です。Arc9で禁術「オル・シャマク」が物語の中心に据えられることは、陰魔法スペシャリストである彼女にとって、最も得意な領域でこそ最大の試練が訪れるという皮肉な構図でもあります。

Arc9開幕──プレアデス監視塔での再集結

Arc9はプレアデス監視塔を舞台にスタートします。Arc8の決戦を経て、スバル一行はかつてアウグリア砂海の彼方に存在した監視塔へと再び足を踏み入れます。目的は、プリシラ・バーリエルが残した「死者の書」をアルデバランに読ませること。プリシラの死をきっかけに彼の長い旅路の真意を解き明かし、エミリア陣営の戦力としてアルを正式に組み込む狙いがありました。

ベアトリスはこの時点でも変わらずスバルの傍らに寄り添い、契約魔法による無尽蔵のマナ供給と陰魔法の即時発動でスバルを支え続けます。Arc7〜Arc8の帝国編で蓄積した経験値は伊達ではなく、彼女の戦闘判断は明らかに研ぎ澄まされていました。

プレアデス監視塔という「特別な場所」

プレアデス監視塔は「賢者シャウラ」を擁し、Arc6でスバルが「ナツキ・スバル」という名前の重要性を再認識した場所でもあります。ベアトリスにとっても、ここはエキドナの遺物(叡智の書の写し)が示唆する世界の中心の一つ。Arc9開幕でこの場所に戻ってきたこと自体が、彼女の人工精霊としての出自と無関係ではないことを暗示しています。

監視塔を選んだプリシラの意図

そもそもArc9でプレアデス監視塔へ向かう発端は、プリシラ・バーリエルが残した「死者の書」をアルデバランに読ませる、というプリシラ陣営側の悲願でした。Arc8でプリシラが命を落とした際、彼女が遺した「ベアトリスら陰魔法使いが立ち会える場所で読ませよ」という指示があったと示唆されており、ここにベアトリスの存在が物語上不可欠だったことが分かります。

つまりベアトリスはArc9において、単なる随行者ではなく「魔法的儀式の鍵」として機能していた可能性が高いのです。プリシラがArc8で見せた洞察力(『太陽姫の傲慢』)の延長線上に、Arc9のベアトリス起用は位置づけられます。

監視塔到達までの道のり

Arc8末期、ヴォラキア帝国の動乱を生き延びたエミリア陣営は、王国側へ帰還する間もなくアウグリア砂海への遠征を決断します。Arc6で一度踏破したルートとはいえ、Arc7〜Arc8で消耗した戦力での再挑戦は厳しく、ベアトリスはこの行程でもスバルへのマナ供給を担いながら、フェルト・ラインハルト・レム・オットーらを含む大所帯のサポートに奔走します。Arc9開幕直後の彼女は、既に疲労困憊の状態だったのです。

禁術「オル・シャマク」とアルデバランの裏切り

Arc9の物語が決定的に動くのは、アルデバランが豹変する瞬間です。プリシラの死者の書を読み終えた直後、アルは突然「俺は最初からこっち側だ」と本性を露わにし、人工精霊ベアトリスとスバルに向けて禁術「オル・シャマク」を放ちます。

オル・シャマクとは何か

「オル・シャマク」は陰魔法シャマク系列の最上位術──ではなく、それすら超越した禁術です。対象を「黒球」と呼ばれる異空間に封印し、外の世界から切り離す。過去には400年前、剣聖ラインハルト・ファン・アストレアの祖先たちが「嫉妬の魔女」サテラを封印した際に用いたとされる、世界を揺るがすレベルの大魔法です。

  • シャマク:視界遮断(基礎陰魔法)
  • エル・シャマク:拘束
  • ウル・シャマク:吸引
  • アル・シャマク:空間切断・転移(最上位)
  • オル・シャマク:禁術。完全封印(黒球内に対象を閉じ込める)

アルデバランがこの禁術を行使できたのは、彼が「ナツキ・リゲル」という別世界の存在で、現世界の魔女因子に依存しない知識体系を保持していたためです。スバルとベアトリスは抵抗する間もなく、漆黒の球体の中に呑み込まれてしまいます。

アルデバランの「裏切り」の真意

Arc9で初めて開示されたアルデバランの真名「ナツキ・リゲル」は、彼が異世界(地球)からの来訪者であり、スバル(ナツキ・スバル)と同郷であることを示唆します。Arc8時点までは「謎の傭兵」「プリシラの忠犬」として描かれてきたアルが、Arc9で本性を露わにし、ベアトリスごとスバルを葬ろうとした背景には、彼自身が抱える「ループする死に戻り」と「世界改変への執着」があると考えられています。

ベアトリスにとっては、Arc4で出会って以来「アル兄ちゃん」と呼ばれて付き合ってきた相手の急変であり、人工精霊として「信頼の見極めを誤った」という痛烈な自己反省を伴うものでした。Arc9以降、ベアトリスは仲間の動向を陰魔法的な気配検知で常時モニターするようになります。

なぜスバルとベアトリスがターゲットだったか

アルがオル・シャマクで真っ先に封印しようとしたのは、スバルとベアトリスのペアでした。これは単にスバルが王選候補エミリアの騎士だからというだけでなく、「死に戻り」を持つスバルと「叡智の書」を持つベアトリスを同時に排除しなければ、自分の計画が頓挫すると判断したためです。逆に言えば、アルから見て最も警戒すべき二人組がスバルとベアトリスだったということでもあります。

封印された二人──黒球内のベアトリスとスバル

原作小説39巻で描かれる「黒球の中」のシーンは、Arc9で最も静謐で、最も濃密な時間です。外の世界では時間が止まったかのようなオル・シャマクの内部で、スバルとベアトリスは二人きりの「永遠」を過ごします。

長期間の機能停止状態

黒球内では時の流れがおかしくなり、ベアトリスは人工精霊として徐々に機能停止状態に追い込まれていきます。マナ供給ができないわけではないものの、外界との繋がりを断たれたことで存在そのものが希薄になっていく感覚──Arc4で禁書庫に閉じこもっていた頃の「孤独」が、形を変えて襲いかかってくるのです。

違うのは、隣にスバルがいること。「ベティーはもう独りじゃないかしら」という、Arc4以降何度も繰り返してきた言葉が、ここでは皮肉ではなく確信として響きます。

「契約」という絆の意味

封印中、ベアトリスは何度もスバルに「契約があるから大丈夫かしら」と言い聞かせます。これは単なる魔法的な繋がりではなく、Arc4で交わした「お前の魂に刻み込んでやる」というスバルの誓い──ナツキ・スバルという男が、永遠の時間の中でもセピア色にならないほど鮮烈な男であると証明する約束──の延長線上にあるものです。

外の世界から切り離されても、契約だけは消えない。ベアトリスはこの単純な事実を支えに、スバルと共に「終わらない時間」を耐え抜きます。

「お母様の言いつけ」を完全に手放す瞬間

黒球内でベアトリスが直面したのは、外的な敵ではなく、自分自身の中に残っていた「お母様の言いつけ」でした。エキドナから与えられた「禁書庫を守れ」という命令は、Arc4で契約者をスバルに切り替えた時点で実質的に解除されたはずです。それでもベアトリスの深層には「いつか『その人』が現れるかもしれない」という、母への未練が残っていました。

Arc9で完全な隔離空間に閉じ込められたことで、ベアトリスは「『その人』とはスバルだった」という確信を、もはや言い訳の余地なく受け入れざるを得なくなります。外界という参照点が消えたからこそ、隣にいる契約者だけが彼女の世界の全てになる。これがArc9の封印が彼女に与えた最大の精神的影響です。

スバルの「待たせてごめんな」

原作43巻の描写によれば、封印末期にスバルがベアトリスに対して「待たせてごめんな、ベティー」と呟くシーンがあります。これはArc4の契約締結時に「俺がベティーの『その人』だ」と宣言したスバルが、Arc9で改めて400年の重みを引き受け直した言葉です。ベアトリスはこの一言で、長年の蟠りを完全に解きほぐすことになります。

母エキドナとの「決別」──Arc9で完結する物語

Arc9のベアトリスを語る上で外せないのが、母であるエキドナ(強欲の魔女)との関係の最終的な決着です。

エキドナが残した「呪い」

ベアトリスはエキドナによって「いつか『その人』が来るまで禁書庫を守れ」と命じられて作られました。しかしエキドナは「その人」が誰であるかを最後まで明かさず、福音書(白紙のまま)だけをベアトリスに託して聖域へ消えていきました。

Arc4で「夢の城」を通じて再会した時にも、ベアトリスはエキドナにこの問いを直接ぶつけることを躊躇い続けます。愛情と怨恨が混在しているからこそ、エキドナはベアトリスにとって超えられない壁であり続けたのです。

Arc9で訪れる「内なる決着」

黒球の中の長い時間、そしてArc9終盤の覚醒の瞬間にかけて、ベアトリスは自分自身の心の中でエキドナと向き合い直します。スバルとの契約は既にArc4で結ばれているにせよ、「人工精霊ベアトリスはエキドナのために作られた存在である」という枷からは、Arc8時点でもまだ完全には自由になれていませんでした。

しかしArc9の試練を経たベアトリスは、エキドナを「お母様」として静かに弔いつつ、自分自身を「スバルのパートナー」として再定義していきます。「お母様、ベティーはもう、自分の意志で立っているのよ」──そう言い切れるだけの強さを、彼女はArc9で身につけるのです。

母娘の関係を深く知りたい方は、ベアトリスとエキドナの400年の物語もあわせてどうぞ。

43巻終幕「Reweave」──死に戻りによる再起動

Arc9のクライマックスは、原作小説43巻の終幕「Reweave(リウィーブ)」で訪れます。タイトル通り「織り直し」──スバルが「死に戻り」を行使し、Arc9全体の出来事をリセットするのです。

スバルが起こす「Arc9の死に戻り」

黒球内に封印されたスバルは、長い時間を経てとある決断に至ります。それは、自身の命を絶ち「死に戻り」を発動させてArc9の起点まで戻ること。封印された世界線では未来がない以上、ベアトリスを救うためには時間そのものを巻き戻すしかなかったのです。

43巻の描写によれば、ベアトリスはこの「Reweave」の瞬間、スバルが何を選び何を捨てたのかを精霊としての感覚で理解します。彼女は再起動された世界線で、封印される前の自分に戻り、しかし「もう一度同じことをさせない」という決意を胸に動き出します。

カウンターで封印されるアルデバラン

再起動後のArc9で、スバルとベアトリス、そしてラインハルトを含む仲間たちは、アルデバランへの完璧な反撃を準備します。記憶を持ち越したスバルは、龍剣レイドの応えを受けながらアルが放った「オル・シャマク」をカウンターで跳ね返し、逆にアルデバラン本人を黒球の中に封印することに成功します。

封印された黒球はスバルが首から下げて持ち歩く形となり、Arc9以降の物語に「スバルが封印を担う」という新たな伏線として残されていきます。

アルデバランのArc9での動向や正体については、アルデバランのArc9解説記事Arc8時点のアル考察記事を参照してください。

Arc9でのベアトリスの戦闘活躍

封印解除後(再起動後)のArc9では、ベアトリスは契約魔法の真価を遺憾なく発揮します。スバルの背中を護り続けてきた人工精霊が、ついに「攻めの精霊」としても完成形に至ったのです。

陰魔法のフルラインナップ

魔法名 効果
シャマク 視界遮断(基礎・接近戦の起点)
エル・シャマク 対象を拘束
ウル・シャマク 吸引・空間圧縮
アル・シャマク 空間切断・短距離転移
ミーニャ 魔力の槍(中距離攻撃)
エル・ミーニャ 結晶化攻撃(対多人数)
ウル・ミーニャ 高威力魔力砲撃
ムラク 重力制御(接地物の浮遊・落下加速)
EMT 結界(防御陣展開)

Arc5で大罪司教ライ・バテンカイトス(暴食)と戦った頃と比べても、Arc9のベアトリスは複数魔法の同時並列詠唱や、スバルの動きに合わせた即時切り替えなど、戦闘テクニックの精度が圧倒的に向上しています。

「叡智の書」と戦況分析

ベアトリスはエキドナから託された「叡智の書(写し)」を持っており、戦況の確率計算や敵の弱点推定に活用できます。Arc9後半では、レム陣営との合流地点や、エミリア救出の経路選定など、戦術判断の場面でも光ります。

レムのArc9での動向はレムArc9記憶記事、エミリアのArc9決戦はエミリアArc8から流れを追うのがおすすめです。

契約者へのマナ供給スタイルの進化

従来ベアトリスはスバルにマナを供給する際、手を繋ぐ・抱きつくといった物理接触を伴う形が中心でした。Arc9後半では、契約魔法の精度が上がり、数メートル離れていてもマナを送り続けられるようになっています。これは「契約の絆」が物理的な距離に依存しない領域に達した証であり、Arc4で初めて契約した頃のベアトリスからすれば信じがたい進化と言えます。

多人数戦闘でのサポート判断

Arc9後半の集団戦では、ベアトリスはスバル一人だけでなく、エミリア・フェルト・ラインハルトといった主力メンバーへの間接サポートにも回ります。EMTで結界を張って後衛を守り、ムラクで敵の機動力を削ぎ、ウル・シャマクで集団を一括吸引する──といった「指揮官的役回り」を担う場面が増えました。これはArc8までの「スバル専属サポーター」というイメージから一歩踏み出した、Arc9のベアトリスの新たな姿です。

「ベティーはスバルのパートナー」──契約の到達点

Arc9でベアトリスが繰り返し口にする言葉が「ベティーはスバルのパートナーかしら」です。Arc4で交わした契約は、Arc9を経てより深く、より具体的な意味を持つようになります。

パートナーとは何か

当初の契約は「禁書庫を出てスバルと共に生きる」という、ある種の救出劇でした。しかしArc5〜Arc8の戦いを経て、Arc9で「お互いの命を預け合う関係」へと進化します。

特に黒球の中でスバルが死に戻りを選んだ時、ベアトリスは精霊として「スバルが何を犠牲にしたか」を感じ取ります。それでもスバルを責めず、再起動された世界で「もう一度立ち上がる」と決めるのは、Arc9のベアトリスが「契約者の選択を尊重するパートナー」へと成長した証です。

Arc9以降への伏線

原作44巻ではベアトリスが、聖女フィロローレの「奇跡」について「呪いは解けていない、別の場所に移っているだけ」と看破します。Arc9で得た新生竜教団への警戒心が、Arc10以降の主要な戦いに繋がっていく重要な伏線です。Arc9でベアトリスが手にした「人工精霊としての完成形」は、まだ物語の通過点に過ぎないのです。

Arc9で見えるベアトリスの「人としての成長」

Arc9のベアトリスを語るとき、戦闘面の進化と並んでもう一つ忘れてはならないのが、「人としての成長」です。人工精霊という出自を持ちながら、人間以上に人間らしい情感を獲得していく彼女の姿は、Arc9で一つの完成形を迎えます。

仲間への気遣いと距離感

初期のベアトリスは、スバル以外の人間に対しては概ね無関心、もしくは突き放した態度を取ることが多いキャラクターでした。しかしArc7〜Arc8の帝国編で多種多様な仲間と関わるうちに、彼女の態度は少しずつ変化していきます。特にレム・エミリア・ペトラ・フレデリカといった女性陣には、姉妹的な親しさを見せるようになりました。

Arc9では、フェルトに対しても「お嬢ちゃん」という呼び方を使いつつ、王選候補としての覚悟を陰で支える描写が見られます。これは「契約者の周りの人間も、自分の守るべき範囲」というベアトリスの認識の拡張を示すものです。

ペトラ・フレデリカへの「姉的感情」

ロズワール邸でペトラ・レイテにメイドの心得を教え、フレデリカ・バウマンと共に屋敷を切り盛りしてきたベアトリスは、Arc9においても彼女らを気にかけ続けています。封印中、スバルと共に「無事に屋敷に戻ったらペトラに何を土産にしようか」と話し合う場面は、Arc4のベアトリスからは想像できないほどの「家族的温度」を帯びています。

ロズワールへの複雑な感情

ベアトリスにとってロズワール・L・メイザースは、長年禁書庫の管理人を任せてくれた契約上の主人であり、同時にエキドナへの執着を共有する「同病の人物」でもあります。Arc9でロズワールが見せる新たな決断──エキドナへの執着を捨てる兆し──を見て、ベアトリスは静かに肯定的な視線を送ります。これは「お母様離れ」を経験した者同士の、無言の連帯と言えるでしょう。

ロズワールのArc8〜Arc9の動向はArc8関連の解説とあわせて確認すると、ベアトリスの心情変化がより立体的に見えてきます。

陰魔法と「契約魔法」──ベアトリスの理論的背景

Arc9のベアトリスの活躍を技術面から理解するために、彼女が用いる「契約魔法」と「陰魔法」の理論的位置づけを整理しておきます。

契約魔法とは

『リゼロ』世界における契約魔法は、精霊と魔法使いの間で結ばれる魔力の循環システムです。契約者は精霊にゲートを開き、精霊は契約者にマナを供給する代わりに自己存在を維持する。Arc4でスバルとベアトリスが結んだ契約は、まさにこの典型形でした。

特筆すべきはスバルが「魔法使いとして極端に出力が弱い」一方で「ゲートが特殊な構造を持つ」点です。ベアトリスはこのゲートを介して、スバル本人には扱えない陰魔法を「代行詠唱」する形で繰り出します。Arc9で次々に高位魔法を発動できるのは、契約による出力増幅が極限まで効いているためです。

陰魔法とシャマク系列

陰魔法(シャドウ・マジック)は『リゼロ』世界の六属性魔法(火・水・風・地・陰・陽)の一つで、視覚妨害・空間操作・拘束など「相手の認識と空間を歪める」効果を持ちます。エキドナの直弟子であるベアトリスは、シャマク系・ミーニャ系・ムラク系・EMT系を高度に使い分けます。

Arc9で物語の鍵となる「オル・シャマク」は、ベアトリス自身が使えるわけではなく、エキドナの叡智の書に記された「禁術カテゴリー」に分類されます。Arc4以降ベアトリスが意図的に封印してきた知識でもあり、アルデバランがこれを使った瞬間に「これは禁断の領域なのよ」と表情を強張らせる描写があります。

禁術行使のリスク

オル・シャマクのような禁術は、行使者にも「魂の摩耗」という形で大きな代償を強いるとされます。アルデバランが何度でも死に戻れる「領域」を持っているからこそ平気で禁術を使えるわけですが、本来であれば精霊術師にとっては自殺行為に近い領域です。ベアトリスがArc9で「禁術を使わずに勝つ」道を選んだのは、人工精霊として最後の矜持の表れでもあります。

Arc9のベアトリス名場面ベスト3

Arc9のベアトリスは、戦闘面・心情面の双方で名場面に事欠きません。原作読者の間で特に評価の高いシーンを3つ厳選してご紹介します。

場面1:オル・シャマク発動直後の「スバル!」

アルが禁術を発動した瞬間、ベアトリスは反射的にスバルを庇う形で前に出ようとします。「スバル!」という叫びは、Arc1の頃には絶対に見られなかった、契約者を本気で守ろうとする精霊の本能的反応です。間に合わずに二人とも黒球に呑まれることになりますが、この一瞬の動きが二人の絆の深さを物語っています。

場面2:黒球内で繰り返される「ベティーはここにいるのよ」

機能停止寸前まで追い込まれたベアトリスが、薄れゆく意識の中で繰り返し呟く「ベティーはここにいるのよ、スバル」。Arc4の「お前を選ぶ」の延長線上に位置するこのセリフは、契約の本質が「同じ場所にいる」という単純な事実にあることを再確認させてくれます。

場面3:Reweave後の「もう一度、最初から」

スバルの死に戻りによってArc9が再起動された直後、ベアトリスはスバルが何をしたかを直感的に理解します。そして「もう一度、最初から、ベティーがスバルを守るかしら」と宣言。Arc1〜Arc8では「スバルが死に戻りでベアトリスを守る」構図が中心でしたが、Arc9のこの瞬間に「ベアトリスがスバルを守る」へと役割が反転するのです。

Arc9のベアトリスを楽しむための関連記事

Arc9のベアトリスを深く理解するには、彼女の過去とパートナーシップの軌跡を押さえておくと一層楽しめます。

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まとめ

Arc9のベアトリスは、人工精霊として、そしてスバルのパートナーとして、物語上の到達点に近づいています。アルデバランの禁術「オル・シャマク」による封印という最大の試練の中で、彼女は契約という絆の本質と、母エキドナの呪縛からの真の解放を体験しました。

  • アルデバランの禁術「オル・シャマク」によりスバルと共に黒球内へ封印された(39巻)
  • 封印中もスバルの隣で「契約があるから大丈夫」と支え合い続けた
  • 43巻終幕「Reweave」でスバルが死に戻り、Arc9全体がリセットされた
  • 再起動後、カウンターでアルデバランを逆に黒球に封印することに成功
  • 母エキドナとの内なる決着を経て「自分の意志で立つ人工精霊」へ進化
  • Arc10以降に向け、新生竜教団の「奇跡」の不審点を看破する伏線が44巻で開示

「ベティーはスバルのパートナーかしら」──この400年越しの自己定義は、Arc9を経てついに揺るぎないものとなりました。スバルとベアトリスの物語は、まだ続きます。

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