『Re:ゼロから始める異世界生活』の第四章「聖域と強欲の魔女」は、シリーズの中でも最大の転換点として多くのファンが挙げる章だ。スバルが最もループを繰り返し、最も深い絶望を経験し、そして最大の成長を遂げる舞台となった。聖域(グリフィア)という閉じた世界の中で、エキドナ・ガーフィール・ロズワールという三者が織りなす謎と真実が次々と明かされていく。
Arc4が他の章と根本的に異なる点は、単なるバトルや謎解きの連続ではなく、登場人物一人ひとりの「魂の変容」が丹念に描かれることにある。スバルはループの果てに仲間への信頼を学び、エミリアは試練を通じて自立を果たし、ガーフィールは母への誤解を解き、ロズワールは執念の呪縛から解き放たれ、エキドナは感情を持つ存在へと生まれ変わる。これだけの変容が一つの章に詰め込まれているのは、リゼロという作品の中でも類を見ない。
本記事では、Arc4の舞台設定から各キャラクターの真実、エキドナとの茶会、ガーフィールの過去、ロズワールの黒幕的行動、そしてクライマックスと物語全体への影響まで、徹底的に解説していく。ネタバレを含むため、未読・未視聴の方はご注意を。
Arc4「聖域と強欲の魔女」概要
まず、第四章の全体像を把握するためのデータをまとめた。Arc4は書籍9巻から14巻という長大な章で、単行本6冊分に及ぶ。この長さは他のArcと比較しても群を抜いており、それだけの情報量・ドラマが詰め込まれていることを示している。
| 副題 | 聖域と強欲の魔女 |
|---|---|
| 収録巻(書籍版) | 9〜14巻 |
| 主な舞台 | 聖域(グリフィア)、辺境伯ロズワール邸周辺 |
| 主要事件 | 聖域の結界解放・エキドナの試練・ガーフィールの過去・ロズワールの真意・エミリアの成長 |
| 登場する主要キャラ | スバル、エミリア、エキドナ、ガーフィール、ロズワール、ベアトリス、ラム、ペトラ、オットー |
| Arc4の特徴 | シリーズ最多ループ数・最大規模の謎解き・主要キャラの真実が一挙解明 |
特にスバルの死に戻りが最も多い章として知られており、読者・視聴者に強烈な印象を残した。一回のループで解決できる問題は限られており、複数の危機が並行して進行するため、何度も繰り返すことで少しずつ「最良のルート」を探っていく構成が本章最大の特徴といえる。
Arc4の舞台「聖域(グリフィア)」
聖域とはどんな場所か
聖域の正式名は「グリフィア」。ロズワール家の所領の一角に存在する、外界から隔絶された土地だ。見た目は何の変哲もない森と集落だが、この土地には強力な魔法的結界が張り巡らされており、半獣人(ハーフ)の住人たちが外に出られない状態が長年続いていた。
聖域の住人たちは、人間と魔獣の血を引く半獣人が中心だ。差別と迫害を逃れてこの地に集まった者たちが、長い歴史の中で共同体を作り上げてきた。ガーフィールをはじめ、複数の半獣人キャラクターが聖域を拠点としている。表向きは「差別を受けない楽園」のような場所だが、実態は「外に出られない牢獄」でもあるという二面性を持つ。
聖域が「楽園」として機能してきたのは、住人たちが外の世界の差別から守られていたからだ。しかし逆に言えば、外に出て自分の力で生きることを阻まれてきたとも言える。この構造的な問題が、Arc4全体を貫く主題の一つだ。
聖域の結界の仕組み
聖域の結界は、ロズワールの先祖がかつて強欲の魔女エキドナと交わした契約によって生まれたものだ。この土地にはエキドナの魔法が根付いており、半獣人の血を引く者は結界の外に出られないよう制限されている。血の濃さによって制限の度合いが異なり、ガーフィールのように半獣人の比率が高い者は完全に縛られている。
結界の構造は複雑で、解放するためには「試練」をクリアする必要がある。試練は三種類存在し、一定の条件を満たす者(実質的には王選候補者であるエミリア)が挑まなければならない。試練は単なる課題ではなく、受験者の精神的な深部にまで踏み込む非常に過酷な体験だ。
この結界はエキドナ自身が設計した魔法的建造物であり、その解放も彼女の意図が大きく絡んでいる。聖域が存在し続けることで、エキドナはスバルたちの情報を収集し続けられる状況を維持していたのだ。言い換えれば、聖域の「仕組み」そのものがエキドナの知識収集システムとして機能していた。
聖域が抱える複数の危機
スバルが聖域に到着した時点では、ロズワール邸も深刻な危機を抱えていた。魔獣の大群が邸を取り囲み、聖域では試練がクリアされなければ結界が暴走して住人が危険にさらされる。さらにガーフィールという強大な番人が外部の介入を阻もうとしている。
この「複数の問題が同時進行する状況」こそがArc4の難解さの根本だ。スバルは聖域問題を解決しながら同時にロズワール邸の危機にも対処しなければならない。しかし一度のループでは両方を解決できず、何度も死に戻りを繰り返しながら情報を積み上げていく。
エキドナの試練と「賢者の茶会」
エキドナとは何者か
エキドナは「強欲の魔女」として知られる、かつて存在した七人の魔女の一人だ。その権能は「叡智の書(グリードノート)」——世界のあらゆる知識を収集・保管する能力だ。生前は知識そのものへの飽くなき渇望を抱いており、知ることのためなら手段を選ばない性格だった。
Arc4では、エキドナは聖域の結界の中に「残された概念体」として存在している。肉体は持たず、スバルが試練に挑む際に「賢者の茶会」と呼ばれる特別な空間に招待される形で接触してくる。概念体という存在でありながら、白いドレスを纏った美しい少女の姿で現れるエキドナは、Arc4の象徴的なビジュアルだ。
詳しいプロフィールや強さについてはエキドナの完全解説記事も参照してほしい。また、エキドナの強さと叡智の書の解説記事では権能の詳細を掘り下げている。
「賢者の茶会」でスバルと接触
試練に入ったスバルが最初に出会うのが、エキドナが主催する「賢者の茶会」だ。美しい茶会の場に招かれ、エキドナは紅茶を振る舞いながらスバルと対話する。一見友好的なこの空間は、しかし徐々に不穏な意図が透けて見えてくる。
エキドナはスバルに対して非常に好意的な態度を見せ、彼を「自分にとって興味深い存在」と位置づける。試練のサポートも申し出るなど、一見協力者のように振る舞う。スバルも最初は彼女を「味方」と認識し、情報を共有していく。しかしこの関係性は、後に根本から覆されることになる。
茶会が行われる空間は、エキドナが作り上げた概念的な領域だ。時間の流れが通常とは異なり、死に戻りが発生しても茶会の記憶は一定の形で保持される。これによって、スバルはループをまたいでエキドナと情報を共有できる仕組みになっている。
試練の内容——「過去・現在・未来」と向き合う三段階
Arc4における試練は三種類存在する。
- 第一の試練:「過去と向き合う」——最も恥ずべき記憶、忘れたい過去に直面する
- 第二の試練:「現在と向き合う」——失われた現在、今失っているものと向き合う
- 第三の試練:「未来と向き合う」——あり得たかもしれない未来を受け入れる
スバルがまず挑む第一の試練では、自分の過去の最も恥ずかしい記憶と向き合う必要がある。これはスバルにとって、異世界に来る前の元の世界での引きこもり生活や、自己嫌悪の記憶を意味する。スバルは自身の過去をクリアするが、彼が本当に乗り越えるべきはエミリアの試練への関与だ。
重要なのは、この試練は本来エミリアが挑むべきものであること。エミリアは聖域を解放するための使命を持ち、試練に何度も挑戦するが、当初はことごとく失敗する。エミリアには直視したくない過去——エルフの里の凍結事件に関わる記憶があり、それを乗り越えることが試練クリアの鍵となっていた。
第二・第三の試練も同様に精神的な重荷を要求する。「今自分が失っているものを直視する」「違う選択をした自分の未来と向き合う」という課題は、エミリアの過去と正体に深く結びついており、簡単にクリアできるものではない。
エキドナの真の目的——スバルの「死に戻り」情報収集
茶会を重ねるうちに明らかになるのが、エキドナのスバルへの真の関心だ。エキドナはスバルの持つ「死に戻り(福音者の権能:無限への扉)」に特別な興味を抱いている。
スバルが死に戻りするたびに失われる記憶や情報を、エキドナは茶会という形で収集しようとしていた。スバルが話してくれる未来の情報、ループで得た知識——これらは、あらゆる知識を欲するエキドナにとって垂涎の的だ。エキドナは「あなたを助けたい」と語りながら、その実「あなたの経験した全てを知りたい」という欲求に動かされていた。
エキドナは「あなたのためになりたい」と語るが、その本質は「あなたを知りたい」という自己満足的な欲求だ。スバルがこの真実に気づき、エキドナを否定し拒絶する場面は、Arc4の感情的なクライマックスの一つとなっている。スバルが「あなたは俺を道具として見ているだけだ」と看破し、怒りをぶつける。
スバルに激しく拒絶されたエキドナは、初めて真の感情——怒りに近い何か——を見せる。知識収集の対象として扱ってきたスバルに、まさかこれほど感情を乱されるとは思っていなかった。これが後の「オメガ」誕生への伏線にもなっている。
魔女因子と大罪の関係についても合わせて読むと、エキドナの設定がより深く理解できる。
ガーフィールの謎と真実
ガーフィールとは何者か
ガーフィール・ティンゼルは、聖域に住む若い半獣人の青年だ。虎の牙と黄金の瞳を持ち、並外れた身体能力を誇る。「強さ」こそが全てという価値観を持ち、当初はスバルたちに敵対的な態度を取る。聖域の番人として外部からの侵入者を威圧し、エミリアの試練を妨害しようとする場面もある。
その言動は粗野で喧嘩腰だが、その根底には聖域の住人たちへの強い保護意識がある。外から来た者間たちが聖域を変えることで、住人たちが傷つくことを恐れているのだ。しかし、ガーフィールの攻撃性の裏には、聖域に対する複雑な感情が隠されていた。
母親シールズとの再会——試練の中で
Arc4最大の感情的な見せ場の一つが、ガーフィールが試練の中で母親シールズと再会する場面だ。
ガーフィールの母・シールズは、かつて聖域に住んでいた人間の女性だった。しかし彼女は結界の外に出ることを選び、その結果として半獣人であるガーフィールとは別の道を歩むことになった(後に死亡)。ガーフィールはこの事実を「母に捨てられた」と解釈し、長年深い傷として抱えてきた。
試練の空間の中で、ガーフィールは当時の出来事の真相を目撃する。シールズが自分を捨てたのではなく、必死に生きようとしていたこと。自分を愛していたこと。ガーフィールが誤解していた記憶の「本当の意味」が明らかになる。母が弱い存在ではなく、ガーフィールなりの強さを持った人間だったと理解する瞬間だ。
この場面は多くの読者が「Arc4最大の泣き場面」として挙げる。ガーフィールが感情を爆発させ、強がりの仮面が完全に崩れ落ちる瞬間だ。「強さ」を信奉してきた彼が、初めて「弱さ」を認め、涙を流す。この変容こそが、ガーフィールというキャラクターを単なる「強敵」から「物語の核心に触れる人物」へと昇格させる。詳しくはガーフィールの母親についての専門記事に詳しく書かれている。
半獣人の秘密と過去
ガーフィールが半獣人(ハーフ)である理由も、Arc4で明かされる。彼の母シールズは人間の女性で、父は虎系の魔獣か半獣人系の人物だったとされる。この出生の秘密ゆえに、ガーフィールは外の世界では差別されるかもしれないという恐れを常に持っていた。
聖域は差別を逃れた半獣人が集まる場所であり、ガーフィールにとっては唯一の「安全地帯」だった。だからこそ彼は聖域を守ろうとし、外から来た者たちに敵対してきた。彼の「強さ」への執着も、弱者として差別されることへの恐怖の裏返しだ。強くあれば、侮られない。強くあれば、傷つかない——そう信じてきた青年が、試練を経て「弱さを認める強さ」を獲得する。
スバルとの対決と和解
ガーフィールはArc4の中でスバルと何度も対立する。ループの中では直接的な戦闘になることもある。スバルは身体能力では到底ガーフィールに敵わないが、死に戻りで得た情報と仲間への信頼を武器に、諦めずに向き合い続ける。
スバルは自身の「死に戻り」という特殊な経験から、繰り返しの中で失われる絶望も知っている。ガーフィールが抱える「母への誤解」という重荷に、スバルは正面から向き合う。「お前は聖域に縛られているんじゃない、自分の過去に縛られているんだ」——そうした本質的な指摘がガーフィールの心を揺さぶる。
この対話と対決の末、ガーフィールはスバルを認め、聖域解放のための協力者となる。ガーフィールというキャラクターの魅力は、「最初の敵が最後に最強の味方になる」という展開にある。しかしそれが類型的でなく深く感動させるのは、母との記憶という普遍的なテーマが根底にあるからだ。
ロズワールの黒幕的行動
ロズワールとは何者か
ロズワール・L・メイザースは、エミリアの後援者であり、リゼロ世界でも最高クラスの魔法使いだ。スバルたちに対しては一貫して「傍観者」的な態度を取り、Arc4では特に不可解な行動が目立つ。邸が魔獣に囲まれている状況でも動こうとせず、試練が失敗し続けても焦りを見せない。詳しい強さと能力についてはロズワールの強さ解説記事を参照してほしい。
福音書に従った「最悪のシナリオ誘導」
Arc4の最大の衝撃の一つは、ロズワールがArc4の混乱を「意図的に作り出していた」という事実の発覚だ。
ロズワールは「福音書」と呼ばれる特殊な書物を持っている。これはエキドナが生前に作成した書物で、未来を記した予言書のようなものだ。ロズワールはこの福音書に記された「最悪のシナリオ」をなぞることで、スバルたちを極限状態に追い込もうとしていた。
魔獣の大群を聖域周辺に誘導したのも、ロズワール自身だ。邸の使用人たちが危険にさらされることも、聖域の住人が追い詰められることも、全てロズワールには「計算の内」だった。なぜそこまでするのか——その答えが、エキドナへの執念だ。
なぜそんなことをするのか。ロズワールの真の目的は「エキドナの復活(あるいは再会)」だ。彼はエキドナに深く執着しており、彼女を取り戻すためにはスバルの「死に戻り」を最大限に活用する必要があると考えていた。福音書の通りに事態を進めることで、スバルが限界まで追い詰められ、最終的に「奇跡」のような結果をもたらすと信じていたのだ。
エキドナへの執念——ロズワールのループ的存在
ロズワールはある意味でスバルの「先輩」でもある。彼は魔女との契約によって何百年もの時間を生き延びた、いわば「時を渡ってきた存在」だ。現在のロズワールが宿る体は、最初の「ロズワール」から数えて何人目かの継承者であり、魂の記憶を受け継いでいる。
この設定はスバルの死に戻りとの対比として機能している。スバルは死によってリセットされながら前に進む。ロズワールは体を替えながらも同一の執念を持ち続ける。どちらも「時間と記憶」という主題を体現するキャラクターだ。そして二人は「愛する者のために異常な手段を取る」という点でも共鳴している。
Arc4でロズワールの真の姿が明かされることで、彼はただの「謎めいた後援者」から「敵でも味方でもない複雑な存在」へと昇格する。スバルがロズワールを言葉で説得し、福音書を「手放す」ことを選ばせる場面は、Arc4のもう一つの感情的なクライマックスだ。「お前の大切な人は、お前がこんな手段を取ることを喜ぶか」というスバルの問いかけが、ロズワールの何百年分の執念を揺さぶる。
スバルの「死に戻り」とエミリアの成長
Arc4でのスバルの最多ループ回数
Arc4はリゼロシリーズの中で最もループ回数が多い章として知られている。スバルは繰り返し試練と失敗と死を経験し、少しずつ情報を積み上げながら「最良の結末」を目指す。
一回のループでできることは限られている。聖域の結界問題、魔獣の大群、ガーフィールとの対立、ロズワールの真意、エミリアの試練——これらを全て同時に解決するには、何度もやり直しながら最適解を探るしかない。スバルは情報収集のためだけに死を選ぶこともある。それがどれほどの精神的消耗を伴うかは、想像に余りある。
スバルが各ループで得た情報を組み合わせ、徐々に「解」に近づいていく構成は、Arc4の圧倒的な読み応えの源だ。一度読んだだけでは全体像が掴みにくいほど複雑な構造だが、だからこそ「解けた時」の爽快感も桁違いだ。スバルの「死に戻り(無限への扉)」という権能についてはスバル権能解説記事に詳しい。
エミリアが試練を乗り越える
Arc4のもう一つの主軸は、エミリア自身の成長だ。試練に何度も失敗するエミリアは、自分の過去と向き合えずにいる。
エミリアが避けてきた過去は、エルフの里が凍結された事件に関係している。幼いエミリアが封印してきた記憶——自分が関与した出来事の真相——と向き合うことが、試練突破の条件だった。里の凍結は「魔女パック」と呼ばれる強大な精霊との関連があり、エミリアの出自の謎とも深く結びついている。
スバルのサポートと、何よりも彼女自身の内なる強さによって、エミリアは最終的に三つの試練を全てクリアする。この成長はArc4における最重要な物語的達成だ。Arc1〜Arc3で「守られる存在」だったエミリアが、Arc4を経て「自ら立つ存在」へと変容する。この変化がArc5以降の物語を支える根幹となっている。
エミリアの試練クリアは、聖域の結界解放という物理的な結果だけでなく、彼女の王選候補者としての資格を精神的に確立するという意味でも決定的だ。「弱いお姫様」ではなく「戦う候補者」としてのエミリアがここで誕生したといえる。
Arc4のクライマックスと結末
聖域の解放
エミリアが三つの試練を全てクリアしたことで、聖域グリフィアの結界は正式に解放される。長年外に出られなかった住人たちが、初めて自由に外の世界に出られるようになる瞬間だ。
この解放は単なる魔法的な出来事ではない。聖域の住人たちにとっては、差別と隔絶の歴史から解き放たれる瞬間でもある。ガーフィールが母との和解を果たし、自由を選んで外の世界へ踏み出す場面は、聖域解放の象徴的な締めくくりだ。閉じた世界に留まることの「安全」と、外の世界に出ることの「未知」——ガーフィールが前者を手放して後者を選ぶ決断は、Arc4全体のテーマを体現している。
また、ロズワール邸の魔獣問題もArc4の中で解決される。スバルが仲間の力を借り、何度ものループを経て最良の手段を見つけ出した結果だ。邸の使用人たちが無事に生存できる「最良ルート」を実現するためにスバルが払った代価は、Arc4全体を読み終えた後にその重さが実感できる。
エキドナ(オメガ)の独立
Arc4のもう一つの重要な結末は、エキドナの「オメガ」としての独立だ。
スバルに激しく拒絶され、真の感情を引き出されたエキドナは、概念体としての存在から変容する。彼女は「オメガ」という名前と独立した人格を持つ存在として、聖域の外の世界に踏み出す。エキドナとして存在した時よりも人間に近い感情を持ち、スバルへの複雑な感情も抱えたまま新たな一歩を踏み出す。
オメガはエキドナの知識欲を引き継ぎながら、スバルとの対話によって芽生えた「感情のようなもの」も持ち合わせた存在だ。Arc5以降ではアナスタシア陣営で活動することになり、スバルたちと複雑な関係を結ぶ。
エキドナが「強欲の魔女」から「オメガ」へと変容するこの過程は、Arc4という章が単なるアクションや謎解きにとどまらず、各キャラクターの魂の変容を描いていることを示している。知識の収集者が、初めて「知られること」の痛みと喜びを経験する——それがオメガの誕生の本質だ。
Arc4が物語全体に与えた影響
Arc4はリゼロ物語全体における転換点として、以下の要素を物語に付け加えた。
- エミリアの主体性確立:守られる存在から自ら試練を乗り越える存在へ。Arc5以降のエミリアの活躍の基盤となる
- ロズワールの真意解明:単純な後援者ではなくエキドナへの執念を持つ複雑な人物像が確立。Arc5以降の関係性変化の出発点
- エキドナ(オメガ)の登場:Arc5以降の重要なプレイヤーとして活動する伏線が張られた
- ガーフィールの仲間入り:Arc4以降、ガーフィールはスバル陣営の重要な戦力として機能。特にArc5での活躍が期待される
- 「死に戻り」の限界と可能性:何度繰り返しても解決できない問題の存在と、それでも前に進む意志の確認
- 魔女と魔女因子の深化:エキドナとの対話を通じて、魔女因子の謎が一層深まる
- 王選の実質的な推進:エミリアが試練を経て真の候補者としての資格を獲得し、Arc5の王選加速につながる
Arc4を経たスバルは、Arc3での「スバル再誕」をさらに深化させた存在となる。「誰かに頼る強さ」「仲間を信じる強さ」を手にしたスバルが、Arc5・Arc6と続く試練に挑んでいく。スバルという人物の精神的成長の軌跡において、Arc4は最も密度の高い章だ。
また、Arc4で生まれた「エミリア+スバル」の信頼関係は、それ以前の一方的な「守る・守られる」関係から対等なパートナーシップへと進化している。互いの弱さを知り、それでも共に立つことを選んだ二人の絆は、Arc4を経てはじめて本物の強度を持つ。
Arc4主要キャラクター一覧
| キャラクター | Arc4での役割 | Arc4における変化・成果 |
|---|---|---|
| ナツキ・スバル | 主人公。聖域問題の解決者 | 最多ループを経て聖域・邸の問題を同時解決。仲間への信頼を深め、死に戻りの限界と向き合う |
| エミリア | 試練の受験者・王選候補 | 三つの試練をクリア。守られる存在から自立した存在へ。エルフの里の過去と向き合い本当の強さを得る |
| エキドナ(強欲の魔女) | 賢者の茶会の主催者・試練の管理者 | スバルに拒絶され感情を芽生えさせ「オメガ」として独立。Arc5以降の重要人物へ |
| ガーフィール・ティンゼル | 聖域の番人・当初の敵対者 | 母シールズとの真実を知り和解。強がりの仮面を脱ぎ、スバル陣営に加わり聖域を出る |
| ロズワール・L・メイザース | 黒幕・エミリアの後援者 | 福音書に従い最悪のシナリオを誘導していた真意が露見。スバルに説得され福音書を手放す |
| ベアトリス | ロズワール邸の守護精霊 | エキドナとの契約・真実が明かされる。スバルとの契約へと続く伏線が張られる |
| ラム | ロズワール付きの鬼人メイド | ロズワールへの忠誠と愛情の深さが描かれる。ロズワールの真意を知りながら支え続ける姿が印象的 |
Arc4収録巻のAmazonリンク(9〜14巻)
Arc4は書籍9〜14巻に収録されている。アニメ版では描ききれなかった細部や心理描写も、原作では丁寧に展開されている。ループのたびに変わるスバルの心境、エキドナとの茶会の詳細な会話、ガーフィールの内面——これらは原作小説でこそ完全に味わえる。未読の方はぜひこの機会に原作で体験してほしい。
まとめ:Arc4「聖域と強欲の魔女」はリゼロの心臓部
第四章「聖域と強欲の魔女」は、リゼロシリーズの中で最も多くのキャラクターが変容を遂げ、最も多くの謎が解明される章だ。スバルの死に戻りが最大回数に達し、エミリアが自立を果たし、ガーフィールが過去と和解し、ロズワールの真意が明かされ、エキドナがオメガとして独立する——これだけの物語的変容が一つの章に詰め込まれているのは、リゼロの他のArcでは類を見ない。
Arc4が「シリーズ最大の転換点」と呼ばれる理由は、単に出来事の規模だけではない。Arc4以前と以後では、各キャラクターの在り方が根本的に変わるからだ。エミリアは自ら試練を乗り越える強さを持ち、ガーフィールは聖域という閉じた世界から外に踏み出し、ロズワールは執念の書である福音書を手放す。これらの変化がなければ、Arc5以降の物語は成立しない。
聖域グリフィアという美しくも残酷な舞台の中で繰り広げられる、知恵と感情と意志のぶつかり合い——それがArc4の本質だ。アニメで触れた方も、ぜひ原作小説9〜14巻で完全版を体験することをお勧めしたい。
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