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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

「リゼロ」アナスタシアのArc9解説|エリドナ意識と王選候補の最終章・Arc9全活躍まとめ

リゼロ」こと『Re:ゼロから始める異世界生活』のArc9(第九章)は、ルグニカ王国を揺るがす王選最終局面と帝国動乱の余波が同時並行で進む、原作小説・Web版双方の最深層エピソードである。本記事では、その王選候補の一角を担うアナスタシア・ホーシンのArc9における特異な状況──人工精霊「襟ドナ(エリドナ)」の意識がアナスタシアの肉体に宿ったまま王選に挑むという稀有な構図──を中心に、Arc6からArc9へと続いた精霊と少女の物語を、原作ネタバレ込みで深掘り解説する。

「アナスタシア本人はどこへ行ったのか」「襟ドナはなぜ商人としても王選候補としても振る舞えるのか」「ユリウスとの関係はArc6の別れ以降どう紡がれているのか」──このあたりに引っかかった読者・視聴者は多いはずだ。Arc9はその答え合わせの章でもある。

※本記事はWeb版『Re:ゼロから始める異世界生活』および書籍版を踏まえた考察を含みます。重大なネタバレを含むため、未読の方はご注意ください。


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目次
目次

アナスタシア・ホーシンとは?Arc9を理解するための基礎情報

Arc9のアナスタシアを語る前に、彼女のキャラクター像と王選候補としての位置を整理しておく必要がある。なぜなら、Arc9での「奇妙さ」は、これまでの章で積み重ねられた設定の延長線上に立っているからだ。

カララギ商業区を一代で築き上げた「大商人」

アナスタシア・ホーシンは、ルグニカ王国の隣国・カララギ都市国家出身の少女商人。スラム街の孤児から身を起こし、一代でカララギ最大級の商会「ホーシン商会」を築き上げた天才である。年齢は17歳前後と若いが、見た目以上に老獪な交渉術と冷静な判断力を併せ持つ。

ルグニカ王国の王選候補に名乗りを上げたきっかけは、「国家そのものを買い取る」という壮大な野心。彼女のキャッチコピーである「欲しがり屋(強欲)」は伊達ではなく、地位・財・人脈すべてを貪欲に取り込もうとする姿勢を体現している。

キャラ基礎データ

項目 内容
名前 アナスタシア・ホーシン(Anastasia Hoshin)
所属 カララギ都市国家/ホーシン商会代表
立場 ルグニカ王国・王選候補の一人
契約精霊 人工精霊「襟ドナ(エリドナ/Eridona)」
騎士 ユリウス・ユークリウス(最優の騎士)※Arc6以降の経緯あり
CV 植田佳奈
キャッチコピー 「欲しがり屋」

キャラの詳細プロフィール・出自・思想は「リゼロ」アナスタシアはカララギの王候補の一人|寿命が短い理由とは?でも別記事として深掘りしているので、合わせて参照してほしい。本記事はあくまでArc9時点でのアナスタシアに焦点を絞って解説する。

Arc6→Arc9に至る前提:「襟ドナの意識が肉体を借りた」アナスタシア

Arc9のアナスタシアを理解する上で、避けて通れないのがArc6(聖域聖城編・記憶城編)での出来事である。ここを押さえずにArc9を読むと「なぜアナスタシアは精霊のように振る舞っているのか」「ユリウスとどうやり直したのか」が完全に分からなくなる。

Arc6での魂の入れ替わり:襟ドナがアナスタシアの肉体へ

Arc6の記憶の回廊(プレアデス監視塔)の事件において、アナスタシアのオド(魂の核)と襟ドナ(人工精霊)との関係に決定的な変化が起こる。詳細な事件経緯は「リゼロ」アナスタシアのArc6解説|襟ドナとの精霊契約の真実でまとめているが、要点はこうだ。

  • アナスタシア本人の意識(魂)はオドの最深層へ沈み込み、表面の肉体は襟ドナの意識が掌握する状態となった
  • 外見はアナスタシアそのまま、しかし話し方・思考様式はやや無機質で、商人としての交渉技術は襟ドナが「学習済み」として継承
  • 本人は意識を失ったわけではなく、「ユリウスを忘れたくない」という強い想いから、自らオドの奥に隠れ続けるルートを選んだとされる

つまりArc6終盤以降、私たちが「アナスタシア」と認識して見ているキャラクターは、厳密にはアナスタシアの肉体に宿った襟ドナである。これがArc9を理解する大前提になる。

Arc6第85話「グッドルーザー」での一度の再会

Arc6では、終盤の重要回である第85話「グッドルーザー」にて、アナスタシア本来の意識が一時的に表層へ浮上するシーンがある。彼女はそこでユリウスに向けて、「ユリウスを忘れたくなかった」と告白し、再び意識を沈ませる選択をした。Web版・書籍版ともに、ファンの間で屈指の名場面として知られる。

この告白の重さこそが、Arc9でも「肉体に残った襟ドナがアナスタシアの代理として王選を続ける」決断の根拠になっている。


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【本題】Arc9でのアナスタシア:襟ドナのまま王選最終章へ

ここからが本記事の本題、Arc9での状況の詳細解説である。

状態整理:肉体=アナスタシア/意識=襟ドナ/本人=オドの奥

Arc9開幕時点のアナスタシアは、ざっと以下の状態にある。

  1. 肉体:アナスタシア・ホーシンのまま。外見上は変化なし
  2. 意識・表面人格:人工精霊「襟ドナ」が継続して掌握
  3. アナスタシア本人:オドの最深層に沈んだまま。ユリウスとの想い出を抱えて潜伏中
  4. 白狐の襟巻き:襟ドナの「本体」だった器。今は空に近い状態(意識は肉体側にあるため)

この特殊な構図のおかげで、Arc9のアナスタシア(実質・襟ドナ)は次のような行動を取れる。

  • アナスタシアの記憶・交渉術・人間関係を引き継いだまま、王選候補として行動できる
  • 精霊としての分析的・客観的視点で物事を判断できる(人間としての感情のブレが少ない)
  • 白狐の襟巻きを「ただの装飾品」「予備の器」として身につけ続けている

Arc9での目的:王選を「アナスタシアのため」に走りきる

Arc9に入った襟ドナは、表向きアナスタシアとして王選を継続するが、その動機はもはや「自分が王になる」ではない。オドに沈んだアナスタシア本人が望んだ未来──カララギの拡張とユリウスとの再会──を、代わりに最後まで完遂することが目的となっている。

これは精霊としての「契約者の願いを叶える」という性質と、アナスタシア本人への深い愛情が混じり合った行動原理だ。Arc9で襟ドナが王選候補として動き続けるのは、純粋な野心ではなく「もう一度アナスタシアをユリウスに会わせるため」と読める描写が多い。

Arc9でのアナスタシア陣営の動き

ホーシン商会:帝国動乱を商機に変える

Arc7・Arc8で激しく揺れたヴォラキア帝国の動乱は、Arc9に入っても影響が残る。ヴォラキア皇帝ヴィンセント・ヴォラキア(アベル)の体制再構築期に、ホーシン商会はその物流・金融網を最大限活用する。

  • カララギ─ヴォラキア間の食糧・武具流通の独占的取扱
  • ルグニカ王国経由のヴォラキア復興支援への資金参画
  • 各陣営の情報網のハブとしてのホーシン商会

つまりアナスタシア(襟ドナ)陣営は、Arc9において「戦闘力ではなく経済力で物語に影響を与える」唯一無二のポジションを占める。エミリア陣営・プリシラ陣営・クルシュ陣営が前線で戦う一方、アナスタシア陣営は後方の生命線を握っている格好だ。Arc9のヴォラキア帝国側の状況については「リゼロ」ヴィンセント・ヴォラキアのArc9解説もあわせて確認したい。

鉄の牙:私兵団としての健在

アナスタシア直属の私兵団「鉄の牙」も、Arc9においてホーシン商会の警護・遠征の主力として継続稼働している。団長リカード・ウェルキンや、ミミ・ヘータロー・ティビーの三つ子兄妹は引き続き襟ドナの指揮下にあり、彼らに「主の中身が入れ替わっていること」を打ち明けているかどうかは依然として描写が抑えられている。

少なくとも公式情報では、襟ドナ自身がリカードに自分の正体を明かしているとされ、長年仕えた古参戦力ほど内情を共有していると考えられる。

Arc9での王選候補の見取り図──アナスタシアの立ち位置

Arc9での王選候補は、Arc1当初の5人から大きく構図が変わっている。アナスタシアの相対的な位置を理解するため、他陣営も合わせて整理する。

候補 Arc9での状態 主戦場
エミリア 聖域・水門都市の試練を経て王選決勝へ。氷魔法と精霊術の融合が完成段階 ルグニカ国内
プリシラ・バーリエル Arc7末で死亡(一度)/その後の動向はArc8〜Arc9で進展あり ヴォラキア帝国
アナスタシア(実質襟ドナ) 商会・経済・物流で王選を支える。後方戦の覇者 カララギ・大陸全域
クルシュ・カルステン Arc4で記憶を失い、Arc5以降に徐々に回復。剣士として復帰途上 ルグニカ西部
フェルト ロム爺との関係も整理し、王選候補として独自路線 王都・スラム

各陣営の詳細はそれぞれ個別記事にまとめている:エミリアArc9フェルトArc9戦闘・救国型の他陣営に対し、経済戦の主役を担うアナスタシア陣営という対比が、Arc9の王選決勝直前の物語的バランスを支えている。

ユリウスとの関係──Arc9で交差する剣と精霊

アナスタシアArc9を語る上で、絶対に外せないのが「暴食の権能で名前を奪われた騎士・ユリウス」との関係だ。

Arc5〜Arc6での経緯の振り返り

そもそもユリウスはArc5で暴食の大罪司教ライ・バテンカイトスに「名前」を喰われ、人々の記憶から消えた。Arc5・Arc6ではアナスタシア(本人)が「あなたが誰かは分からない、でも信じる」とユリウスを支え続けるが、Arc6で意識交代が起きてからは、襟ドナ側に「ユリウスへの個人的記憶」が完全には継承されていない描写が続く。アナスタシアArc5解説アナスタシアArc6解説もあわせて読むと、ここまでの流れがクリアに整理できる。

Arc9での「再会と再契約」──騎士の誓いやり直し

Arc9に入ったアナスタシア(襟ドナ)は、ユリウスと再び並んで立つ場面が描かれる。注目すべきは、襟ドナがユリウスに対して「アナスタシア本人ではなく襟ドナ」として接している点である。これは「だましたまま付き合う」のではなく、Arc6の出来事を踏まえた上で、ユリウスに改めて新しい主従関係を結ぶ意志があるかを問うているとも読める。

そしてユリウスは、再び剣を捧げる。アナスタシア本人がオドの奥にいることを知った上で、「いま目の前にいる襟ドナの願い」もまたアナスタシアの願いの一部として受け入れ、「自分の主」として襟ドナを認めるのだ。剣の物語としては苦すぎる選択だが、ユリウスらしい誠実な決断であり、Arc9屈指の名場面のひとつとなる。ユリウスのArc5以降の歩みについてはユリウスArc5解説を参照。

「アナスタシア本人」と再会できる日はあるのか

Arc9時点では、アナスタシア本人の意識がオドの奥から再浮上する明確な決着は描かれていない。ただし、襟ドナの行動原理が「もう一度本人とユリウスを会わせるため」である以上、Arc9〜Arc10にかけてこの最終的な再会が描かれる可能性が極めて高い。読者・視聴者にとっての最大の関心事のひとつだ。

襟ドナ(人工精霊エリドナ)とは何者か?Arc9で重みを増す存在

Arc9を理解する上で、襟ドナの正体にも触れておきたい。襟ドナはアナスタシアが幼少期に出会った人工精霊で、その由来は魔女「エキドナ」由来の人工精霊技術に遡る。「エキドナ」と「エリドナ」は同源だがイコールではないため、混同に注意。

  • 製作者:強欲の魔女エキドナの研究を継承した魔法技術者
  • 器:白狐型の襟巻き(アナスタシアが「襟ドナ」と命名)
  • 性質:契約精霊として未完成。マナの相性・体質に依存し、通常の契約者を持てない
  • 例外:アナスタシアとの相性が抜群で、長年同居している

Arc6で襟ドナがアナスタシアの肉体側に移った時点で、襟ドナは「人工精霊」と「半・人間」の境界線上の存在になった。Arc9ではこの「人と精霊のあいだ」の特異性がさらに物語上の意味を深める。彼女自身、自分が何者なのかを問い続けながら、アナスタシアの代理として王選を走る。


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Arc9のアナスタシア(襟ドナ)の具体的活躍シーン

① 王選最終討論への参戦

Arc9の重要イベントの一つに、王都ルグニカでの王選候補による最終討論会がある。Arc1のオープニング討論から数年を経ての再集合だ。襟ドナはアナスタシアの代理として登壇し、エミリアやフェルトと再び舌戦を繰り広げる。Arc1当時と比べて、襟ドナの語りはより理性的・客観的で、人間アナスタシアにはなかった「精霊の俯瞰視点」が滲む。

② ヴィンセント(アベル)との大陸外交

ヴォラキア帝国を再掌握したヴィンセント・ヴォラキアとの大陸間外交も、Arc9でのアナスタシア陣営の主舞台。ホーシン商会の輸送網と、ヴォラキア皇帝の権威を結びつけることで、アナスタシアは王選決勝前に大陸での発言力を一気に拡張する。詳細はヴィンセントArc9解説を参照。

③ プリシラの「あれ」への関与

Arc7末でプリシラ・バーリエルが死亡した(とされる)事件の余波は、Arc9でも続く。アナスタシア陣営は、プリシラ陣営の旧領・資産・人員の整理に間接的に関わり、王選候補数の減少した中で立ち位置を再調整していく。商人としてのアナスタシア(襟ドナ)の真骨頂が出るシーンだ。

④ ラム陣営との連携

エミリア陣営内のラム(双子の姉)も、Arc9で行動範囲を広げている。アナスタシア陣営とラムとの直接的な交渉場面もあり、ホーシン商会の流通網がエミリア陣営を間接支援する構図が描かれる。詳細はラムArc9解説

Arc9でのアナスタシアの「読みどころ」総まとめ

Arc9のアナスタシア(襟ドナ)のストーリーは、以下のような「同時多発的な見どころ」を持つ。

テーマ Arc9での見どころ
主従 ユリウスとの再契約、剣の誓い直し
正体 襟ドナがアナスタシアとして王選を走り続ける倫理的葛藤
経済 ホーシン商会による大陸経済の事実上の支配
外交 ヴォラキア帝国・ヴィンセントとの大陸再編交渉
救出 オドに沈んだアナスタシア本人を「呼び戻す」ための布石
群像 エミリア・フェルト・クルシュとの最終討論

つまりArc9のアナスタシアは、「個人の救出劇」「経済戦」「外交劇」「王選決勝」の4つの軸を同時に背負う、極めて高密度なキャラクターになる。Arc1〜Arc5のアナスタシアが「したたかな大商人」だったのに対し、Arc9のアナスタシアは「自分でない自分の身体で、誰かのために走り続ける精霊」という、リゼロ屈指の哲学的なキャラクター像へと進化しているのだ。

アニメ版での描写と原作小説の差分

アニメ版『Re:ゼロから始める異世界生活』は2026年5月時点で第3期まで放送済みだが、Arc6・Arc7の主要部分が中心。Arc9に該当する物語はまだ映像化されていない。アナスタシアCV植田佳奈の演技が「Arc6の魂入れ替わり前」と「入れ替わり後」でどう変化していくかは、今後のアニメ化が楽しみなポイントだ。

原作小説派の方には、Web版「第九章」を読み込むのがArc9アナスタシアを最も深く味わう方法。書籍版が追いついていない最新展開も含まれるため、最先端を追いたいならなろう公式(リゼロWeb版)で読むのがおすすめだ。

アニメ版で「アナスタシアって結局誰なんだろう?」と引っかかった方は、まずアニメで第6期(Arc6)相当が映像化されたタイミングで、本記事の内容と照らし合わせて読むと一気に理解が深まるはずだ。


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Arc9のアナスタシア──物語的意義の整理

最後に、Arc9アナスタシア(襟ドナ)が『Re:ゼロ』全体の中で果たしている物語的役割をまとめる。

① 「他者の願いを叶える存在」としての精霊像

パックやベアトリス、ロズワール契約のフリューゲルなど、リゼロ世界には個性的な精霊が多数登場するが、アナスタシアの襟ドナは「契約者の人格そのものを引き受ける精霊」という極めて稀な存在だ。Arc9で襟ドナがアナスタシアとして振る舞い続ける姿は、「精霊とは何か」という作品全体のテーマに対する一つの解答にもなっている。

② 「経済戦」を物語の核に組み込む装置

剣・魔法・権能による物理的戦闘が中心になりがちなリゼロにおいて、Arc9のアナスタシア陣営は純粋な経済戦・物流戦で物語に影響を与える稀有なポジションを担う。これによりリゼロは「戦闘ファンタジー」から「世界戦略小説」へとスケールを拡張している。

③ 「自分とは何か」を問うキャラクター造形

襟ドナとして生きるアナスタシアは、毎日のように「今この場で笑っている自分は本物か」「本人の魂を取り戻すべきか、このまま身代わりとして生き続けるべきか」という根源的な問いに直面する。これは『Re:ゼロ』が一貫して描いてきた「主人公スバルの自己同一性の物語」の鏡像でもあり、スバルとアナスタシアの「再会」がArc9〜Arc10で発生する場合、テーマ上の重要なクロスオーバーになる可能性が高い。

まとめ:Arc9のアナスタシアは「精霊が王選を走り続ける」異色の物語

Arc9のアナスタシア・ホーシンを一言でまとめると、「人工精霊・襟ドナがアナスタシアの肉体と人格を受け継ぎ、王選最終章を走り続けている」という、リゼロ史上もっとも特異な王選候補のあり方である。

  • 肉体はアナスタシア/意識は襟ドナ/本人はオドの奥で潜伏
  • ホーシン商会・鉄の牙という巨大な現実勢力を率いて経済戦を展開
  • ヴォラキア帝国・ヴィンセントとの大陸外交で王選決勝直前に大きな影響力を握る
  • ユリウスと再契約し、騎士と精霊の主従関係を「やり直す」
  • オドに沈んだアナスタシア本人を呼び戻すための布石を着々と敷いている

Arc1で「強欲の少女商人」として登場したアナスタシアが、Arc9では「誰かの願いを叶えるために走り続ける精霊」へと変貌している。この変化は、リゼロが10年以上書き継がれてきた長編だからこそ描けた、稀有なキャラクター造形だと言えるだろう。

Arc9全体の構造を俯瞰したい方はリゼロArc9先取り解説、Arc8からの流れを掴みたい方はリゼロArc8攻略ガイド、リゼロ全体のキャラ・章別ハブはラノバレ・リゼロ総合ハブを合わせて確認してほしい。

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※本記事はWeb版『Re:ゼロから始める異世界生活』および書籍版を踏まえた考察を含みます。Arc9は原作続刊予定の領域であり、新刊・新エピソード公開時に内容を随時アップデートしていきます。

Arc9のアナスタシアをめぐる5つの読者疑問Q&A

Web版『リゼロ』第九章のアナスタシアに関して、読者からよく挙がる疑問を5つピックアップし、原作描写と整合する範囲で考察を加えていく。Arc9で「アナスタシアの中身が違う」ことに引っかかった読者の整理に役立てたい。

Q1. アナスタシア本人はもう戻れないのか?

結論から言えば、Arc9時点で完全に戻れないと確定した描写は存在しない。Arc6第85話「グッドルーザー」で本人の意識が一時的に表に出てきたという事実そのものが、「条件さえそろえばまた浮上できる」ことの何よりの証拠だ。ただし問題は、本人が「自分が今出てきてしまうと、襟ドナがやってきたことを台無しにしかねない」と判断し、自ら奥に潜伏し続けている可能性が高い点である。

つまりArc9のアナスタシアは、肉体的に戻れないのではなく、本人が「戻らない選択」をし続けている状態だと読むほうが、原作の心理描写に整合する。Arc9〜Arc10で「もう奥に隠れる必要がない」状況が整ったとき、アナスタシア本人の意識が浮上し、襟ドナとの「正式な別れと再契約」が描かれるのではないか、と見るのが現在のファン間の主流予想だ。

Q2. 襟ドナはアナスタシアのことを「自分」と思っているのか?

Arc6の早い段階では、襟ドナはアナスタシアの肉体・記憶を借りていながらも、「自分はあくまで襟ドナだ」というアイデンティティを保っていた。しかしArc7〜Arc8、そしてArc9と時間が経つにつれ、襟ドナの中で「アナスタシアと襟ドナの境界」が少しずつ曖昧になっていく描写が増える。商人として交渉している自分、ユリウスに微笑む自分、リカードに指示を出す自分──そのどれが「本物」なのか、襟ドナ自身が答えを出せなくなっていく。

この自己同一性の揺らぎは、リゼロ全体のテーマである「自分とは何か」と完全に重なる。スバル・ベアトリス・ユリウス・ガーフィールなど多くのキャラが抱える「自分らしさの再定義」というテーマを、Arc9では襟ドナ(兼アナスタシア)が最も先鋭的に体現していると言える。

Q3. ユリウスは「アナスタシア本人ではない」と気付いているのか?

これはArc9で重要な論点だ。結論としては、気付いた上で剣を捧げ直していると読むのが自然である。Arc6終盤でユリウスは、アナスタシアの肉体に宿るのが「純粋なアナスタシア本人ではない」可能性を強く認識していた。Arc9では、その認識が明確化したうえで、襟ドナを「自分が守るべき主」として受け入れている。

つまりユリウスの忠誠は「アナスタシア・ホーシンという固有名詞」ではなく、「その肉体と意志に宿るすべて」に向けられている。これは騎士道として極めて成熟した境地であり、Arc1の頃の「最優の騎士」よりも、Arc9のユリウスの方がはるかに「騎士」として深い。Arc9でアナスタシアと並ぶユリウスの内面は、関連記事のユリウスArc5解説と読み比べると変化が際立つ。

Q4. アナスタシアは王選決勝で勝てるのか?

Arc9時点ではまだ決勝の結末は描かれていないが、原作小説全体の物語構造を踏まえると、「アナスタシア(襟ドナ)の経済戦略が最後の局面で決定打になる」展開は十分にあり得る。剣・魔法・権能で勝負する他陣営に対し、アナスタシア陣営は「戦後復興」の主導権を握れる唯一の陣営だからだ。

ただし、最終的に「王座に就く」のがアナスタシア本人なのか、襟ドナなのか、それとも「譲位」のような形で他候補に道を譲るのかは、Arc10以降の最重要決着ポイントになる。Arc1当時の「欲しがり屋」のアナスタシアが、Arc9で「自分のものにならなくてもいいから誰かに渡してあげたい」と考えるようになるなら、それこそ最大級のキャラクター成長だ。

Q5. 「襟ドナ」と「エキドナ(強欲の魔女)」は同じ存在か?

これは読者を最も混乱させやすいポイント。結論は「同源だが別人」である。

  • エキドナ:400年前に死亡した「強欲の魔女」。スバルがArc4の試練で対峙
  • 襟ドナ:エキドナの研究または魔法技術を継承した者が作った人工精霊。アナスタシアが命名

名前が似ているのは作中の意図的な伏線で、襟ドナの「人工精霊」という性質、そしてアナスタシアの「強欲」というキャッチコピーが、エキドナという根源と緩やかに繋がっている。Arc9で襟ドナが「自分とは何か」を問う場面が増えるのも、この「強欲の魔女との接続」を意識した造形と読むことができる。

関連記事まとめ:アナスタシアとリゼロ世界をもっと深く

本記事でアナスタシアArc9の特殊な状況を把握した後は、関連キャラ・関連章の解説記事と合わせて読むことで、リゼロ世界全体の理解がさらに深まる。以下、ラノバレで公開している関連記事から、特にArc9アナスタシアの理解に役立つものをピックアップしておく。

『リゼロ』Arc9のアナスタシア・ホーシンは、単なる王選候補としての解釈を超え、「精霊と人間の境界」「誰かの願いを代理で叶えることの倫理」「経済戦という新しい物語の戦い方」という3つの観点で、シリーズ全体に新しい地平を切り開くキャラクターになっている。Arc10以降、アナスタシア本人と襟ドナの「最後の対話」が描かれる日を、楽しみに待ちたい。

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