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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

「リゼロ」テレシア・ヴァン・アストレアとは?かつての剣聖・ヴィルヘルムとの愛・白鯨戦の悲劇を完全解説

『Re:ゼロから始める異世界生活』において、テレシア・ヴァン・アストレアという名前は、物語の根幹にかかわる深い悲劇を背負った存在として語り継がれている。彼女はラインハルト・ヴァン・アストレアへ「剣聖」の称号が移る以前、ルグニカ王国が誇る最強の剣士として君臨した女性だ。ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアの妻であり、ハインケル・アストレアの母であり、かつての剣聖——そのすべての肩書きを持ちながら、白鯨との戦いで悲劇的な最期を遂げた。

本記事では、テレシアのプロフィールから始まり、剣聖時代の活躍、ヴィルヘルムとの出会いと愛の物語、Arc3における白鯨討伐遠征での死、ライ・バテンカイトスに記憶を喰われた後の状態、そしてテレシアの死がアストレア家全体に与えた深刻な影響までを余すことなく解説する。彼女を知ることは、ヴィルヘルムという剣鬼の苦悩を、ハインケルという父親の歪みを、そしてラインハルトという孤独な剣聖の宿命を理解することでもある。


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目次

テレシア・ヴァン・アストレア プロフィール

項目 詳細
名前 テレシア・ヴァン・アストレア(Theresia van Astrea)
種族 人間
称号 剣聖(かつて)
神人の加護 剣聖の加護(現在はラインハルトへ移譲)
家族 ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア(夫)、ハインケル・アストレア(息子)、ラインハルト・ヴァン・アストレア(孫)
死因 白鯨討伐遠征にて、ライ・バテンカイトスに記憶を喰われ精神崩壊・死亡
声優 早見沙織(アニメ版・リゼロArc3)
登場巻 原作小説Arc3(9〜11巻)、外伝「剣鬼恋歌」ほか

かつての剣聖としてのテレシア——ラインハルトへ称号が移る前の時代

「剣聖」とはルグニカ王国における最強の剣士に与えられる神人の加護である。その加護は世代を超えて特定の血筋に継承されてきたが、テレシアが生きていた時代、剣聖の称号は彼女のものだった。

テレシアは剣の才能において超人的な境地に達していた。彼女の剣技は単純な武力ではなく、相手の動きを完全に把握する洞察力と、最小限の動作で勝負を決める効率美に裏打ちされていた。まさに「剣聖」の名に相応しい、王国最強の女剣士だ。

しかしテレシア本人は、剣聖としての力に複雑な感情を抱いていた。彼女は戦うことへの本能的な喜びを感じながらも、その喜びを半ば恥じてもいた。後にヴィルヘルムと出会い「剣のためだけに生きている自分が、人を愛することができるのだろうか」と自問する場面は、彼女の内面の葛藤をよく示している。剣聖の加護は選ばれた者に与えられる栄誉であると同時に、その人間を「戦いの運命」に縛り付ける呪縛でもある——テレシアはそのことを深く自覚していた。

テレシアが剣聖として戦った時代、ルグニカ王国は様々な脅威と向き合っていた。魔獣の討伐、隣国との小競り合い、王国内の治安維持——そのいずれにも剣聖の力は必要とされた。テレシアは国王の要請に応じ、幾度もの戦場を経験した。彼女が残した功績はルグニカ王国の歴史に刻まれており、「かつての剣聖テレシア」の名は、ラインハルトの時代になってもなお語り継がれている。

ラインハルトが生まれ、剣聖の加護が孫へ移ったことで、テレシアは剣聖の称号を失った。だがそれはテレシアにとって解放でもあった。加護を持たない一人の女性として、ヴィルヘルムの傍らにいることができる——そう感じていたという。加護なきテレシアは、しかし剣技においては依然として最高水準にあり続けた。「加護は失っても、私の剣は失っていない」——その言葉が、彼女が白鯨討伐遠征に赴くことを決意した理由の一つだ。

ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアとの出会いと愛——剣鬼との歩み

テレシアとヴィルヘルムの出会いは、リゼロ原作屈指のロマンスとして語り継がれている。その物語は外伝「剣鬼恋歌」に詳しく描かれており、二人の関係の深さと複雑さを理解するうえで欠かせない。

ヴィルヘルムという「剣鬼」

ヴィルヘルムは若い頃から剣一筋に生きてきた男だった。彼は本能的に剣を振るうことを求め、強者との戦いに生の充実を見出す「剣鬼」——剣に憑かれた鬼、とでもいうべき存在だった。人としての情愛よりも剣の道を優先し続けた彼は、アストレア家に仕える騎士として生きていた。剣に生きることを誇りとしながら、同時にその生き方の孤独さを内心では感じていた。

そんなヴィルヘルムが剣聖テレシアと出会ったのは、両者の剣技が交錯する瞬間だった。テレシアの剣はヴィルヘルムの全力を正面から受け止め、そして超えていった。圧倒的な実力差を目の当たりにしながら、ヴィルヘルムは不思議な感情——尊敬でも嫉妬でもない、ある種の憧れ——を抱く。それは彼が生まれて初めて感じる「負けてもよいと思える相手」への心情だった。

愛の始まり

二人の関係は師弟でも主従でもなく、まずは「剣を通じて理解し合う者」として始まった。テレシアは剣鬼と呼ばれるヴィルヘルムの中に、自分と同じ「剣に取り憑かれた魂」を見た。そして互いの孤独を知ったとき、二人は友を超えた絆を育んでいく。

「あなたと戦いたい。それが私の願いよ」とテレシアが告げたとき、ヴィルヘルムはそれを戦いへの宣戦布告ではなく、魂の告白として受け取った。剣聖と剣鬼——天下最強の二人が、剣を通じて愛を見つけたのだ。二人の関係は激しい剣の打ち合いと、静かな対話の繰り返しの中で深まっていった。テレシアは「剣を振るう喜びを恥じなくてよい」とヴィルヘルムに告げ、ヴィルヘルムは「剣聖の称号に縛られなくてよい」とテレシアに答えた。互いが互いの魂を解放するような、稀有な愛の形だった。

結婚と家族

二人はやがて結ばれ、アストレア家の一員としてヴィルヘルムを迎える形で婚姻関係を結んだ。テレシアがヴィルヘルムに「ヴァン・アストレア」の姓を与え、共に家族を築いていく。息子ハインケルが生まれ、孫ラインハルトが誕生した。

テレシアが剣聖の加護をラインハルトへ受け渡したのは、彼が生まれた直後のことだ。加護の移譲は本人の意思とは無関係に行われるが、テレシアはそれを静かに受け入れた。むしろ「これで普通の妻として、ヴィルヘルムの隣に立てる」と感じていたとも語られる。加護なきテレシアは、剣聖の重責から解放された一人の女性として、家族との時間をより大切にするようになったという。ヴィルヘルムもそのテレシアを愛し、剣鬼としての孤独な生き方から、「守るべきものがある戦士」へと変わっていった。

ハインケル・アストレアとの関係——母として、妻として

テレシアとハインケルの関係は、リゼロの物語において極めて重要な伏線を含んでいる。ハインケルはテレシアとヴィルヘルムの息子であり、アストレア家の血筋を継ぐ者だ。しかし彼は、両親の偉大さの影に常に苦しみ続けた人物でもある。

超えられない両親の背中

ハインケルは剣聖の母を持ち、剣鬼と呼ばれる父を持つ。自分の息子ラインハルトはさらに史上最強の剣聖として覚醒した。この「三世代にわたる圧倒的な血筋」の中で、ハインケル自身は平凡な騎士にすぎなかった。それがハインケルの心に、取り返しのつかない傷を残した。

テレシアが生きていた頃、ハインケルは母の愛情を受けていた。テレシアは剣一筋の女性でありながら、息子を心から愛していた。母としてのテレシアは、ハインケルに「剣の才能がなくても、アストレアの家に誇りを持って生きなさい」と語りかけていたとも言われる。テレシアにとってハインケルは、剣聖でも剣鬼でもなく、ただ愛すべき息子だった。だがテレシアの死後、ハインケルはその愛情の裏にあった「剣聖の重さ」だけを引き受けることになる。

テレシアの死がハインケルに与えた影響

テレシアが白鯨との戦いで死んだことは、ハインケルに取り返しのつかない変化をもたらした。尊敬する母の死、そして父ヴィルヘルムが亡き妻への執念を燃やしてひたすら前だけを向いていく様子——それを見ながら、ハインケルは「自分は何のために生きているのか」という問いに答えられなくなっていく。

結果としてハインケルはアルコールに溺れ、息子ラインハルトとの関係は完全に崩壊した。ラインハルトが「父は父であっても、もはや家族ではない」と語るほどの深刻な亀裂は、テレシアの死なくしては生まれなかった。テレシアはアストレア家の「要」であり、彼女の喪失はそのまま家族崩壊の引き金となったのだ。

白鯨討伐遠征とテレシアの死——Arc3の悲劇

リゼロArc3(原作小説9〜11巻)における最大の悲劇の一つが、テレシアの死だ。この出来事は物語の過去に起きたこととして語られるが、その影響はArc3の現在にまで及んでいる。

白鯨という脅威

白鯨(Hakugei)はルグニカ王国にとって長年の脅威だった。魔獣であるこの存在は「霧を操る力」を持ち、「ミーティア」と呼ばれる特殊能力で周囲の存在の「記憶」を消去できる。白鯨に遭遇した者はその存在を忘れ去られ、まるで最初からそこにいなかったかのように扱われる——それが白鯨の真の恐怖だ。白鯨はまた、その巨体と力で周囲を物理的にも蹂躙し、一度の出現で数百人規模の人的被害をもたらすとされる。

かつて行われた白鯨討伐遠征において、剣聖テレシアは最前線に立った。彼女は剣聖の称号こそ失っていたが、その剣の腕はラインハルトへ加護が移った後もなお圧倒的だった。テレシアは「剣聖の力なくとも、この剣で戦える」という信念を持っていた。加護なきテレシアが白鯨討伐遠征に参加すること——それ自体が、彼女の「剣士としての誇り」の表れでもあった。

ライ・バテンカイトスとの遭遇

その遠征において、テレシアの前に現れたのが「ライ・バテンカイトス」だった。ライは大罪司教「暴食」を冠する存在であり、その権能は「記憶を喰う」ことにある。ライに記憶を喰われた者は、自我の基盤を失い精神が崩壊する——これが「暴食」の権能の真の恐ろしさだ。

テレシアはライと対峙した。かつての剣聖の力を残す彼女は、高い戦闘能力でライに迫った。しかし「暴食」の権能は純粋な剣技では防ぎようがない。ライはテレシアの「記憶を喰い」、彼女から自我を奪い取ったのだ。この一連の出来事は、白鯨との戦いの混乱の中で発生した。テレシアが単独でライに対峙することになった経緯についても、詳細はいまだ謎の部分が多い。

記憶を喰われた後のテレシア

記憶を喰われたテレシアは、もはや「テレシア・ヴァン・アストレア」ではなかった。名前も、ヴィルヘルムとの記憶も、息子ハインケルへの愛情も、剣聖として生きた誇りも——すべてが消え去った。残ったのは本能だけで動く抜け殻だった。

それでも彼女の体は剣を持ち、反射的に剣を振るった。長年磨き続けた剣技の記憶は筋肉に刻まれており、思考を失ってもなお彼女は「剣士」として戦い続けた。この姿は、遠征に参加していたヴィルヘルムにとって最大の悲劇だった——愛する妻が、自分を認識できないまま剣を向けてくる現実を直視しなければならなかったのだから。

テレシアはやがてこの状態のまま死を迎えた。彼女が最期に何を思っていたのか、それは誰にも分からない。記憶を失った彼女に、思考そのものが存在したかどうかすら定かではないのだから。記憶と名前を喰われた者の魂がどこへ行くのか——この問いはリゼロという物語が「暴食」の権能を通じて突きつける、最も深刻な哲学的問いの一つでもある。

ライ・バテンカイトスに記憶を喰われた後の状態——意識・人格の喪失

「暴食」の権能による記憶の剥奪は、ただの「物忘れ」ではない。人間の自我とは記憶の集積によって形成されるものであり、その全てを奪われることは、人格の完全な消去を意味する。

「暴食」権能のメカニズム

ライ・バテンカイトスが行使する「暴食」の権能は、対象の「記憶」と「名前」を喰らうことで成立する。名前を喰われた者は、周囲からその存在を認識されなくなる——まるで最初からいなかった人物として扱われる。記憶を喰われた者は、自分自身が何者であるかを忘れ去る。二つの権能が同時に行使されれば、被害者は周囲からも自分自身からも「存在を消去された」も同然になる。

テレシアの場合、ライは彼女の記憶を喰った。これにより「テレシア・ヴァン・アストレア」としての人格は消滅した。彼女の体には剣を振る能力だけが残り、思考なき剣士として存在し続けた。暴食の権能がいかに残酷かは、この一事例だけでも十分に伝わるだろう。

ヴィルヘルムが目撃した妻の変貌

白鯨討伐遠征においてヴィルヘルムがこの現場に遭遇したとき、彼が見たのは「剣を手に、自分に剣を向けてくるテレシアの姿」だった。妻の体に宿る何者かは、もはやテレシアではない。しかし外見は紛れもなくテレシアだ。

ヴィルヘルムはこのとき「戦えなかった」とも言われる。愛する妻の顔をした存在に剣を向けることへの本能的な拒絶——剣鬼と呼ばれた彼すら、その感情の前では動くことができなかった。この経験がヴィルヘルムの心に刻んだ傷は計り知れない。そして彼は「白鯨を斬ることへの執念」と「亡き妻を想い続けること」を生の支えとして、以後の人生を生きていくことになる。

「名前を喰われる」ということの意味

リゼロという物語において「名前」は単なる識別符号ではなく、その人物の存在そのものを表す。名前を喰われた者が「最初からいなかった者」として扱われることは、物語の文脈で極めて深い意味を持つ。テレシアの記憶が喰われたことで、彼女が抱いていたヴィルヘルムへの愛情、ハインケルへの慈愛、剣聖としての誇り——それら全ての「意味」が消えた。残るのは剣を振る「機能」だけだ。これは、人間の本質が「記憶と感情」にあるという、リゼロが繰り返し提示するテーマの最も悲劇的な例証でもある。

ヴィルヘルムの執念とArc4聖域での復讐——亡き妻への想い

テレシアの死後、ヴィルヘルムは白鯨への復讐を生涯の目的とした。Arc3においてスバルたちの白鯨討伐に加わったのも、この執念からだ。ヴィルヘルムは老齢を迎えてもなお現役の剣士として白鯨と戦い、最終的にその首を落とした。

白鯨を斬ることへの意味

ヴィルヘルムにとって白鯨討伐は、単純な「敵討ち」以上の意味を持っていた。それは「妻の死を認めること」でもあった。テレシアを奪った存在を自ら滅することで、彼は初めて妻の死を内面で受け入れられる——そう感じていたのだ。長い歳月の間、ヴィルヘルムは白鯨への怒りを心の中で燃やし続け、それが彼の剣を衰えさせなかった原動力でもある。老いてもなお現役であり続けられた理由の一つは、テレシアへの愛と、白鯨への憤怒にあると言えるだろう。

Arc3の白鯨戦において、ヴィルヘルムは凄まじい気迫で戦った。彼の剣には怒りだけでなく、長年の哀しみと、テレシアへの溢れるほどの愛情が込められていた。老いた体が血を吐きながらも、「テレシア、俺は果たしたぞ」という言葉に込められた重みは、読者の胸を打った。

Arc4聖域でのテレシアとの再会——そして真の別れ

Arc4「聖域」編において、ヴィルヘルムは生前のテレシアと再会する機会を得る。聖域の「試練」を通じて、過去のテレシアと向き合う場面だ。この再会はヴィルヘルムにとって望んでいたものでありながら、同時に最も残酷なものでもあった。

生前のテレシアはヴィルヘルムに微笑みかける。「あなたはちゃんと生きてきたのね」——そんな言葉で。ヴィルヘルムは長年抑え込んでいた感情を爆発させ、妻への愛と、先立たせてしまったことへの後悔と、そして「俺は白鯨を斬った」という報告を、涙と共に吐き出した。

この場面はリゼロ原作の中でも屈指の感動的シーンとして読者の記憶に刻まれている。テレシアはここで「真の意味で」ヴィルヘルムに別れを告げ、彼の心に眠り続けていた。Arc4聖域のシーンは、ヴィルヘルムとテレシアの物語に一つの区切りをつけるものであり、二人の愛の深さを改めて証明する場面だ。

テレシアの死がアストレア家に与えた影響——ラインハルト・ハインケルへの波紋

テレシアの死は、アストレア家という名家に深い亀裂をもたらした。祖母・妻・母としての彼女の喪失は、それぞれの家族に異なる形で傷跡を残した。

ラインハルトへの影響

ラインハルト・ヴァン・アストレアは史上最強の剣聖として知られる。彼は生まれながらに剣聖の加護を持ち、神人と同等の力を誇る。しかし彼の家族関係は深刻に崩壊している。祖母テレシアはラインハルトが幼い頃に死んだ。父ハインケルはアルコール依存で機能不全に陥った。ラインハルトは「最強でありながら、家族の幸せを守れない」という矛盾の中を生きてきた。

また、ラインハルトが剣聖の加護を受け継いだことで——つまり彼が生まれたことで——テレシアは剣聖の称号を失った。ラインハルト自身はこの事実に複雑な思いを抱いており、「自分が生まれなければ、祖母は剣聖のままでいられたかもしれない」という自責の念も、彼の内面に宿っているとされる。最強の剣聖でありながら、その力の源泉が祖母の称号の喪失に起因するという皮肉は、ラインハルトというキャラクターの孤高さを深める一因だ。

ハインケルへの影響

ハインケル・アストレアにとって、テレシアの死は壊滅的だった。父ヴィルヘルムは復讐の炎を燃やして前を向き続けた。息子ラインハルトは史上最強の剣聖として誰もが認める存在になった。しかしハインケルは——母を失い、自分の無力を痛感し、酒に溺れていった。

テレシアが生きていれば、ハインケルの転落はあったのだろうか。それは分からない。だが少なくとも、アストレア家の「精神的な支柱」であったテレシアの不在が、ハインケルの崩壊を加速させたことは確かだ。ラインハルトとハインケルの関係が修復不能なまでに悪化していることは、Arc4以降で明らかになる。息子を「最強の剣聖」と称えながら、それを羨み、憎む——ハインケルの歪んだ感情の根底には、テレシアの死によって生じた「アストレア家の亀裂」がある。

「剣聖の誓い」とテレシアの遺志——ラインハルトへの継承

テレシアが残したものは、死という事実だけではない。彼女が体現した「剣聖」としての生き方、そして「人を愛しながら剣を振るう」という精神は、ラインハルトへと受け継がれている。

剣聖とは何か——テレシアが示したもの

テレシアにとって剣聖であることは、単に強いということではなかった。剣聖の加護は持ち主を「王国最強の剣士」にする神秘の力だが、テレシアはその力を「王国と民を守るための誓い」として行使した。彼女が白鯨討伐遠征に参加したのも、加護なき一個人として「剣聖の誓いを果たす」という信念があってのことだ。剣聖の名に恥じない生き方をすることが、テレシアの矜持だった。その矜持は、称号を失っても彼女の中に残り続けた。

ラインハルトは生まれながらにして剣聖の加護を持つが、剣聖としての「精神」を継承したのは、直接的にはヴィルヘルムの薫陶によるところが大きい。そしてヴィルヘルムの剣の魂は、テレシアとの愛によって形成されたものだ。テレシア → ヴィルヘルム → ラインハルト——この精神の系譜は、三世代にわたる継承として物語に流れている。

テレシアが「できなかったこと」

テレシアが白鯨に倒れたことで、彼女が「できなかったこと」がある。それはヴィルヘルムと共に老いること、ハインケルを見守り続けること、そしてラインハルトが成長する姿を目にすることだ。

彼女はラインハルトが剣聖として覚醒する姿を、ハインケルが転落していく様を、ヴィルヘルムが白鯨を討ち果たす瞬間を——何も見ることができなかった。それこそがテレシアの悲劇の本質であり、リゼロという物語が描く「死の重さ」でもある。死した者は何も変えられない。しかし死した者の影響は、生きている者の行動を通じて、永遠に世界を変え続ける——それがリゼロという物語の核にある思想だ。

ファン考察:テレシアが生きていたらリゼロの世界はどう変わったか

「もしテレシアが死なずに生きていたら、リゼロの世界はどう変わっていたか」——これはリゼロファンの間でよく語られる考察テーマだ。テレシアという存在の影響力の大きさを考えると、その「if」は物語の根幹を揺るがすほどの規模になる。

ハインケルの転落はなかったか

最も大きな変化として考えられるのが、ハインケルの変貌だ。テレシアが生きていれば、ハインケルは「父ヴィルヘルムの復讐心」と「息子ラインハルトの圧倒的才能」に挟まれながらも、母の愛情という精神的支柱を持ち続けられたかもしれない。

ハインケルがアルコールに溺れず、ラインハルトとの関係が修復可能だった世界線では、アストレア家は王国の守護として一層強固な存在になっていたと考えられる。ラインハルトが孤立せず、家族の絆の中で剣聖として成長する姿は、物語にどんな影響を与えただろうか。少なくとも、ラインハルトという人物の孤高さは幾分か和らいでいたかもしれない。

白鯨討伐の歴史は変わっていたか

テレシアが生きていれば、Arc3での白鯨討伐はより強固な体制で行われた可能性がある。加護なきテレシアでも圧倒的な剣技を持つ彼女が健在であれば、白鯨に対する対抗力は倍増する。しかし同時に、「テレシアが生きていた世界」ではヴィルヘルムに白鯨への個人的な復讐心がなく、Arc3のあの凄まじい気迫——「妻の仇を取る」という執念——は存在しなかっただろう。歴史の皮肉として、テレシアの死がヴィルヘルムを白鯨を倒せる最強の戦士たらしめた側面がある。

ライ・バテンカイトスへの対抗

テレシアが「暴食」の権能に対してどう抗えたか、という考察も興味深い。ライの記憶を喰う力は、どれほど剣技が優れていても直接的には防ぎようがない。テレシアが持つ「加護なき剣技」ではライの権能そのものを無効化することは難しい。だがもし、テレシアが「暴食」の権能の存在を事前に知り、対策を立てられていたなら——例えばライに近接せずに戦う方法、あるいはラインハルトと連携して戦う体制を整えていたなら、異なる結末があったかもしれない。

ラインハルトの孤独と孤高

ラインハルトは「神人に等しい力を持つが故に孤独な剣聖」として描かれる。テレシアが生きていれば、その孤独は幾分か和らいでいたかもしれない。剣聖として唯一の先輩である祖母テレシアの存在は、ラインハルトにとってかけがえのない指針となっただろう。テレシアなき世界のラインハルトは、「剣聖であること」の意味を自ら問い続けなければならない。テレシアが遺したものはヴィルヘルムを通じて伝わるが、直接の言葉は届かない。この事実こそが、ラインハルトというキャラクターの孤高さの根源にある。

まとめ:テレシア・ヴァン・アストレアという存在の意義

テレシア・ヴァン・アストレアは、リゼロという物語において「不在によって最も大きな影響を与えたキャラクター」の一人だ。彼女は物語の現在には登場しない。しかし彼女の死が生み出した波紋は、ヴィルヘルムの執念として、ハインケルの転落として、ラインハルトの孤高として、Arc3以降の物語全体に流れ続けている。

かつての剣聖として最強の力を持ち、剣鬼ヴィルヘルムに唯一の愛情を捧げ、そして「暴食」の権能の前に人格を喪失して倒れた——テレシアの人生は、輝かしさと悲劇が不可分に絡み合っている。彼女の存在を深く知ることで、リゼロという物語の奥行きはさらに増す。

ヴィルヘルムが「俺はテレシアを愛している。今もこれからも」と語り続ける限り、テレシアは死して尚、物語の中に生き続ける。それこそがテレシア・ヴァン・アストレアという剣聖の、最後にして最大の遺志なのかもしれない。アストレア家という名家を支え、男を剣鬼から愛する夫へと変え、王国の剣聖の精神を三世代に渡って繋いだ——テレシアという女性の偉大さは、彼女の死後にこそ、最もよく輝いている。


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