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Re:ゼロから始める異世界生活のネタバレ【小説・アニメ・漫画】

「リゼロ」ハインケルはArc10でどうなった?アストレア家の確執と父への刃【ネタバレ】

「Re:ゼロから始める異世界生活」第十章「獅子王の国」(書籍44巻〜)において、ハインケル・ヴァン・アストレアは三代にわたるアストレア家の業を一身に背負い、最も重い場所に立たされています。剣聖の家系に生まれながら加護を受け継げず、Arc9では実の父ヴィルヘルムを背後から刺すという衝撃的な行動に出た男が、Arc10でいかなる立場に置かれ、何を選ぼうとしているのか。本記事では、アストレア三代(ヴィルヘルム・ハインケル・ラインハルト)の複雑な関係を軸に、Arc10でのハインケルの全てを原作小説ベースで徹底解説します。

※ 本記事はArc9・Arc10(書籍44巻)の重大なネタバレを含みます。


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目次

ハインケル・ヴァン・アストレア Arc10時点のプロフィール

まずはハインケルというキャラクターの基本情報を整理しておきましょう。Arc10時点での彼の立場を把握するうえで、これまでの軌跡は欠かせない背景です。

項目 詳細
フルネーム ハインケル・ヴァン・アストレア(Heinkel Van Astrea)
通称 なし(「アストレアの血を引く男」の自覚のみ)
職業 ルグニカ王国近衛騎士団 副団長
ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア(「剣鬼」・元最強格の剣士)
母(故人) テレシア・ヴァン・アストレア(先代剣聖・亜人戦争の英雄)
ルアンナ・アストレア(ラインハルト2歳の時から永遠に眠り続ける)
息子 ラインハルト・ヴァン・アストレア(現剣聖・歴代最強格)
加護 なし(剣聖の加護は息子ラインハルトへ転移済み)
外見 赤毛・赤い瞳(ラインハルトと同系統)、中年男性
声優(CV) 津田健次郎
所属陣営 プリシラ陣営(Arc8でプリシラ消滅・陣営崩壊)
Arc10での立場 プリシラ陣営崩壊後・フィルオーレ誘拐関与疑惑を抱えた状態
行動原理 眠り続ける妻ルアンナを目覚めさせること

Arc10開幕時点で、ハインケルはあらゆる意味で「孤立」した状態に置かれています。主君プリシラは消え、仲間のアルもシュルトも去り、父ヴィルヘルムを自分の手で刺すという取り返しのつかない行動に出た後——。それでも彼は、眠り続ける妻ルアンナのために動き続けます。

Arc10「獅子王の国」におけるハインケルの立場

Arc10「獅子王の国」は書籍44巻『別離と鎮魂の四十四幕』(2026年3月25日発売)から始まる最終決戦章です。スバル一行が王都ルグニカへ帰還し、神龍教会と聖女フィルオーレの登場によって王選の構図が大きく揺れ動く中、ハインケルは非常に複雑な立場に置かれています。

プリシラ陣営崩壊後の「迷い子」としてのハインケル

Arc8「大災編」でプリシラ・バーリエルが自己犠牲により消滅したことで、プリシラ陣営は王選史上初の脱落陣営となりました。アルはArc9で最終的に退場し、シュルトも陣営から離散。三騎士はArc10開幕時点で事実上解体されています。

ハインケルにとってプリシラとの約束——「王になった暁には龍の血を授ける」——は、プリシラの死亡によって永遠に果たされない誓いとなりました。残りの王選候補者(エミリア・フェルト・クルシュ・アナスタシア・そして新参のフィルオーレ)のいずれかに再び仕えるという道もありますが、ハインケルにはその余地がほとんどありません。

息子ラインハルトが仕えるフェルト陣営には、長年の劣等感からプライドが許さない。クルシュ陣営には父ヴィルヘルムがいる——Arc9で刺した父がいる陣営への参加は事実上不可能です。エミリア陣営アナスタシア陣営との縁は薄い。こうした「どこにも行けない」構造が、Arc10でのハインケルの孤立を決定づけています。

フィルオーレ誘拐への関与疑惑

Arc10でハインケルに向けられる最も重い視線が、15年前のフィルオーレ・ルグニカ誘拐への関与疑惑です。

Arc9の第44話『水面下の密約』でフェルトの真名が「フィルオーレ・ルグニカ」と判明した直後、この誘拐事件の「共犯者」としてハインケルの名が浮上しました。近衛騎士団副団長という立場にあったハインケルが、15年前に王族の幼い姫を誘拐する計画に関わっていたとすれば、これはアストレア家の名に泥を塗るどころか、反逆罪にも問われかねない重大な疑惑です。

Arc10「獅子王の国」ではこの疑惑が再び掘り起こされ、アストレア家全体が長年積み上げてきた「業」と向き合うことを余儀なくされていきます。ハインケル自身がその誘拐を知っていたのか、あるいは直接関与していたのかは、Arc10の展開の中で段階的に明らかにされていくと考えられます。

関連: プリシラArc10の役割と影響 / オットーArc10の立ち回り

アストレア家三代の相関図——ヴィルヘルム・ハインケル・ラインハルト

ハインケルを理解するには、アストレア三代の複雑な関係性を把握することが不可欠です。この三代の物語は、リゼロ全編を通じて「愛の歪み」を最も濃密に描く系譜のひとつです。

第一世代:ヴィルヘルム——愛に生き、愛に縛られた剣鬼

祖父ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアは、加護も家柄も持たない平民出身でありながら、純粋な剣への執念で歴代最強格の剣士「剣鬼」へと至った男です。彼の人生の核心には、常に一人の女性——先代剣聖テレシア・ヴァン・アストレア——への愛があります。

ヴィルヘルムとテレシアの出会いは若い頃の手合わせであり、当初は剣への向き合い方を巡る対立から始まりました。しかし互いの剣才と魂を認め合い、やがて夫婦となります。テレシア・ヴァン・アストレアはヴィルヘルムにとって、剣の師であり、心の拠り所であり、人生の意味そのものでした。

だからこそ、テレシアが白鯨討伐戦で命を落とした時(加護がラインハルトへ転移したことによる戦闘力の急落が引き金)、ヴィルヘルムの精神は崩壊寸前まで追い込まれます。悲嘆に暮れたヴィルヘルムは、最終的に家を去り息子ハインケルを置き去りにしました。これがアストレア家三代の悲劇の起点です。

第二世代:ハインケル——失敗の連鎖に溺れた男

ハインケルはアストレア家に生まれた「期待の重さ」を一身に受けました。父は剣鬼、母は剣聖——その血を引く者として「次の剣聖は自分かもしれない」という無言の圧力が幼少期から続きます。しかし剣聖の加護はハインケルに来ませんでした。

さらに息子ラインハルトが5歳で剣聖に選ばれた瞬間、「加護なしで父に勝った5歳児の父親」という立場にハインケルは置かれます。この屈辱は一人の父親の自尊心を根底から崩壊させるものでした。その後の「アルコール依存」「妻ルアンナへの過剰な執着」「息子への嫉妬」は、全てこの連鎖的な自己否定から来ています。

第三世代:ラインハルト——全てを受け取り、全てを背負う孤独な剣聖

ラインハルト・ヴァン・アストレアはリゼロ世界最強の存在です。剣聖の加護を始め、神龍ボルカニカをして「加護を持ちすぎた男」と評されるほどの力を持ちます。しかしその力の多くは「奪ってきた」ものでもあります——祖母テレシアから加護を奪い(結果として死を招き)、父ハインケルから剣聖への可能性を奪い——。

ラインハルトは父の憎悪と嫉妬の視線を受けながらも、それでも「父として」認識することを止めません。剣聖の直感で何かを察知しながら、感情としては父を見捨てることができない。この孤独な善良さが、ラインハルトというキャラクターの核心です。

三代の関係を貫く「愛が傷を作る」構造

ヴィルヘルムは妻テレシアへの愛のために息子ハインケルを放置した。ハインケルは妻ルアンナへの愛のために息子ラインハルトへの嫉妬を捨てられなかった。ラインハルトは父への愛のために、その憎悪を受け続けながら立ち続けている。

誰もが愛しているのに、誰もがその愛で互いを傷つけている——アストレア三代の物語は、長月達平が描く「愛の歪み」テーマの最も鮮烈な結晶です。Arc10はその「業」を清算する場として機能しています。

剣聖の加護を受け継げなかった者の悲哀

ハインケルを語るうえで避けて通れないのが、「剣聖の加護」という存在が彼の人生にいかなる影を落としてきたか、という問題です。

剣聖の加護の継承ルール

「剣聖の加護」はアストレア家に代々伝わる神龍ボルカニカが与えた特別な加護です。この加護を受けた者は歴代最強格の剣士として名を刻み、「剣聖」の称号を帯びます。重要なのは、この加護が血統によって自動継承されるのではないという点です。加護は「次の剣聖に相応しい」と神龍が判断した人物へ、自動で強制的に移動します。

母テレシアは12歳という若さで加護を授かった歴代屈指の剣聖でした。しかし白鯨討伐戦の最中、彼女の加護はわずか5歳のラインハルトへと転移します。この転移の直接的な引き金となったのは、パンドラがエリオール大森林で起こした事件——幼いエミリアとラインハルトが関わる出来事で、ラインハルトの剣聖の素質が爆発的に発動したことです。

加護を失った瞬間に戦闘力が急落したテレシアは、白鯨を相手に守り切れず命を落とします。この「加護転移が母の死を招いた」という因果関係が、ハインケルにとって「息子が母を殺した」という歪んだ認識の温床となりました。

「加護なき者の正しい生き方」を知らなかった男

ハインケルの本質的な悲劇は、「加護を持たなくても最強になれる」ことを証明した父ヴィルヘルムを間近で見ていながら、その道を歩めなかったことにあります。

ヴィルヘルムは加護も家柄も持たない平民でした。それでも剣鬼と呼ばれるまでに自己研鑽を積み、先代剣聖と互角に渡り合いました。「加護がなくても剣を極めることはできる」という生きた証明が父にあったにもかかわらず、ハインケルはその先へ進めませんでした。

これは才能の問題だったのか、あるいは精神的な枷の問題だったのか——おそらく両方です。「加護を持たない代わりに父のような剣才を持てばよかった」という理想と、「どちらも持てなかった」という現実の乖離が、ハインケルの人格を徐々に蝕んでいきました。

関連: ハインケル完全解説記事 / テレシアの加護と生涯

Arc9での衝撃展開——父ヴィルヘルムへの刃

Arc9「名も無き星の光」でのハインケルの行動は、リゼロ全編を通じても最も衝撃的な場面のひとつです。神龍ボルカニカとの戦闘中の父ヴィルヘルムを、背後から刺す——この一点によって、ハインケルというキャラクターの評価は大きく揺さぶられました。

Arc9でのハインケルの行動——確認された事実

Arc9では、ナツキ・リゲル(アルデバラン)が複雑な策謀を展開します。ハインケルはその動きの一環として行動し、ヴィルヘルムが神龍ボルカニカと戦闘している最中に背後から攻撃を加えました。この行動の後、ハインケルは一度その場から撤退しています。

また、Arc9ではハインケルがフェルトを人質に取るという行動も描かれています。ラインハルトをフェルトの護衛として固定させることで、息子の行動を制限しようとしたのです。フェルトは最終的にオットーの介入で無事でしたが、この一連の行動はハインケルの「追い詰められた末の選択」を如実に示しています。

なぜ父を刺すという極限の選択に至ったのか

ハインケルがこの行動に至った心理的背景は複数の層から成り立っています。

第一の層——絶望的な状況への反応。Arc8でプリシラが消えた後、ハインケルには「妻ルアンナを救うための龍の血」を入手するルートが完全に閉ざされました。残る王選候補に期待できる根拠がなく、アルから「この方法しかない」という形の提案があったとすれば、その誘惑は抗いがたいものです。

第二の層——父への複雑な感情の爆発。ヴィルヘルムはハインケルにとって、常に圧倒的な「理想の剣士」でした。加護なしで最強に至った父は、加護なしで何者にもなれなかった息子ハインケルの「鏡」として機能し続けました。その重さが、Arc9の極限状況で歪んだ形で噴出した可能性があります。

第三の層——ラインハルトへの間接的な打撃。ラインハルトにとってヴィルヘルムは師であり精神的支柱です。ヴィルヘルムを傷つけることは、剣聖への間接的な打撃にもなります。自分が絶対に勝てない息子に対して、「それでも俺にしかできないことがある」という歪んだ証明の試みという側面も否定できません。

「父を刺した男」という烙印を持ってArc10へ

Arc9でのこの行動の後、ハインケルは王都ルグニカへの帰還という形でArc10の舞台に立ちます。父に刃を向けた事実は変わりません。ヴィルヘルムがこの件をどう受け止め、いかに反応するか——それがArc10におけるアストレア家の最大の焦点のひとつです。

関連: ヴィルヘルムのArc10での役割 / 不死王の秘蹟とアストレア家

Arc10でのハインケルの主要活躍と変化

プリシラ陣営空白の中での「行動する孤狼」

Arc10開幕時、プリシラ陣営は完全に空白化しています。ハインケルはいわば「どの陣営にも属さない浮遊した騎士」として王都に存在しています。フェルトが「仕方ないから参加するような人にプリシラの椅子に座ってほしくない」と口にするシーンは、この「空席の陣営」という問題が Arc10 全体のテーマとして機能していることを示しています。

ハインケルは引退した落伍者としてではなく、あくまで「行動する意志を持った一個の騎士」として描かれています。それが正しい方向かどうかは別として、彼は動き続けます。眠り続けるルアンナを救うための手段を諦めていないからです。

聖女フィルオーレとの関係——誘拐疑惑の核心

Arc10最大のハインケル関連トピックが、聖女フィルオーレとの関わりです。44巻で登場したフィルオーレ(フィロメナ・メイファルト)は、秘蹟の力でクルシュの龍の血の呪いを浄化し、王選五人目の候補として徽章から認定を受けた存在です。

問題は、15年前の「フィルオーレ・ルグニカ誘拐事件」です。フェルトの真名(フィルオーレ・ルグニカ)が判明した直後、この誘拐に関与した人物としてハインケルの名が浮上しています。近衛騎士団副団長という立場にある者が王族の姫を誘拐する計画を知っていたとすれば、それは反逆に等しい行為です。

フェリスがクルシュ陣営を離脱するという衝撃的な展開も、間接的にハインケルへの視線を変えます。フェリスは「自分が解けなかった呪いをあっさり解いた」という敗北感から動揺していますが、この混乱の中でアストレア家の疑惑が改めて問われる局面が来ることは想像に難くありません。

ラインハルトとの対峙——積み上がった業の清算へ

Arc10で最も読者が注目するのは、ハインケルとラインハルトの父子の対峙です。Arc9でフェルトを人質に取り、祖父ヴィルヘルムを刺したという二つの事実を抱えたハインケルに対し、ラインハルトはどう向き合うのか。

ラインハルトはこれまで一貫して「父を見捨てない」姿勢を示してきました。ハインケルからの嫉妬と憎悪の視線を受けながらも、剣聖として、そして息子として、父との関係を諦めていません。Arc10でこの父子関係がどう動くかは、アストレア三代の物語の最終的な着地点を決定する重要な要素となっています。

関連: ラインハルトのArc10 / ガーフィールArc10 / ベアトリスArc10

ヴィルヘルムとの関係——刺した後の沈黙

Arc9でヴィルヘルムを刺したハインケルと、その父との関係がArc10でどう描かれるかは、物語の核心的な問いのひとつです。ヴィルヘルムはクルシュの黒斑病浄化という長年の悲願が叶った(フィルオーレの秘蹟により)Arc10において、アストレア家の長老として新たな立場に立ちます。

白鯨討伐でテレシアの仇を打ち、クルシュの回復という悲願を見届けた老剣鬼が、息子ハインケルへの傷をどう受け止めるか。ヴィルヘルムが「刺した事実」を赦すとすれば、それはアストレア三代の業を清算する大きな一歩になります。赦せないとすれば、Arc10は三代の悲劇がさらに深まる章となります。

関連: エミリアArc10 / ラムArc10

ルアンナへの執着——ハインケルの全行動原理

ハインケルという人物を理解するうえで最も重要な要素が、眠り続ける妻ルアンナへの執着です。これはハインケルの行動原理の核心であり、彼が狂気に近い選択をする際の常に「正当化の軸」となります。

ルアンナとは何者か

ルアンナ・アストレアはハインケルの妻であり、ラインハルトの母です。彼女はラインハルトが2歳の頃から原因不明の病に倒れ、以来一度も目覚めることなく眠り続けています。王都ルグニカのアストレア家邸宅に、複数の大きな錠で厳重に封じられた部屋に安置されており、ハインケルはかつてその部屋の床で眠っていたという描写もあります。

ルアンナの眠りの原因については、原作でも明確な答えは示されていません。呪いなのか、加護の副作用なのか、あるいは別の要因なのか——これはリゼロの謎のひとつであり、答えが明かされる時がくるとすれば、それはハインケルの物語の大きなクライマックスと重なるはずです。

「龍の血だけが妻を救える」という信仰

ハインケルが「龍の血」に固執する理由は、あらゆる治療法を試して全て失敗した末の「最後の希望」だからです。天才治癒術師フェリスでさえ手の施しようがなく、魔法師の診察でも原因が分からない——そうした絶望的な状況の中で、「神龍が授けた至宝なら、きっと救えるはず」という信仰に近い執着が生まれます。

しかしここに残酷な皮肉があります。Arc10でクルシュの龍の血の呪いを浄化したのは「龍の血」ではなく、聖女フィルオーレの「秘蹟」でした。つまり「龍の血でしか救えない」というハインケルの信念が、実際には別の手段によっても達成可能であることが示唆されたわけです。フィルオーレの秘蹟がルアンナの眠りにも効果を持つかどうかは不明ですが、この展開はハインケルの行動原理を根底から揺るがす可能性を孕んでいます。

妻への愛が「正しさ」を上書きしてきた半生

ハインケルの行動を追うと、一貫したパターンが見えます。「妻を救うため」という理由があれば、他のあらゆる倫理的判断が後回しになる——。プリシラ陣営への参加、Arc9でのフェルト人質、父ヴィルヘルムへの攻撃、フィルオーレ誘拐への関与疑惑——全ての行動の底には「ルアンナを目覚めさせる」という一念があります。

これは「愛が人を狂わせる」という普遍的なテーマでもあります。ヴィルヘルムがテレシアへの愛のために息子を放置したように、ハインケルはルアンナへの愛のために全てを歪めました。アストレア三代は「愛の名の下に重要なものを見失い続ける家族」として描かれているのかもしれません。

関連: プレアデス監視塔と龍の血 / ラッセルと王都の政治

プリシラ・アル・シュルトとの関係——三騎士の終焉

ハインケルが属していたプリシラ陣営の「三騎士」——アルデバラン(ナツキ・リゲル)・シュルト・ハインケル——は、Arc10開幕時点で完全に解体しています。この三者の関係を振り返ることは、ハインケルがなぜArc10で「孤立した者」として存在するかを理解するうえで重要です。

プリシラとハインケル——打算と「居場所」の関係

プリシラ・バーリエルは「太陽の加護」と陽剣ヴォラキアを持つ異色の王選候補でした。プリシラはハインケルを三騎士に加える際、「龍の血を授ける」という約束を交わします。これはハインケルにとっての「餌」でしたが、プリシラはそれをしっかり把握した上で、ハインケルという「打算で動く騎士」を意図的に駒として使いました。

しかし単純な利用関係以上のものがありました。プリシラはハインケルを「切り捨てない」主君でした。どれほど情けない姿を見せても、どれほど機能不全に陥っても、プリシラはハインケルを陣営に置き続けました。その理由は謎ですが、ハインケルにとってこの「見捨てられない」という感覚は、極めて重要な「居場所」を与えていたのです。

Arc8でプリシラが消えた後、ハインケルが感じた喪失感は「主君を失った」という以上の意味を持ちます。「自分を見捨てなかった唯一の場所」を失った喪失——それがArc9での極端な行動の遠因となっています。

アルとハインケル——知略と衝動の共謀

アルデバラン(本名:ナツキ・リゲル)は謎多き剣士として三騎士の中で最も複雑な立場にいました。プリシラとの関係は400年にわたる因縁を持ち、「後追い星」という運命的な繋がりがありました。

Arc9でハインケルが父ヴィルヘルムを刺す行動に至ったのは、アルの策略と無関係ではないとされています。アルがどのような言葉や論理でハインケルを動かしたかは詳細に語られていませんが、「妻を救える可能性がある」という方向での誘導があったと推測されます。アルはArc9で複数の勢力を巻き込む複雑な動きを展開しており、ハインケルはその「動かしやすい駒」として利用された側面があります。

Arc10開幕時点でアルは退場済み。ハインケルは「アルに動かされた」という事実の後処理も含め、自分自身の選択と向き合わなければなりません。

シュルトとハインケル——純粋な忠義と打算的な服従の対比

三騎士の三人目、シュルトは忠義心の塊です。プリシラへの献身は純粋で、何の打算もなく主君に尽くす姿は、ハインケルの「妻のため」という私利との対比として機能していました。

シュルトはハインケルの「不器用さ」を否定しませんでした。それどころか、シュルトのプリシラへの純粋な愛が、ハインケルに「こういう生き方もある」ということを無言で示し続けていたと言えます。Arc10でシュルトが表舞台から離れた後、ハインケルはこの対比を失い、よりいっそう孤立します。

関連: オットーArc10 / ペトラArc10 / ベアトリスArc10

アストレア家の業とArc10での意味

Arc10「獅子王の国」は、長年積み上げてきた物語の「業」を一つひとつ清算していく章として機能しています。その文脈において、アストレア家の業は特に重要な位置を占めています。

クルシュの呪い浄化がアストレア家に与える意味

Arc10の重大なエピソードのひとつが、聖女フィルオーレによるクルシュの龍の血の呪い浄化です。ヴィルヘルムが長年悲願としてきた「主君クルシュの回復」が実現するこの場面は、アストレア家の老将軍にとって深い意味を持ちます。

しかしこの「救済」がフィルオーレの秘蹟によってもたらされたという事実は、ハインケルに複雑な問いを突きつけます。もしフィルオーレの秘蹟がルアンナにも効くなら——その秘蹟を持つフィルオーレとハインケルの関係(誘拐疑惑)はどうなるのか。呪いを癒せる力が目の前にあるのに、その使い手との関係が疑惑に満ちているという皮肉な状況です。

「英雄になれなかった男」の物語の着地点

スバル・ナツキが「何の才能もない平民が異世界で英雄へと成長する」物語なら、ハインケルは「英雄の家系に生まれながら、英雄になれなかった男の悲劇」の物語です。リゼロという作品はこの二つの物語を同時に描くことで、「英雄性」というものの多面的な意味を問い続けています。

Arc10での着地点がどこになるかは、執筆が続くWeb版の展開を待つ必要があります。ハインケルが妻ルアンナを救えるのか、父ヴィルヘルムとの和解はあるのか、息子ラインハルトとの関係がどう変わるのか——全ての問いはArc10以降の展開の中にあります。

確かなのは、「加護なき者の生き様」というテーマがArc10においてひとつの答えに向かって動いているということです。ヴィルヘルムが「加護なしで剣を極めた」答えを示したなら、ハインケルもまた、加護なしの自分なりの答えを見出せるのかどうか——それがアストレア三代の物語の最後の問いとなるでしょう。

関連: スバルのArc10 / エミリアと王選 / ラッセルと王都情勢

まとめ:ハインケルはArc10でどこへ向かうのか

「リゼロ」Arc10「獅子王の国」におけるハインケル・ヴァン・アストレアの立場を整理します。

  • プリシラ陣営が崩壊し、どの陣営にも属せない孤立した騎士として王都にいる
  • Arc9で父ヴィルヘルムを背後から刺すという取り返しのつかない行動に出た
  • 15年前のフィルオーレ・ルグニカ誘拐への関与疑惑を抱えている
  • 眠り続ける妻ルアンナを救うという唯一の目的のために動き続けている
  • 聖女フィルオーレの秘蹟というArc10の核心事件と、疑惑を通じて複雑に絡み合っている

ハインケルは「嫌われる男」です。原作読者からの評価も、リゼロ登場人物の中で最も低いグループに入ります。しかし、彼が積み上げてきた悲劇の文脈——「剣聖になれなかった男が、眠り続ける妻を救うために全てを歪めていった人生」——を知れば知るほど、単純な「悪役」とは言い切れない複雑さが見えてきます。

Arc10はハインケルにとって、最も重いツケを払わされる章である可能性が高い。そして同時に、全てのツケを払い終えた後に初めて見える「本来のハインケル」が描かれる可能性も捨てきれません。

アストレア三代の物語の行方を見届けるために、原作小説はArc10を追い続ける価値があります。


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