『Re:ゼロから始める異世界生活』Arc4「永遠の契約」で、スバルは聖域・エキドナの茶会で大罪魔女たちと対面する。その中でもひときわ異質な存在が、百足棺(ひゃくそくかん)と呼ばれる魔獣の中に拘束された少女──暴食の魔女ダフネだ。
世界に三大魔獣(白鯨・大兎・黒蛇)を解き放った張本人でありながら、彼女自身は「貧者を救いたい」という慈愛の動機で動いていた。本記事では、Arc4茶会でのダフネとスバルの対面を軸に、百足棺の役割、左目「飢餓の魔眼」の効果、三大魔獣創造の真意、そして暴食の大罪司教ライ・ロイ・ルイ三兄妹との関係まで、原作小説の描写を踏まえて徹底解説する。
ダフネとは?暴食の魔女のプロフィール
ダフネは400年前、サテラを除く七大罪魔女の一人「暴食の魔女」として君臨していた人物だ。Arc4の茶会でスバルと対面する場面では、エキドナの精神世界に魂のみを呼び寄せられた状態で登場する。
| 名前 | ダフネ(Daphne) |
|---|---|
| 大罪 | 暴食(Gluttony) |
| 称号 | 暴食の魔女/暴食のダフネ |
| 外見 | 身長約150cm前後・肩までの灰色の髪を二つ縛り・両目を黒い目隠しで封印 |
| 状態 | 百足棺(ひゃくそくかん)と呼ばれる魔獣の棺の中に身体を拘束 |
| 左目 | 「飢餓の魔眼」──直視した者に強烈な飢餓感を植え付ける |
| 権能 | 魔獣の創造(白鯨・大兎・黒蛇など) |
| 口調 | 語尾を間延びさせる独特の話し方(「〜でぇ」「〜なんですがぁ」) |
| 性格 | 飢餓と慈愛が同居する複雑な人格/生死観が常人と大きく異なる |
| 声優 | 東山奈央 |
| 初登場 | Arc4「永遠の契約」第二回茶会(小説12巻・アニメ第2期相当) |
外見上の特徴は何といっても「百足棺」と「目隠し」の二点に集約される。これらは単なる装飾ではなく、ダフネが暴食の魔女である宿命と密接に結びついた装置だ。
常に体力を消耗しないよう棺で拘束し、他者を破滅させる左目を封じる──彼女の存在そのものが「自分の権能から世界を守る」ための徹底した自己管理の上に成立している。考察記事 ダフネ(暴食の魔女)の正体と魔獣創造の真相 では人物像全般を解説しているが、本記事ではArc4茶会での具体描写を軸に深掘りする。
百足棺の中で生きる理由──自身の飢餓を抑えるための拘束
ダフネの代名詞ともいえる「百足棺」は、彼女自身が暴食の権能で生み出した魔獣の一種だ。多数の足を持ち、巨大な棺のような姿をしており、自我や思考能力を持たない例外的な魔獣として知られる。
百足棺の唯一の機能は、ダフネを内部に固定し、彼女の指示通りに移動することだ。ダフネが体内から排出する老廃物などをエネルギー源として動くため、外部からの食料供給を必要としない自己完結型の構造になっている。
なぜダフネは自分を棺に閉じ込めるのか
理由は単純明快で、「自分で動くと余計に腹が減るから」である。暴食の魔女ダフネは、起きている間中ずっと飢餓に苛まれている。自力で歩行・運動するエネルギー消費そのものが、彼女にとっては耐えがたい飢餓の増幅装置になってしまう。
そこで彼女は、できる限り体を動かさず、可能な限り眠り続けることでエネルギー消費を最小化する戦略を取った。その手段として、自分を物理的に拘束し、移動を全て棺に任せる仕組みを編み出したのだ。
百足棺は「魔獣の中の例外」
魔獣は通常、強烈な食欲や攻撃衝動を持つ存在として描かれる。三大魔獣もその典型で、人類を脅かす要因はまさに本能的な「喰らう」衝動にある。だが百足棺はこの法則の例外で、自我も食欲もなく、ただダフネの命令に従うだけの「乗り物」として機能する。
これはダフネが意図的にそう設計したと考えるのが自然だ。常時自分の傍にいる魔獣が暴走すれば本末転倒であり、彼女は権能を「飢餓を満たすための魔獣」と「自分を保つための魔獣」に明確に使い分けていた。
左目「飢餓の魔眼」の効果と発動条件
ダフネの両目を覆う黒い目隠しは、見た目以上に重要な意味を持つ。彼女の左目は「飢餓の魔眼」と呼ばれる固有の能力を持っており、その目を直視した相手は強烈な飢餓感に襲われ、正気を失う。
Arc4茶会でスバルが指を食いちぎった衝撃シーン
Arc4第二回茶会で、エミリアはスバルに対し「ダフネと目を合わせてはいけない」と何度も警告する。だが好奇心と緊張から、スバルは一瞬だけダフネの左目をのぞき見てしまう。
その結果、スバルは無意識のうちに自分の右手の小指と薬指を歯で食いちぎり、奥歯で噛み砕いていた。本人は何が起きたのか理解できず、口の中の違和感と右手の痛みで初めて自分の異常行動に気づく。これがダフネの飢餓の魔眼の威力だ。
「飢餓を共有する」という権能の構造
飢餓の魔眼の本質は、ダフネ自身が常に味わっている耐え難い飢餓を、見た者に強制的に体験させる能力だ。彼女が常に体験している飢えは「自分を構成する肉体すら食いちぎりたいほどの欠乏感」であり、それをそのまま他者の精神に流し込む形になる。
言い換えれば、ダフネ本人は他者を傷つける意図がなくても、目隠しを外すだけで周囲が破滅する。だからこそ彼女は普段から目を封じ、必要最小限の対話ですませている。彼女の「他者への無関心さ」は、性格ではなく自衛策として身につけた処世術なのだ。
三大魔獣の創造主としてのダフネ
ダフネが世に放った魔獣のうち、特に有名で人類への脅威度が高いのが「三大魔獣」と呼ばれる白鯨・大兎・黒蛇の三体だ。これらは400年経過した物語本編の時代でも、人類社会に深刻な被害を与え続けている。
| 魔獣名 | 外見・特徴 | 能力の核 | 創造目的(諸説) |
|---|---|---|---|
| 白鯨 | 全長50m級の白い巨大鯨/空を泳ぐ | 霧の発生・本体+分体最大2体 | 大量の食料源(巨体) |
| 大兎 | 白い体毛・赤目・額に一本角の小さな兎 | 無限増殖・群体で対象を喰い尽くす | 増え続ける食料源 |
| 黒蛇 | 漆黒の長大な蛇/姿を見た者は少ない | 触れた者に百の病をもたらす/通った土地は荒廃 | 人口調整(口減らし) |
三大魔獣はいずれも「不老不死」とされる希少な魔獣であり、通常の魔獣とは一線を画す存在だ。ダフネが意図して作り上げた永続装置──それが彼女の暴食の権能の到達点だった。
白鯨・大兎・黒蛇それぞれの解説
白鯨──空を泳ぐ霧の魔獣
白鯨は全長50m前後の白い巨大な鯨で、空中を泳ぎ回る。本体1体に加え、最大2体まで分体を作り出すことができ、本体と分体は同時に存在しうる。Arc3でクルシュ陣営とロズワール陣営が連合で挑み、ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアの一撃で本体を切断・討伐された経緯は、リゼロ屈指の名場面として知られる。
白鯨の最大の特徴は霧を発生させることで、その霧に包まれた者は世界から「存在ごと忘れられる」。レム消失の遠因として誤解されがちだが、レムの記憶喪失は別件で、暴食の大罪司教ライ・バテンカイトスの権能「蝕」が原因である点は注意が必要だ。
白鯨については別記事 白鯨討伐戦の全貌と霧の能力解説 も参照されたい。
大兎──最強の繁殖力を誇る食害魔獣
大兎は元々「多兎」と呼ばれていた魔獣で、その名の通り無限に増殖することが最大の脅威だ。一見すると体長数十cm程度の小さな兎にすぎないが、群れで対象を集団で喰い尽くす習性を持ち、Arc4ではガーフィール率いる聖域防衛戦で激突した。
「一匹でも倒し損ねれば無限に分裂する」性質ゆえ、戦闘力よりも討伐難度が問題視される。実際、力関係は黒蛇>白鯨>大兎とされるが、討伐難度では大兎が最も厄介とも言われている。
黒蛇──触れる者に死をもたらす漆黒の災厄
三大魔獣の中で最も詳細が伏せられているのが黒蛇だ。触れた者に百の病をもたらす体を持ち、通り過ぎた土地は荒廃するため、目撃情報自体が極めて少ない。誰にも制御できない暴走型の魔獣で、ダフネ存命時は彼女自身が制御していたが、彼女の死後は完全に手綱が外れた状態となっている。
黒蛇の創造目的について、原作内では「人口が増えすぎないよう間引くため」という解釈が示唆される。白鯨・大兎が「食料供給」であるのに対し、黒蛇だけは「人口調整=口減らし」という、極めて冷酷な逆方向の役割を負わされた魔獣なのだ。詳細は 黒蛇の能力と被害事例の解説 を参照。
Arc4「魔女のお茶会」──ダフネとスバルの対面
Arc4でスバルが体験する「魔女のお茶会」は、エキドナの精神世界に七大罪魔女のうち6人(サテラを除く)の魂が集う特殊な空間だ。ダフネはここで第二回・第三回の二度にわたってスバルと接触する。
第二回茶会──飢餓の魔眼で指を喰らわせる
第二回茶会でスバルが目撃したダフネは、百足棺の中で半分眠り、半分起きているような奇妙な状態だった。スバルが彼女と会話を試みた瞬間、左目の目隠しがずれ、スバルは無意識に自分の指を食いちぎる事態に陥る。
この場面でエキドナは「ダフネは見た者の飢餓を最大化する子なの。気をつけて」と説明し、ダフネ自身も「ごめんなさいねぇ、わざとじゃないんですけどぉ」と語る。悪意がないことが余計に始末に負えない、という構図がダフネの異常性を端的に示している。
第三回茶会──エキドナとの契約場面に同席
第三回茶会では、エキドナが「叡智の書を共有する契約」を提案し、スバルがこれを拒否するクライマックスでダフネも同席している。この場面でダフネはセクメト(怠惰の魔女)・カーミラ(色欲の魔女)・ティフォン(傲慢の魔女)・ミネルヴァ(憤怒の魔女)と共に、エキドナの提案に「異議」を唱える側に立った。
魔女たちはエキドナの本当の思惑──「全部本当だが、思惑の全てを話していない」──をスバルに告発する形で、契約阻止に動く。ダフネはこの会議で、彼女なりの形でスバルを救う動きを見せたのだ。茶会全体の構造は Arc4「永遠の契約」完全解説 でも詳述している。
ダフネの「慈愛」──貧者を救うために魔獣を作った真意
ダフネの動機を語る上で外せないのが、彼女の魔女化の経緯だ。原作・Web版に描かれている範囲では、ダフネは元々ある領主の領地で暮らす普通の少女だった。
禁忌の儀式の生贄から魔女へ
その領主が不治の病に倒れた時、領主を救うために「禁忌の秘術」が行われ、ダフネはその実験台=生贄に選ばれてしまった。儀式は領主救命に失敗したが、副産物としてダフネに「暴食の権能」が宿り、彼女は魔女として覚醒する。
この経緯は「暴食」という大罪が、必ずしも本人の意志による堕落ではなく、外部からの暴力によって押し付けられた呪いでもありうることを示している。彼女自身が望んで魔女になったわけではない、という点はダフネの人物理解に決定的な意味を持つ。
「世界の飢えをなくしたい」という本願
覚醒後のダフネが最初に着手したのが、三大魔獣の創造だ。一見すると残虐極まりない所業だが、本人の動機は驚くほど純粋で、「世界中の貧しい人々が二度と飢えないように、無限に増える食料源を作る」という慈愛の発想だった。
白鯨は「巨大な食料」、大兎は「無限に増える食料」として設計された。彼女の発想の根本は「自分が常に味わっているこの飢餓を、誰一人として味わって欲しくない」という、貧者の救済願望なのだ。
慈愛と狂気は紙一重──暴走する善意
しかし、ダフネの想定は致命的に外れた。三大魔獣はあまりに強力すぎて人類には食用化できず、むしろ捕食する側になってしまった。さらに黒蛇に至っては「人口調整=口減らし」という、彼女自身が憎んでいたはずの「飢えの原因」をむしろ拡大する装置に成り果てた。
この「善意による意図せざる破壊」は、リゼロにおける魔女たちの共通テーマでもある。ミネルヴァ(治療の対価が天変地異)、セクメト(怠惰ゆえに世界へ無関心)、ティフォン(純粋な傲慢が罪を裁き続ける)──いずれも「個人の純粋な動機」が「世界規模の災厄」へ転化していく構図を持つ。
同じテーマで動く別の魔女たちについては、ミネルヴァ(憤怒の魔女)の正体と権能、セクメト(怠惰の魔女)の強さと権能、ティフォン(傲慢の魔女)の罪の裁定と純粋な傲慢 も合わせて読むと、Arc4茶会の構造的理解が深まる。
暴食の大罪司教ライ・ロイ・ルイとの関係
ダフネの死後、彼女が宿していた「暴食の魔女因子」は新たな宿主を求め、最終的にライ・バテンカイトス、ロイ・アルファルド、ルイ・アルネブの三兄妹に分割継承される。これが現代の暴食の大罪司教三兄妹の正体だ。
魔女因子の継承構造
魔女因子の継承は通常、一人の宿主に一つの因子が宿る形で行われるが、暴食の因子は例外的に三人で分割共有されている。ライ・ロイ・ルイの三人が「美食」「悪食」「飽食」という形で暴食の権能「蝕(しょく)」を別々の側面で発動させるのは、この分割継承構造の結果だ。詳細は ライ・バテンカイトスの権能と3人格の謎、ルイ・アルネブの正体とArc7での役割、ロイ・アルファルドのArc9決着 を参照。
三兄妹は黒蛇を制御できない
ダフネ存命時、唯一黒蛇を制御できたのは創造主であるダフネ本人だった。彼女の死後、黒蛇は完全に野放しの状態になり、現代に至るまで誰も制御できない暴走魔獣として残されている。
暴食の大罪司教ライ・ロイ・ルイ三兄妹は暴食の魔女因子の保有者ではあるが、黒蛇に対する命令権限は持たない。これは「魔女因子=権能の使用権」と「魔獣の創造主としての制御権」が別の概念であることを意味している。三兄妹はあくまで「権能の継承者」であって「ダフネの創造物の所有者」ではないという、原作の設定上の重要なポイントだ。
ダフネと暴食大罪司教の人格的対比
ダフネは「貧者を救いたい」という慈愛から魔獣を創造した。一方で暴食の大罪司教三兄妹は「相手の存在そのものを喰らう」ことを純粋に楽しむ快楽主義者として描かれる。同じ「暴食」を司る者でありながら、両者の精神性は対極にある。
魔女因子は宿主の人格をある程度上書きするが、ダフネは元々「常に飢餓に苦しむ被害者」としての側面を持っていたため、慈愛と暴食が矛盾しない形で共存できた。三兄妹は「飢餓そのものを娯楽化する」方向で因子を発展させたため、結果としてダフネの慈愛とは正反対の存在に育ってしまったとも解釈できる。
ダフネの最期──砂の海での「枯れ死」
原作で語られているダフネの死因は、「砂の海(オーグリア砂丘と推定)」で枯れ死したというものだ。常に飢餓に苦しむダフネが砂漠で水・食料を絶たれた結果、最後は乾燥死したと考察されている。
暴食の魔女が「飢えの果てに死ぬ」という最期は、皮肉と詩情に満ちている。世界中の飢えをなくしたいと願いながら、自分自身の飢えだけは決して埋まらず、最後に飢えそのものに殺された──ダフネの物語は、リゼロ屈指の悲劇的逆説として印象に残る。
「賢人候補」発言とスバルへのメッセージ
第二回茶会でダフネはスバルに対し、不思議な言葉を投げかけた。それが「賢人候補」というキーワードだ。原作読者の間で長く議論されてきたこの言葉は、スバルが将来「賢者」となる可能性を示唆していると解釈する見方が有力である。
リゼロ世界における「賢者」とは、伝説の存在「賢者シャウラ」が暮らすプレアデス監視塔と密接に結びついた概念だ。ダフネがスバルを「賢人候補」と呼んだことは、Arc4時点ですでに物語のはるか先──Arc6プレアデス監視塔編へとつながる伏線が張られていたことを意味する。詳しくは プレアデス監視塔の謎と賢者シャウラ を参照。
ダフネが400年の時を超えてスバルに何かを託そうとしていた可能性──それは魔女たちが集団でスバルに肩入れしていく茶会の構造とも符合する。エキドナの契約に魔女全員が反対した理由、ダフネがスバルに対して「悪意ない加害」を最小限に留めた理由──いずれもスバルへの期待があったからこそ、と読み解ける。
ダフネと他の魔女たちとの関係性
Arc4茶会では魔女たちの相互関係も細やかに描写されている。ダフネは他の魔女たちとどんな関係にあったのか、ここで整理しておこう。
セクメト(怠惰の魔女)との関係
ダフネとセクメトはどちらも「自分を律しない/律せない」性質の魔女として描かれる。セクメトは怠惰ゆえに行動を最小化し、ダフネは飢餓ゆえに行動を最小化する。原因は違えど結果として「動かない」ことを選んだ二人には、不思議な共通項がある。
茶会でも二人は近い距離感を持っており、エキドナの契約に対する異議も歩調を揃えていた。詳細は セクメト(怠惰の魔女)の強さと権能 を参照。
ティフォン(傲慢の魔女)との対比
傲慢の魔女ティフォンは見た目も精神年齢も幼い少女として描かれ、「自分の判断を疑わない確信そのものが傲慢」という逆説的な存在だ。ダフネが「動けない/動かない」ことで世界に害を最小化しようとしたのに対し、ティフォンは「自分の判断を絶対視して罪を裁き続ける」点で対照的な姿勢を取る。
両者は「純粋であるがゆえに罪深い」という共通点を持つ。詳細は ティフォン(傲慢の魔女)の罪の裁定 を参照。
ミネルヴァ(憤怒の魔女)との善意の連環
憤怒のミネルヴァもまた、ダフネと同じく「善意による意図せざる破壊」を体現する魔女だ。ダフネは「飢えをなくす」ためにと魔獣を作り、結果として被害を生み、ミネルヴァは「人を癒す」ためにと暴力を振るい、結果としてマナ枯渇による天変地異を生んだ。
二人は「世界を救う」動機が「世界を壊す」結果に転化する魔女のプロトタイプだ。Arc4茶会で魔女たちがエキドナに「異議」を唱えたのも、自分たちが体験した「善意の暴走」の苦い記憶が下地にあったからかもしれない。詳細は ミネルヴァ(憤怒の魔女)の正体と権能 を参照。
カーミラ(色欲の魔女)の幻惑能力との対照
色欲のカーミラは「無貌の花嫁」と呼ばれる権能を持ち、見た者を幻惑に引き込む。これはダフネの「飢餓の魔眼」と同じく「見せること」で他者を破壊する権能であり、視覚由来の認知系魔女として共通項を持つ。
カーミラは茶会でスバルにレムの幻惑を見せて精神的に揺さぶるが、結果としてはスバルがエキドナの契約を拒否する判断材料の一つとなった。ダフネとカーミラの権能はそれぞれ「飢え=欠乏」と「愛=過剰」という対称軸を持ち、人間の根源的欲求の二面性を象徴している。
三大魔獣の現代における動向と討伐情報
ダフネが400年前に解き放った三大魔獣は、現代の物語でもそれぞれ重要な役割を果たしている。Arc1〜9の進行に伴い、それぞれの魔獣がどう扱われてきたかを整理する。
白鯨はArc3で討伐済み
白鯨はArc3「Truth of Zero」のクライマックスで、クルシュ陣営とロズワール陣営、そしてリカード率いる鉄の牙の合同討伐戦により本体が撃破された。決定打を放ったのはヴィルヘルム・ヴァン・アストレア──「剣鬼」の異名を持ち、剣聖テレシアを亡き妻に持つ男だ。
白鯨討伐は単なる魔獣退治ではなく、ヴィルヘルムが妻テレシアの仇を討つ復讐譚としても描かれている。詳細は 3章テレシアの悲劇とヴィルヘルム を参照。
大兎はArc4で聖域防衛戦に登場
大兎はArc4でロズワール邸・聖域への襲撃要員として登場した。ガーフィール・ティンゼルが虎人化して立ち向かう場面はArc4のハイライトの一つで、彼の「地霊の加護」と虎獣人としての肉体能力で大兎の群れを蹴散らした。
ガーフィールについては ガーフィール(地霊の加護)のArc4活躍 も参照されたい。
黒蛇は依然として目撃情報が少ない
三大魔獣の中で、黒蛇は本編でも明確に登場した場面が少ない。触れた者を殺す性質ゆえに目撃証言自体が残らないという構造があり、間接的な被害情報のみが語られる形になっている。Arc9以降の最新展開でも明示的な遭遇シーンはなく、ダフネ亡き後の制御不能な災厄として、世界のどこかを徘徊している状態と推定される。
ダフネが象徴する「飢餓と慈愛のパラドックス」
ダフネというキャラクターを総括すると、彼女は「飢餓に苦しむ者だけが理解できる慈愛」を体現する存在だ。常に満たされない飢えを内に抱えていたからこそ、彼女は「世界中の飢えを終わらせたい」という願いを真摯に持てた。
しかし慈愛が極端な手段(魔獣創造)に転化したとき、その善意は世界を脅かす災厄に化けた。ダフネ自身に悪意がなかったことは、彼女の物語をより悲劇的にする。「悪意なき罪」「善意による破壊」──このパラドックスはリゼロ全体を貫くテーマでもあり、ペテルギウス(魔女教福音書による狂信)、ロズワール(叡智の書への盲従)など、他の登場人物たちとも共鳴している。
魔女因子と大罪司教の構造全体については リゼロの魔女因子完全解説|9種類の一覧・大罪司教との関係 も合わせて読むと、ダフネの位置づけが体系的に理解できる。
まとめ──「善意の暴走」を体現する魔女ダフネ
暴食の魔女ダフネは、リゼロの魔女陣営の中でも特に複雑な人物だ。常に飢えに苦しむ被害者でありながら、世界に三大魔獣を解き放った加害者でもあり、その動機は「世界から飢えをなくしたい」という慈愛だった。
百足棺で自分を拘束し、左目を封じ、最小限のエネルギーで生きながらえようとする姿は、自身の権能から世界を守る殉教者のようでもある。Arc4茶会で見せた、契約をめぐるエキドナへの「異議」も、ダフネなりのスバルへの優しさだった。
そして彼女の暴食の魔女因子は、ライ・ロイ・ルイの暴食三兄妹に継承され、現代の物語に直結している。黒蛇は今もどこかを徘徊し、白鯨は400年後にようやく討伐され、大兎は今なお人類への脅威であり続ける。
ダフネという一人の少女の物語は、リゼロという作品が問い続けるテーマ──「善意は救いになるのか、それとも呪いになるのか」──の最も鮮烈な事例として、ファンの記憶に残り続けるだろう。
原作小説でダフネの登場場面(Arc4茶会)を読み返したい方はこちら。
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