「Re:ゼロから始める異世界生活」の主人公・ナツキ・スバル。異世界に召喚された彼の名前「スバル(昴)」はプレアデス星団の和名であり、物語全体を貫く「星」の象徴として機能している。Arc7「神聖ヴォラキア帝国編」でスバルはプレアデス戦団の指揮官として帝都決戦を率い、やがて「流星」と評されるような英雄的な存在へと成長していく。
本記事では、スバルが「流星」と呼ばれる理由——その名前の象徴性・ヴォラキア帝国での英雄的軌跡・「後追い星」アルデバランとの対比、そしてArc9「名も無き星の光」まで続く星座的物語構造——を徹底考察する。スバルとは何者か。「流星」という言葉が彼にふさわしい理由を、星の物語として読み解いていこう。
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スバルの通り名「流星」とは——概要と象徴的な意味
「流星(りゅうせい)」とは、夜空を一瞬で横切り、煌めきを放って消えていく流れ星のことだ。輝きは短く、軌跡は鮮明で、その存在は一種の奇跡として人々の記憶に焼き付く。ナツキ・スバルというキャラクターは、まさにこの「流星」の性質を物語の中で体現していると考えられる。
スバルが「流星」と評されるようになった背景には、複数の要素が絡み合っている。第一に、彼の名前「スバル(昴)」がプレアデス星団の和名であること。第二に、Arc7「神聖ヴォラキア帝国」での英雄的な活躍——死に戻りを繰り返しながら、文字通り「流星のような」突進力で次々と困難を切り開いていったこと。第三に、ヴォラキア帝国の剣奴孤島ギヌンハイブで結成した「プレアデス戦団」という星座に因む名前の部隊を率いて帝都攻城戦を率いたこと。
流星は速い。予測できない軌道で現れ、あらゆる障害を貫く。ナツキ・スバルという存在も、常識では考えられない局面を「死に戻り」という唯一の権能を武器に突破し続ける。流星が夜空を照らすように、スバルは絶望の帝国に光を灯した——それが「流星」という言葉の象徴的な意味だ。
「スバル」という名前の意味——プレアデス星団と星の象徴性
プレアデス星団の日本語名「昴(スバル)」
ナツキ・スバルの「スバル(昴)」という名前は、おうし座にある散開星団「プレアデス星団」の日本語名に由来している。プレアデスとは、ギリシャ神話に登場する7人姉妹の女神群の名であり、「M45」という天体の通称でもある。日本では平安時代から「すばる」と呼ばれ、「多くの星が集まって一つになっている」様子を指す「統ばる(すばる)」という古語が語源とされる。
この「集まって一つになる」という意味は、スバルという人物の本質とも重なる。Arc7の帝国編でスバルは、シュドラク族の戦士、剣奴孤島の解放奴隷、アベル(ヴィンセント)率いる帝国軍、さらには九神将にまで及ぶ多様な人々をまとめあげ、帝都決戦という大舞台に臨んだ。「散らばった星々を一つにまとめる」——それがスバルというリーダーの役割だった。
プレアデス星団と「7つの大罪魔女」の対応
リゼロの世界には、傲慢・嫉妬・強欲・暴食・怠惰・色欲・憤怒という7つの大罪を冠した7人の魔女が存在する。この「7」という数字は、ギリシャ神話のプレアデス7姉妹と同じだ。プレアデス監視塔という名前の聖域もリゼロ世界に存在し、嫉妬の魔女サテラを閉じ込めるために建てられた塔として機能している。
スバルの名前「昴(プレアデス)」がこれらすべての「プレアデス的世界」の中心に置かれているのは、偶然ではないだろう。サテラとの因縁、大罪司教との戦い、プレアデス監視塔での試練——スバルは常に「プレアデス」という名前と共に、星々が交差する物語の要所に現れ続けている。
流星とプレアデス——「一つの星」と「星の群れ」
プレアデス星団は複数の星が集まった星団だ。しかし「流星(流れ星)」は単独で夜空を切り裂く。この対比もスバルというキャラクターの二面性を示している。仲間を率いる指揮官(プレアデス)としての顔と、孤独に死に戻りを繰り返し、一人で答えを探し続ける個人(流星)としての顔——その両面がスバルの本質を構成している。
「流星」と呼ばれる由来——Arc7での英雄的活躍
Arc7「狼の国」:ヴォラキア帝国への突然の転移
Arc7「神聖ヴォラキア帝国編」は、スバルがプレアデス監視塔から突然ヴォラキア帝国に転移するところから始まる。記憶を失ったレムとルイ(暴食の大罪司教ルイ・アルネブが解体された後の存在)と共に帝国の密林に投げ出されたスバルは、謎の男「アベル」(実は第77代神聖ヴォラキア帝国皇帝・ヴィンセント・ヴォラキア)と出会う。
ヴォラキア帝国という国は、「強さこそ正義」の実力主義が徹底した帝国だ。弱者は踏み越えられ、強者が支配する——そういう国に、死に戻りという秘められた権能しか持たない「普通の人間」スバルが挑んでいく。Arc7のスバルの挑戦は、まさに流星のように常識を超えた軌跡を描く。
「自称英雄ナツキ・スバル」——帝国での自己宣言
Web版リゼロ第七章30話のタイトルは「自称英雄ナツキ・スバル」という。力の正当性を武力で測る帝国において、スバルは「俺は英雄だ」と自ら名乗ることで、逆説的な存在感を示していく。普通なら笑い飛ばされる言葉を、死に戻りを繰り返して何度も実証することで、スバルはその「自称」を少しずつ現実にしていった。
これは「流星」という通り名の本質と重なる。流星は宣言して現れるのではなく、突然現れて軌跡を残し、去っていく。スバルの英雄宣言も、言葉が先行しているようで、実際には死に戻りによる夥しい試行錯誤という「軌跡」がその言葉を支えている。
ナツミ・シュバルツ——女装の旅芸人として帝国に潜入
Arc7中盤、スバルは「ナツミ・シュバルツ」という女装の旅芸人として帝国各地を旅する。楽士として歌い踊り、アベルの復位作戦を進めるために情報を集め、帝国の民衆と交流した。
「シュバルツ(Schwartz)」とはドイツ語で「黒」を意味する。スバルの黒髪・黒い瞳をそのまま名前にしたというわけだ。しかし星の観点から見ると面白い。「黒(暗闇)」の中で輝く星——それが「シュバルツ」という偽名に込められた象徴でもある。暗闇がなければ星は輝かない。流星も、暗い夜空あってこそ美しく見える。
シュドラク族との邂逅——「黒髪の旅人」をめぐる運命
Arc7でスバルはシュドラク族の戦士タリッタと出会う。シュドラク族は「星詠み(星を読む者)」の文化を持ち、「黒髪・黒い瞳の旅人を殺せ」という遺言に従って行動する者がいた。この「黒髪の旅人」がスバル(あるいはアベル)を指していたことは、物語の重要な謎となっている。
星詠みであるウビルク(Arc7に登場する魔眼属)も、スバルを「王国の星詠み」と誤認し、接触を試みた。ウビルクはスバルの死に戻りを、自分と同種の「星を読む能力」と解釈したのだ。死に戻りを繰り返すことで「未来を読む(正確には未来を選択する)」スバルと、文字通り星を読んで未来を予知するウビルク——この二人の「星読み」が交差するArc7の構造は、スバルが「星」という存在であることを強調している。
剣奴孤島ギヌンハイブと「プレアデス戦団」の結成
Arc7後半、スバルとアベル、アルら帝国の協力者たちは剣奴孤島ギヌンハイブに流れ着く。この孤島は「剣奴(剣闘士)」として生きる者たちが閉じ込められた場所であり、帝国の暗部とも言える存在だった。
スバルはここで剣奴たちの信頼を勝ち取り、アベルの帝都奪還作戦に参加させる。帝都攻城戦に向けて、スバルが率いるこの戦士集団は「プレアデス戦団」と名乗った。プレアデス——スバルの名前そのものを冠した戦団が、帝都決戦という星の夜に突撃していく。
プレアデス戦団の命名は、スバルの物語における最も象徴的な場面の一つだ。ルグニカ王国から遠く離れた帝国の地で、何の権威も持たない「自称英雄」が、星の名前を冠した部隊を率いて帝都へと突進する。その軌跡はまさに夜空を切り裂く「流星群」だった。
流星としての軌跡——Arc1からArc6でのスバルの成長
「流星」という呼称は、Arc7での活躍だけで生まれたものではない。Arc1からArc6に至る長い成長の歴史が、スバルを「流星」たらしめる土台となっている。
Arc1〜Arc2:無力な少年の最初の死
Arc1でスバルは何の力も持たない状態でルグニカ王都に召喚される。エルザ・グランヒルテという傭兵に3度命を奪われながらも、何度も立ち上がり、エミリアと接点を作り続けた。Arc2ではロズワール邸に移り、魔獣「大兎」や呪いの犯人を特定するために何度も死に戻りを繰り返す。
この時期のスバルは、流星というよりもがむしゃらに燃える線香花火のようだった。短命だが輝きがある——しかし方向が定まっていない。それがArc1〜2のスバルの状態だ。
Arc3:「自分では戦えない」という認識
Arc3の白鯨討伐・大罪司教ペテルギウス戦において、スバルは自分が「戦士」ではなく「調整役・情報戦の担い手」であることを悟る。白鯨という神獣を討つためにクルシュ・ヴィルヘルムら実力者を動かし、死に戻りで得た情報を活用する——これはスバルの「流星的突進力」とは異なる戦い方だ。Arc3のスバルはまだ、自分の軌道を見つけていない段階にある。
Arc4:聖域での「覚悟」の誕生
Arc4「聖域」はスバルの精神史において最大の転換点だ。何度もやり直しを繰り返す中で精神的に極限まで追い詰められながら、それでも「俺が動かなければ誰も救えない」という覚悟を獲得した。ベアトリスを禁書庫から連れ出す決断、エミリアを信じて前へ進む選択——Arc4のスバルで初めて、「流星」の軌道が定まった。
ベアトリスとの契約、エミリアの試練突破という二つの奇跡を生んだArc4の終幕は、スバルが「一点を目指して突進する流星」になった瞬間だとも言える。
Arc5:「英雄」としての初めての自覚
Arc5「水門都市プリステラ」では、スバルはレグルス・コルニアスという「獅子の心臓」を持つほぼ無敵の敵と対峙する。スバルが「戦士」として前に立ち、エミリアと共闘して強敵を退けたこの章は、スバルが「英雄」として市民に認識される最初の機会だった。
大罪司教との戦いで帝都プリステラを救ったスバルは、市民から「英雄」として称えられる。これは「自称英雄」が初めて「他称英雄」になった瞬間でもある。Arc5でスバルは、流星の輝きを多くの人々に見せた。
Arc6:プレアデス監視塔——「スバル」の名前の象徴が解き明かされる
Arc6「プレアデス監視塔」は、まさにスバルの名前「プレアデス(昴)」と直接結びつく章だ。魔女エキドナの創造物たちが守る塔で、スバルは26回以上の死に戻りを経験し、精霊騎士としての役割を確立し、レム・パトラッシュの回復への糸口を掴む。
プレアデス監視塔でスバルは、管理者エキドナ(偽名:ベアトリス)を再び動かし、塔の試練を突破する。「プレアデス(昴)という名の少年がプレアデス監視塔を攻略する」——この構図は、スバルが星座の名を持つ「運命の子」であることを強く示唆している。
Arc7「ヴォラキア帝国」での英雄的活躍——流星が帝国を貫く
帝国での孤立無援からのスタート
Arc7でスバルはルグニカ王国の仲間たちから完全に切り離された状態でヴォラキア帝国に放り込まれる。エミリア・オットー・ガーフィールといった信頼できる仲間なし。エミリアへの伝言を送る手段なし。そして記憶のないレムと、暴食の残滓であるルイという「おかしな二人」が傍らにいるだけだ。
これはArc1の状況に近い——完全なゼロからのスタート。しかしArc7のスバルはもはやArc1のスバルではない。「英雄」の自覚、仲間を率いるリーダーシップ、そして何より「何度死んでも諦めない」という流星の意志を持っている。
アベル(ヴィンセント)との出会いと共闘
Arc7のスバルの最大の出会いは、踊り子に扮した謎の男「アベル」——正体は第77代神聖ヴォラキア帝国皇帝ヴィンセント・ヴォラキアだ。偽皇帝チシャ・ゴールドに玉座を奪われ、反乱軍として戦うヴィンセントは、スバルに「俺に協力しろ」と告げる。
スバルとヴィンセントの共闘は、対称的な二人の組み合わせだ。ヴィンセントは「茨の王」という権能で星の進路を読む皇帝。スバルは「死に戻り」で過去に戻る少年。一人は未来を見通し、一人は過去を書き換える——二つの異なる「時の力」を持つ者が手を結んだ。
九神将との戦い・帝都への進軍
Arc7では九神将(帝国最強の9人の戦士)との数々の激突が描かれる。剣奴孤島ギヌンハイブでの戦い、魔都カオスフレームでの攻防、帝都ルプガナへの進軍——スバルはその全てに関わりながら、死に戻りを繰り返して最善の選択を探し続けた。
特筆すべきは、スバルが単に「戦略を立てるだけ」ではなくなったことだ。Arc7のスバルは自ら体を張り、時には剣奴として戦いの中に飛び込む。「自称英雄」という言葉が、帝国の戦場で実質を帯びていく過程こそがArc7の核心だ。
「プレアデス戦団」を率いた帝都決戦
Arc7クライマックス、スバルは剣奴孤島ギヌンハイブで解放した剣奴たちを率いて「プレアデス戦団」を結成する。リゼロ公式でもArc8の紹介ペーパーにて、スバルの所属として「プレアデス戦団」と明記されていることが確認されている。
プレアデス戦団が帝都攻城戦に突入する場面は、Arc7の最大のカタルシスだ。「スバル(プレアデス)」という名前を冠した戦団が、星の軌跡のように帝都の夜空を突き進む——この構図は、スバルが「流星」と評されるにふさわしい存在になったことを示している。
偽皇帝チシャ討伐と帝国復位の完成
Arc7の結末として、スバルたちは帝都に侵入した偽皇帝チシャ・ゴールドを討ち、ヴィンセントが皇帝として復位する。しかし直後に「大災(だいさい)」という未曾有の災害が帝国を襲い、Arc8「大災編」へと突入する。
Arc7でスバルは「帝国の内乱を終わらせた異国の英雄」という立場を得た。ルグニカ王国の難民だった少年が、ヴォラキア帝国という外国の歴史を変えた——その軌跡はまさに「流星」の煌めきだ。一瞬に見えるが、実際には何十回もの死に戻りという夥しい試行錯誤に裏打ちされた奇跡だった。
Arc8「大災編」での「流星」としての存在感
大災という絶望的な状況
Arc8「ヴィンセント・ヴォラキア」は、帝都にスピンクス(知の魔女の蘇り)が大量の「屍人(しびと)」を解き放ったことで始まる。復位したばかりのヴォラキア帝国が、今度はアンデッドの群れに飲み込まれるという絶望的な展開だ。
しかしスバルはここでも諦めない。Arc8では、スバルは「プレアデス戦団」を率いながら、ルイ(スピカ)が持つ「星食(せいしょく)」の能力——スピンクスが屍人に貼り付けた「偽りの名」を剥がして魂を還す力——を戦略に組み込んでいく。
スピカの覚醒とスバルの指揮
Arc8でルイはスピカとして覚醒し、スバルたちの重要な戦力になる。おとめ座α星「スピカ」と命名された彼女は、スバル(プレアデス)が率いる「プレアデス戦団」の一員として帝都決戦を戦う。
スバル(プレアデス)とスピカ(おとめ座α星)——春の夜空を代表する二つの星が、帝国の戦場で共に輝く。この「星の対比」はArc8の最も美しい構図の一つだ。
スピンクス討伐と帝国の救済
Arc8終幕では、スバルを含む帝国の英雄たちの戦いの末にスピンクスが討伐される。大罪司教プリシラの犠牲(Arc8終幕「プリシラ・バーリエル」)を含む多大な代償を払いながら、帝国は大災を乗り越えた。
スバルにとってArc8は「Arc7で作り上げた仲間たちの絆が試される章」だ。プレアデス戦団というチームとして、流星の軌跡は複数の星に分かれながらも同じ空を走り続ける——そのような構図がArc8全体に流れている。
Arc9「名も無き星の光」——「後追い星」との対峙
Arc9のタイトルが示すもの
Arc9のタイトルは「名も無き星の光(なもなきほしのひかり)」という。「名も無き星」とは、誰にも知られない星——しかしその光は確かに存在している、という意味だ。スバルというキャラクターは、ルグニカ王国という小さな国から来た「名も無き少年」として異世界に降り立った。その少年が「流星」として輝き、やがて「名も無き星の光」として全ての星を照らす存在になっていく——Arc9のタイトルはその物語の帰着点を示している。
アルデバランという「後追い星」
Arc9ではアルデバラン(アル)が重要な役割を果たす。アルの権能「領域(オル・シャマク)」がスバルとベアトリスをプレアデス監視塔に封印するという衝撃の展開が描かれる。
アルデバランという名前は、天文学的に「プレアデス星団(スバル)の後を追う星」という意味を持つ。おうし座の一等星であるアルデバランは、夜空でプレアデス星団の後ろを追うように輝いている——だからこそ「後追い星」と呼ばれる。
リゼロにおけるアルとスバルの関係は、まさにこの天文学的関係を投影している。「アルはかつてスバルとして生きた存在」という考察は読者の間で広く共有されており、「後追い星が流星を追いかける」という物語構造が成立している可能性がある。
「後追い星」と「流星」の対比
流星は一瞬で夜空を横切り、消える。後追い星は、その消えた軌跡を追いかけ続ける。もしアルがかつてスバルであった存在だとするなら、アルはスバルという「流星」が残した軌跡を、別の軌道から追いかけていることになる。
Arc9でアルがスバルを封印したのも、「後追い星として流星を止める」行為と解釈できる。しかし結局、スバルはその封印を乗り越え、前へ進む。流星は止まらない——それがスバルという存在の本質だ。
「ナツキ・リゲル」という伏線
Arc9にはスバルの息子と思しき「ナツキ・リゲル」という名前が伏線として登場する(IFルート「ナツキ・レム」から)。リゲルはオリオン座の一等星であり、プレアデス星団(スバル)の近くに輝く星の一つだ。
スバル(プレアデス)とリゲル(オリオン座β星)——親子でも星の名前が繋がっている。この伏線が意味することは、スバルという「流星」が単なる一過性の輝きではなく、次の世代へと続く「星の系譜」を持つ存在であることを示唆しているのかもしれない。
スバルを象徴する星々——プレアデス・スピカ・アルデバランの三角形
「春の大三角形」に投影されるリゼロの世界
天文学の世界には「春の大三角形」と呼ばれる星座がある。うしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラを結んだ三角形だ。これとは別に、プレアデス星団(おうし座)・スピカ(おとめ座)・アルデバラン(おうし座)の三つはいずれも春の夜空を代表する明るい星として知られている。
リゼロにおいても、この三つの星が重要な人物・場所に対応している:
| 星の名前 | リゼロでの対応 | 位置づけ |
|---|---|---|
| プレアデス(昴) | ナツキ・スバル | 主人公・流星の体現者 |
| スピカ(おとめ座α星) | スピカ(ルイの再誕) | Arc8の救済者・スバルの仲間 |
| アルデバラン | アル(後追い星) | スバルを追う謎の剣士・Arc9の鍵 |
この三者の関係は、リゼロという物語が単なる異世界ファンタジーではなく、星座の運行を物語構造に重ね合わせた「星の叙事詩」として設計されていることを示している。
スバルの名前が持つ「統べる」という意味
「すばる(統ばる)」という古語には「統率する・まとめあげる」という意味がある。プレアデス星団が複数の星を一つの星団にまとめているように、スバルというキャラクターは物語を通じて様々な人々をまとめあげてきた。
- Arc3:クルシュ・ヴィルヘルムら実力者を動かして白鯨討伐を達成
- Arc4:エミリア・ベアトリス・ガーフィール・オットーを聖域解放に導く
- Arc5:プリステラ市民を守るためにエミリアと共に英雄として戦う
- Arc7:シュドラク族・剣奴・帝国軍・九神将をまとめてプレアデス戦団を結成
- Arc8:プレアデス戦団を率いて帝国の大災に立ち向かう
「統ばる(スバル)」——まとめあげる者——という名前は、スバルの役割を正確に表している。個々の星が集まってプレアデスを形成するように、スバルは個々の仲間・敵・帝国人を集めてプレアデス戦団という「星団」を形成した。
「流星」が意味するもの——速さ・煌めき・消えゆく命
流星の3つの属性
流星には3つの本質的な属性がある。速さ、煌めき、そして短命性だ。
速さについて言えば、スバルの死に戻りは時間軸の高速ループだ。他の誰にも見えない試行錯誤を繰り返すことで、スバルは「誰よりも速く答えに辿り着く」存在になっている。帝国の絶望的な状況の中で、スバルだけが「前の周回」の情報を持って次の選択を最適化できる——この「時間的な速さ」が流星の属性と重なる。
煌めきについて言えば、スバルの影響力は接触した全ての人に痕跡を残す。タリッタ、フロップ、ミディアム、ジャマル、グアルフレという帝国の人々が、スバルとの出会いを通じて変化していった。流星が夜空に軌跡を残すように、スバルは出会った者の心に変化の痕跡を残す。
短命性については——スバルの死に戻りの本質とも絡む——一つの周回における命は儚い。何度も死にながら、スバルは「消えていく命」と向き合い続けている。しかし流星は短命であっても、その輝きは永続する記憶として残る。スバルが死に戻りで消えていく無数の「命」も、最終的な奇跡への伏線として積み重なっている。
「星」は死んでも光り続ける
天文学の事実として、私たちが夜空に見る星の光の多くは、その星が何百年・何千年も前に放った光だ。星自体はもうなくても、光は届き続ける。スバルの死に戻りも同じ構造を持っている——ある周回で「死んだ」スバルの選択と努力は、次の周回に引き継がれ、最終的な奇跡を生む。
「流星」という言葉が最もふさわしいのは、このような「消えてもなお輝き続ける光」の側面においてだ。スバルは何度死んでも「前の周回の自分」が積み上げた努力の上に立っている。流星は消えても夜空を明るくする——その瞬間の光が、見上げる者の心に奇跡を刻む。
「流星」の宿命——燃え尽きながらも前へ進む
流星は大気圏に突入する際、摩擦で燃え尽きながら輝く。その燃焼の苦しみが光を生む。スバルの死も同様だ。死に戻りのたびに積み重なる精神的・肉体的な疲弊は、スバルを「燃え尽きながら輝く流星」に近づける。
Arc9のタイトル「名も無き星の光」に込められた最終的なメッセージはここにある。スバルというキャラクターは、流星として燃え尽きながら夜空を照らし、やがて「名も無き星の光」として多くの命を照らす存在へと成長していく——それがリゼロという物語の帰着点だ。
まとめ——「流星」ナツキ・スバルが体現するもの
ナツキ・スバルが「流星」と称されるにふさわしい理由を、本記事では複数の角度から考察した。
まず、「スバル(昴)」という名前そのものがプレアデス星団の和名であり、リゼロ世界の「星」の象徴的存在として機能している。7つの大罪魔女・プレアデス監視塔・プレアデス戦団——これらすべてに「プレアデス=スバル」の名前が絡んでいる。
Arc7「神聖ヴォラキア帝国編」では、スバルは「自称英雄」から「プレアデス戦団指揮官」へと変貌し、帝都決戦という夜空を「流星のように」突進した。名もなき剣奴・シュドラク族の戦士・帝国の将軍——多様な人々をプレアデスという星団のようにまとめあげ、一つの奇跡を成し遂げた。
アルデバラン(後追い星)との対比、スピカ(おとめ座α星)との共闘、Arc9「名も無き星の光」への帰着——リゼロという物語は、星々の運行と人物の関係を重ね合わせた「星の叙事詩」として読むことができる。
流星は短く輝いて消える。しかしその光は記憶に永続する。ナツキ・スバルという存在も、無数の死と再生を繰り返しながら、接触したすべての命に「奇跡の軌跡」を刻んでいく。Arc10「獅子王の国」以降のスバルが、どのような「流星」として夜空を切り裂いていくのか——その物語は、今もなお続いている。
スバルの権能「死に戻り」については死に戻り完全解説を、スバルの成長史についてはスバルの成長史を、後追い星アルとの関係はArc9まとめを参照してほしい。
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