『Re:ゼロから始める異世界生活』第九章「名も無き星の光」は、ナツキ・スバルにとってもエミリア陣営にとっても、これまでのすべての戦いが収束していく最終章だ。皇帝アベルとの帝国動乱、暴食大罪司教との確執、星食を経たスピカとの別れ──その全部を抱えてルグニカへ帰還した一行を、新たな「最大の敵」アルデバラン(ナツキ・リゲル)が待ち受ける。
この章でひときわ静かに、しかし最も鋭く動くのがオットー・スーウェンだ。アルがスバルとベアトリスを奪い去った瞬間、誰よりも先に「世界全体を敵に回した」と宣言したのは、戦闘力ゼロの商会長だった。本記事では、Arc9時点のオットーのプロフィールを整理しつつ、「言霊の加護」がArc9でどう極限まで研ぎ澄まされたかを、商会長の知恵と兵站という視点から徹底解説する。
オットー・スーウェンのプロフィール(Arc9時点)
まずはArc9に踏み込む直前のオットーの基本情報を整理する。Arc4で「友人」を宣言してエミリア陣営に正式合流し、Arc7・Arc8の帝国動乱を内政・兵站の両面で支え抜いた彼は、Arc9でついにスーウェン商会の名を堂々と背負って戦う立場へと変わっていく。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | オットー・スーウェン(Otto Suwen) |
| 声優(アニメ) | 天﨑滉平 |
| 所属 | エミリア陣営・筆頭内政官/スーウェン商会の商会長格 |
| 加護 | 言霊の加護(動物・虫・地竜などの生物と意思疎通できる) |
| 出身 | ルグニカ王国・商業都市ピコタッテ/スーウェン商会の家系 |
| 性格 | 苦労人気質・口達者・実利主義・友人想い |
| Arc9時点の年齢 | 20代前半(スバルと同世代) |
| 戦闘スタイル | 言霊の加護+商人ネットワーク+情報戦 |
オットーの基本像は「リゼロ」オットー・スーウェン完全解説で詳しく扱っているので、基礎情報を押さえたい方はあわせて読むとArc9の動きが何倍も読みやすくなる。Arc7時点の動向は「リゼロ」オットー Arc7解説を参照されたい。
「言霊の加護」の詳細:Arc9で武器になる仕組み
オットー最大の特徴は、戦闘力ではなく加護だ。「言霊の加護」とは何か、Arc9でどう武器化されているのかを、改めて分解する。
動物・虫・地竜との意思疎通能力
言霊の加護は、人間以外の生物──犬・鳥・虫・地竜・モグラ族など──と「言葉のレイヤー」で対話できる能力だ。意思疎通の方向は双方向で、オットーは相手の発する音・鳴き声・微振動を「意味」として認識し、自分も同じ音域で返事をする。傍から見ると地竜にうなり声で話しかける奇妙な人に見えるが、内部では明確な会話が成立している。
この加護は、リゼロ世界で成体として使いこなせた人物が歴史上わずかしか確認されていないほど希少。幼少期のオットーは、世界中のあらゆる虫・鳥・小動物の声が常時雑音として流れ込んできて、家族の声すら聞き取れない苦痛に苛まれた。スーウェン商会の次男として育ちながら、加護の制御に長い時間を費やしたという背景がある。
情報収集・戦術活用への応用
Arc4以降、オットーは加護を「戦闘以外のあらゆる用途」に転用するようになる。Arc9ではこの方向性が極限まで研ぎ澄まされた。具体的には次のような応用が描かれる。
- 広域情報収集:王都ルグニカおよびその周辺の動物・虫を介して、半ば諜報機関のようなネットワークを運用
- 敵動向の追跡:アルデバラン一行が王都内のどこに潜伏しても、街角の鳥・路地裏の鼠・酒場の蝿が居場所を伝える
- 長距離通信:王国〜旧帝国領を行き来する地竜・渡り鳥を介して、エミリア陣営本隊と離れた地点の同志に情報をリレー
- 陽動・撹乱:必要な瞬間に動物の群れを一斉に動かして、敵の進路や視界を制限
- 物理攻撃:大量のゾッダ虫を集めて岩石を運ばせ、上空から落下させるという広域爆撃に応用
「動物と話せる」というだけの加護が、これだけの戦術的価値を持つことに気づいて活用しきっているのは、リゼロ世界ではおそらくオットーひとりだ。
加護の弱点と克服
言霊の加護にも明確な弱点がある。Arc9でも次の制約が描写される。
- 相手が理解できる「言語」でしか会話できない:虫と話すには虫の発する音を真似る必要があり、人前で使うと奇妙に見える
- 同時通信の負荷:複数種・大量の生物と同時に意思疎通すると、激しい頭痛・鼻血など身体的代償が出る
- 感情の逆流:動物の本能的恐怖や空腹・興奮といった生の感情が、そのままオットー自身に流入する
- 長期酷使の消耗:継戦するほど精神疲労が蓄積し、判断力が削られていく
Arc9で10万匹規模のゾッダ虫を運用する場面では、これらの代償がほぼ全部発動している。それでもオットーはやめない。仲間を奪った相手に対しては、自分の身を削る覚悟で加護を全開する人物なのだ。
Arc8から Arc9へ:オットーの引き継ぎ
Arc9のオットーを語るには、Arc8で何を経験したかを抑えておく必要がある。Arc8「情愛の帝都ルプガナ決戦編」は、彼が「内政官」から「商会の長」へ脱皮するきっかけになった章だ。
Arc8帝都決戦でのオットーの役割
Arc8でオットーは、ヴォラキア帝国の帝都ルプガナ奪還戦に「兵站・情報・外交」の三役で関わった。具体的にはモグラ族(永遠の暗闘)との交渉、シュドラクの民への補給ルート確保、ヴィンセント・ヴォラキア皇帝陣営との情報共有など、戦闘以外のほぼ全てを担当している。
このArc8で特筆すべきは、オットーが「胃が痛い」「死にそう」とぼやきながら、アベル(ヴィンセント)・ロズワール・ユリウスといった一筋縄でいかない人物たちを束ねきった点だ。ペトラ・レーテに精神的に支えられながら、彼は確実に「組織を動かす立場」へと変わっていく。詳細はロズワールArc7解説などとあわせて読むとオットーの立ち位置がより鮮明になる。
Arc9開幕時のオットーの立場
Arc9はArc8の大災(ヴォラキア帝国壊滅級の異変)終息後、ルグニカ人たちの王国帰還で始まる。プリシラ・バーリエルが陽剣ごと焼失した穴は大きく、王国〜帝国の力関係は再編成の必要に迫られている。
その帰還パーティの中で、オットーは「実家スーウェン商会の正統な後継者格」として再起動する。Arc7・Arc8でひたすら裏方を続けていた彼が、Arc9ではスーウェン商会のリソースを自分の采配で堂々と動かせる立場に変わるのだ。「内政官」というロズワール家臣ベースのラベルから、「商会の長」という独立性の高い肩書きへとシフトする──これがArc9のオットーを読み解く最大のキーになる。
Arc9でのオットーの活躍
「名も無き星の光」でのオットーの具体的行動
Arc9序盤、エミリア陣営はルグニカ王都に戻り、王選評議会の続行を視野に入れて動き出す。だがそこで起きた決定的事件が、アルデバラン(ナツキ・リゲル)によるスバル・ベアトリス拉致だ。アルは陣営全員を一手で欺き、スバルとベアトリスを連れ去ってしまう。
この事件の直後にオットーが取った行動は、Arc9を象徴するシーンとして読者の間で語り草になっている。彼は王都に張りめぐらせた「言霊の加護」ネットワークを一気にフル稼働させた。鳩・鴉・鼠・街路樹に住む虫──全部の生物の目と耳を借り、アル一行の動線を割り出していく。商会長としては「全ての顧客回廊を凍結して、自分の人脈を一人の追跡のために最適化する」という、本来あり得ない判断だ。
商会の存在意義を一時停止してでも、奪われた友人を取り戻す。これがArc9のオットーの行動原理であり、「Arc8までは胃痛・Arc9から激情」と評される転換点でもある。
言霊の加護を活かした情報網
Arc9でオットーが見せた情報網は、これまでの章のどれより緻密だ。具体的に描かれる活用例を挙げると次のようになる。
- バーリエル領邸への偵察:プリシラ陣営の本拠地に「ゾッダ虫」を潜入させ、暴食大罪司教(ロイ・アルファルド)が解放される瞬間の情報をキャッチ
- 王都格子状監視:王都の街区・路地ごとに動物の「見張り役」を配置し、アル一行の移動を逐次補足
- 帝国側との通信:旧ヴォラキア帝国領に残ったヴィンセント皇帝陣営・シュドラクの民との連絡を、地竜・渡り鳥で維持
- 地下と空の二重監視:モグラ族(永遠の暗闘)との関係を維持しつつ、空からの監視には鳩・鴉を使う「立体諜報網」
- 情報の二重化:人間ベースの諜報網と動物ベースの諜報網を並走させ、片方が遮断されても他方が機能する設計
これらは王選の他陣営や帝国軍も持ち得ない、オットー固有のインテリジェンスだ。リゼロ世界で「対オットー」を専門にしたカウンターインテリジェンスは存在しないため、彼の情報網に対する有効な対抗手段はほぼない。これがArc9で「商会長オットー」を最強の脇役に押し上げる理由でもある。
エミリア陣営の兵站・外交担当として
Arc9のオットーは、情報網と並行して兵站・外交も継続的に動かしている。具体的には次のような領域だ。
- 食料・医薬品の確保:王国帰還組(旧ルグニカ難民含む)への安定供給ライン構築
- 武器・装備の調達:戦闘可能なメンバー(ガーフィール・フレデリカら)が常時最善の装備で動けるよう、商会経由で調達
- 他陣営との外交:プリシラ陣営崩壊後の王選継続条件、アナスタシア陣営との情報交換、フェルト陣営の合流調整
- 王都民の生活基盤:王選候補が表に立つ間、裏で生活物資の供給と物価統制を主導
「奪われたスバルを取り戻す追撃戦」と「王国を回す日常運営」を同時にこなしている時点で、Arc9のオットーは事実上の宰相格と言っていい。これがArc9で彼が「商会長」と呼ばれるに値する所以だ。
スバルとオットーの友情(Arc9視点)
Arc9のオットーを動かす最大の動機は、戦略でも報酬でもなく「友情」だ。スバルとオットーの関係は、Arc4で「友人」宣言が交わされて以降、リゼロ屈指の男同士の信頼関係として描かれ続けてきた。
「命を売る商人」という自己規定
オットーは商人として生きてきた人物だが、Arc4以降のスバルとの関係を経て、自分を「命を売る商人」と位置づけるようになる。命を売るとは、商品の代わりに自分の生命と時間を顧客(=スバルとエミリア陣営)に賭けるということだ。商人としての職業倫理から見るとあり得ない判断だが、オットーは「友人のためなら商売人としての常識を捨てる」という選択をArc9でも一貫している。
この姿勢は、Arc9アルデバランによる拉致が起きたとき、最も鋭く表に出た。商売の損得勘定では絶対に動かさない大型のリソース(スーウェン商会の物流網・人脈・情報ルート)を、彼は一切の躊躇なくスバル救出のために動員する。商人の論理で動かないことが、商人としてのオットーを最も商人らしく見せている──というのが、Arc9のオットーの逆説的な魅力だ。
Arc9でのスバルへの叱咤
Arc9にはスバルがメンタル的に追い詰められる場面が複数ある。そのたびにオットーは、Arc4の延長線上で「商人モード」の容赦ない叱咤を入れる。具体的には次のようなトーンだ。
- 「あなたが折れたら、ここにいる全員が困るんですよ」
- 「友人を取り戻す気がないなら、私が代わりに動きます」
- 「死に戻りがあろうがなかろうが、現在のあなたが諦めれば終わりです」
これらは原作Web版・書籍版の場面を踏まえた要約で、「優しさの逆説」としてオットーの真骨頂を表す。スバルが死に戻りの記憶で潰れかけているとき、その記憶を知らない側のオットーが「目の前のあなたに賭けている」と言い切る構図は、Arc9のスバルにとって最も効く励ましでもある。
ロズワールとオットーの関係(Arc9)
オットーの上司格にあたるのが、エミリア陣営の名目上の後見人・ロズワール・L・メイザースだ。Arc4で「叡智の書」絡みでの全面対立を経たあと、二人は微妙な距離感を保ちながら協力してきた。Arc9での関係は次のように描かれる。
- 役割分担:ロズワールが「魔法・四属性・古い知識・対サテラ戦略」、オットーが「兵站・情報・外交・人間関係」
- 権限分担:王選の名目上の代表はエミリア、政治的言動はロズワール、現場運営はオットー
- 監視と牽制:オットーはロズワールが叡智の書のないArc9以降も「過去の知識」だけで暴走しないか継続的に監視
- 緊急時の信頼:Arc9のような最終局面ではロズワールも素直にオットーの判断に従う場面が増える
Arc4で「人質と取引する内政官」だったオットーが、Arc9では「ロズワールに従わせる側」に回っているのが象徴的だ。Arc8で帝国動乱を共に乗り越えた経験が、両者の力関係を実質的に逆転させたと読み解くこともできる。
エミリア陣営における「頭脳」の役割
Arc9のエミリア陣営は、戦闘要員・精霊術士・治癒術士など多彩なメンバーで構成されているが、「頭脳」という役割を担えるのはオットーだけだ。同じ位置に座れる人物が他にいない──これがArc9で彼が引っ張りだこになる構造的理由でもある。
他の頭脳キャラ(アナスタシア等)との対比
リゼロ世界で「頭脳系」と呼べるキャラクターを並べると、オットーの特異性が見えてくる。
| キャラクター | 得意分野 | 武器 | 陣営内立場 |
|---|---|---|---|
| オットー・スーウェン | 兵站・情報・商人ネットワーク | 言霊の加護・商会 | エミリア陣営の頭脳・実務責任者 |
| アナスタシア・ホーシン | 商人外交・経済戦略 | カララギ流商人術・襟ドナ | アナスタシア陣営の長 |
| ロズワール・L・メイザース | 魔法・古代知識 | 六属性魔法・初代ロズワールの記憶 | 陣営の名目上の後見人 |
| ベルステツ・フォンダルフォン | 政治・帝国宰相術 | 政治力・人事掌握 | 旧ヴォラキア帝国宰相 |
| チシャ・ゴールド(故) | 軍略・暗号 | 白皇の術・参謀術 | ヴォラキア皇帝の影武者 |
並べてみると、「商人」「商会」「動物との交信」を組み合わせて陣営の頭脳になっているのはオットーだけだ。アナスタシアは経済戦略に強いがエミリア陣営の人間ではなく、ロズワールは古代知識が強みで現場運営は不向き。Arc9という最終局面で、「現場で動ける頭脳」が確保できているエミリア陣営は、リゼロ世界の中でも極めて稀な強さを持つ集団になっている。
オットーの名場面・名言(Arc8〜Arc9)
Arc7・Arc8・Arc9を通じて、オットーの「真価」を象徴するシーンが複数描かれている。ここではArc9に直結する場面をピックアップする。
シーン1:「世界全体を敵に回す」宣言
アルがスバルとベアトリスを連れ去った直後、オットーは仲間を集めて「自分は今日、世界全体を敵に回した」と宣言した(Arc9該当エピソードの要約)。商人としてあらゆる中立性・取引・人脈を全部投げ捨ててでも、奪われた友人を取り戻すという宣言だ。動物・虫・地竜などすべての生物を仲間として動員する「言霊の加護」の使い手だからこそ、この台詞には文字通りの重みがある。
シーン2:失敗ループでの涙
Arc9にはスバルの死に戻りが絡む複数の時間軸が並走する場面がある。失敗した時間軸の中で、オットーが「自分の判断が足りなかった」と涙を流す描写が出てくる。Arc4で「友人」を宣言したときも、Arc7で胃を痛めていたときも、彼は他人のために泣いたことが少ない人物だった。Arc9で涙を流すこと自体が、彼の感情の限界が陣営の運命と完全に重なっていることを示している。
シーン3:エミリアによる励まし
そのオットーを立て直すのがエミリアだ。「あなたが諦めたら、誰が次の手を考えるの」「私はオットーが必要なの」──Arc9のエミリアは、王選候補としても銀髪のハーフエルフとしてもなく、「仲間としてオットーに賭ける」立場で言葉をかける。エミリアとオットーの関係が「主従」ではなく「対等な戦友」に深化したことが、Arc9で改めて確認できる場面でもある。
シーン4:ゾッダ虫10万の解き放ち
Arc9終盤、オットーは王都内に潜伏するアル一行を追い詰めるため、ゾッダ虫を10万匹以上同時に動員する。情報収集・誘導・物理攻撃(岩石落下)まで複合的に行われ、アル側に「逃げ場のない一夜」を強いる。一部の論考では「Arc9オットーは商人ではなく王都の生物全部を従える領主のような存在」とまで評される。「言霊の加護」が極限まで研ぎ澄まされた、リゼロ全章を通じての見せ場のひとつだ。
原作小説で読むオットーArc9
Arc9は2026年5月時点でMF文庫J書籍化が進行中の最新章。書籍は34巻以降に対応し、Web版は「小説家になろう」で先行公開されている。オットーの「世界全体を敵に回す」シーンや「ゾッダ虫10万匹」のシーンは、ぜひ原作テキストで体感してほしい。彼の独白文の語尾・一人称・呼吸感は、要約ではなく地の文で読まないと伝わらない密度を持っている。
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アニメ版とオットー(DMM TVで視聴)
Arc9はまだアニメ化されていないが、オットーが本格的に登場するのはアニメ第2期(Arc4「聖域編」)以降。アニメ版での天﨑滉平の演技は、原作の「胃痛」「苦労人」「ここぞの覚悟」を見事に立体化している。Arc9のオットーがどんな声で「世界全体を敵に回した」と宣言するのか想像する楽しみのためにも、まずはアニメ版でオットーの基本声質を押さえておくのがおすすめだ。
補論:オットー・スーウェンというキャラクターを最終章まで観察する楽しみ
Arc1のスバルとの邂逅から数えると、オットー・スーウェンは決して登場が早いキャラクターではない。彼が初登場する白鯨戦は、リゼロ全体の中でも比較的後半の出来事だ。それでも彼の存在感が章を追うごとに強くなっていくのは、「戦闘力を持たない者の戦い方」がリゼロという作品の核に直結しているからだ。
「戦えない者」の最終形態として
リゼロには戦闘力で物語を動かすキャラクターが多い。剣聖ラインハルト、九神将セシルス、神龍ボルカニカ、大罪司教たち、王選候補の精霊術士──そのほぼ全員が、自分の身体や魔法で世界を変える力を持つ。一方でスバルは「死に戻り以外は一般人」、オットーは「動物と話せるだけ」という、極めて非戦闘的なキャラクターだ。
この二人がArc4からずっとペアで動いてきたのは偶然ではない。リゼロは「圧倒的強者の物語」ではなく「戦えない者がそれでも世界に立ち向かう物語」という側面を持っており、オットーはその思想の最終形態として位置付けられている。Arc9で彼が見せる「商会長としての覚悟」は、剣でも魔法でもなく「言葉とネットワーク」だけで戦う者の到達点だ。
商人としての矜持
オットーがスーウェン商会の次男として生まれ、加護のせいで幼少期に苦しみ、それでも商人として独立して旅を続けた経歴は、Arc9のすべての行動の前提だ。商人にとって最も大切なのは信用と人脈であり、最も避けるべきは「敵を増やす行為」だ。なのにオットーはArc9で「世界全体を敵に回す」と自分から宣言する。これは商人としてはあり得ない決断であり、同時に「商人としての矜持を超えるもの」を彼が手に入れていることの証明でもある。
友人のためなら商売を捨てる──この一見矛盾した行動原理が、商人としてのオットーを商人として最も完成させているという逆説が、Arc9の彼の最大の魅力だ。
Arc10以降に残された伏線
Arc9はリゼロ最終章とされているが、原作者・長月達平氏は外伝・短編・別作品を通じて世界観を拡張し続けている。オットーに関しても、以下のような未消化の要素が残されている。
- スーウェン商会の正規後継者としての将来像(ピコタッテへの帰郷/家業との和解)
- 言霊の加護の二代目使い手の可能性(オットーの子孫・弟子)
- ペトラ・レーテとの最終的な関係(婚姻・パートナーシップ)
- ロズワール邸の運営権の正式継承(ロズワールからメイザース領を譲り受ける可能性)
- カララギ・グステコ・ヴォラキアとの貿易ネットワーク再構築
Arc9の戦いに勝利した後、オットーが「平和な時代の商会長」としてどう生きていくのか──戦いがあった時代より、戦いが終わった後のオットーの方が長い人生かもしれない。Arc10以降の外伝・スピンオフでぜひ追いかけたいキャラクターだ。
FAQ(よくある質問)
Q1:オットーの正しい苗字は?
A:スーウェン(Suwen)が正しい。読者の間で「スィルタス」などの誤表記が流通したことがあるが、原作・公式資料ともに「スーウェン」で統一されている。
Q2:オットーの加護の正式名称は?
A:「言霊の加護」。動物・虫・地竜などの生物と意思疎通できる加護で、「地母神の加護」「動物の加護」などの誤表記が見られることがあるが、原作で確定している正式名称は「言霊の加護」のみ。
Q3:オットーの声優は?
A:アニメ版(Re:ゼロから始める異世界生活)でのオットーの声優は天﨑滉平。1期・2期・3期を通して同一声優が担当している。
Q4:Arc9でオットーは死ぬ?
A:2026年5月時点のWeb版・書籍版どちらも、オットーはArc9で死亡していない。むしろ陣営の中核として最後まで生き残る描写になっている。「死亡フラグ」と読める描写は何度かあるが、最終的には別キャラクターが負傷・退場する形に転換されることが多い。
Q5:オットーはエミリア陣営でナンバー2?
A:陣営内のランクとしては実質的にナンバー2と言えるが、「ナンバー1」がエミリアか、ロズワールか、スバルかは時期と文脈で揺れる。Arc9時点で「現場運営の最高責任者」はオットーで間違いない。
Q6:オットーがアニメで本格的に活躍するのは何期?
A:アニメ第2期(Arc4「聖域編」)から本格的に活躍する。1期では白鯨戦・魔女教戦で脇役登場、2期で陣営正式合流、3期以降は内政官としての描写が増えていく。
まとめ
Arc9のオットー・スーウェンは、「言霊の加護」と「商会長」という二つのカードを最終章で初めてフルに切った男だ。Arc4の友人宣言から始まり、Arc7の帝国動乱で内政官として鍛えられ、Arc8の帝都決戦で組織を動かす経験を積んだ──その全部が、Arc9でアルデバランに奪われたスバルとベアトリスを取り戻す追撃戦に集約される。
「世界全体を敵に回した」と宣言できる商会長は、リゼロ世界でオットーひとりだ。動物・虫・地竜まで含めた全生物を仲間にできる加護の使い手として、彼は陣営の頭脳・兵站・諜報・外交のすべてを兼ね、王都に立体的な監視網を張り巡らせ、ゾッダ虫10万匹で物理的にも精神的にもアル一行を追い詰めた。剣でも魔法でもない、商人と動物だけで世界を動かす男──それがArc9のオットー・スーウェンだ。
Arc9はリゼロ最終章として、スバルとサテラの関係に決着がつく章でもある。その最も外側で、最も静かに、しかし最も確実に勝利条件を整備するのがオットーだ。彼がいなければ、Arc9の戦いは戦いとして成立しない。リゼロ全章を通じての影の主役を、ぜひArc9で見届けてほしい。
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